悪魔になったらするべきこと?

ファウスト

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悪魔としての格!

涙、涙のお話です

アルディーノの話を聞いたところ彼の孫がある時、突然病に倒れたそうだ。
それが何の病気かまではわからなかった。というのもそれが呪いを由来にするものであると聖職者から警告があったからだそうだ。

『呪いによって引き起こされる病か・・・』
「解呪したりとかできないんですか?」
『概念なんだけど抜け道を用意すると途端に頑固になる呪いとかあるからね』

呪いの中にはそれと直ぐにわかるものとそうでないものがある。頑健な者が突然病魔に襲われる。子供の熱が引かない。そんなある意味わかりやすかったり、疑いを掛けられ易い呪いは簡単に排除することができる。
医者にかかったり、聖職者にお祈りをしてもらって養生することだ。

『わざわざ材料を探すってことは薬が必要なタイプか』

病魔の呪いは大悪魔や名うての呪術師になればなるほど容易く掛ける事が可能だ。しかし掛ける難度とは別にどうしても準備が必要なので専門に病魔を扱う悪魔でもなければ手間を取られる病魔の呪いの行使は嫌がられる。
そもそも大悪魔や呪術師はそんな回りくどい事をせずとも相手を呪い殺したり苦しめたりは容易いのだ。

「それじゃあどうして病気にするんでしょうか?」
『病に偽装すれば呪いを掛けたと悟られない場合があるからよ。今回はたまたま運が良かったか、聖職者の腕前が良かったんでしょうね』

当たり前だが聖職者としては治せませんと言ってしまうのは勇気がいる事だ。無駄に時間を使わず解呪に別の手段が必要だと言えるのはその聖職者の善性と知識が十分な証拠である。

「呪いなのに病気になって、解呪ができないの?」

ティナが首を傾げる。言葉だけ聞けば非常にややこしいのだが実際は病と同じような症状を呪いによって引き起こし、なおかつ解呪の方法を予め設定する事で呪いの形を簡易的に難病に変えてしまうわけだ。

『そ、呪いは聖職者に容易く解呪されるけど『これは呪いじゃなくて病気です』ってラベルを変えることで癒しの奇跡や浄化をやり過ごしちゃうのよ』
「その為にわざわざ病気っぽくするんですか」
『そう言うこと』

物を用意する難度はともかく『これさえあれば誰でも治せる病気』に擬態することで聖術を無視しつつ、普通の薬では治らないという悪辣な呪いが完成するわけだ。

『でも材料にそうそう用意できないものをチョイスする辺り呪いは悪魔を経由してる可能性が高い・・・』
「そうなんですか?」
『原始的な呪いというか、直接的に相手の生命力や魔力とか奪ったり破壊したりする呪いは魔法的な力が強ければだれでもできるのよ。攻撃に例えれば直接相手の頭や体を殴りつけるような・・・そんな感じかしら』

それに対して病魔の呪いは武器を用意して相手を苦しめたり傷つけたりする攻撃。周到に武器を一から作り出すことで相手の特定の部位を狙う事やリアクションを引き出すことができるというわけだ。
病気に偽装することで相手の対策を遅らせること、そして一般の護符や加護を通り抜けることも期待できる。

『呪いを一から調整していく都合上人間には限界がある。魔法使いにしろ呪術師にしろ扱える素材に限界があるからね。祭壇とか調合台とか・・・人間だとそれを揃えて、技術だし秘匿もしたいだろうし場所も機材も人手もいるからとにかく大変よ』
「一般人とプロの鍛冶師みたいな感じ?素材購入にもツテがいるよね」
『そうなるわ、それにルールとして『知らない素材』は使えないし』
「そうなの?」
『ええ、呪いってどうしても概念の問題が絡むからね。翼の無いものに翼をはためかせて空を飛ぶ感覚が説明できないように、薬としても効果があるのかどうかわからないものや見たことのない薬の効能やらを想像して呪いにすることはできないの』

そうでないと病魔の呪いは不治の病を大量生産できることになってしまう。悪魔の扱う呪いが人間にとってのそれを可能とするのは魔界の素材などを設定できるからである。

『『悪魔の乙女の涙』なんて希少な物を設定できるという事は少なくともその呪いをかけた存在はそれを見たことがあるということになるのよ』
「ほへー・・・ん?」

ルナはその説明を聞いていたがふと、疑問に思った。

「どうして薬の材料がわかるんです?」
「占い師じゃよ、悪魔の補助を受けて薬師とともに占って導き出したのじゃ」

悪魔には真実を解き明かすものもいる。彼らの力を借りれば占い師は自身の占いの精度を飛躍的に高め、その真実を知ることができるのだがそれにティナが疑問を呈した。

「えー、どっちにしろ悪魔さんの力借りるなら本人に頼んだ方がよくない?」
『占い師は既に契約を結んでることが多いからそっちの方が時間がかからないのよ。そもそも狙った悪魔を呼び出すのが人間にはどれだけ難しいか・・・』

そう言いかけてルルイエはルナの存在に気付き頭を抱えた。そうだった。自分がややこしくしたんだった。

「真実を解き明かす悪魔もピンキリじゃて、そうそう頼めんよ」
「そうなんだ・・・」

最初から悪魔に頼ればいいじゃないかと思うかもしれないがそもそも、真実に到達できる高い実力の悪魔を引き当てるのが難しい上に用意する代償の値段も馬鹿にならない。
その点、占い師を挟めば占い師と懇意にしておけば悪魔を呼ぶより手っ取り早く格安で真実を知れるのである。
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