ノーライフ・ガールは博士の最高傑作

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次の町 モリッツ

襲撃

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体格もさることながら得物の重量も膂力にも大きな差があり、男性はあっという間に上半身が反り返るほどに押し込まれる。

「うぐあぁぁ!」

顔を真っ赤にし、血管が浮き出るほど力んでいるにも関わらず男性は全く抵抗できずやがてチェーンソーが血を求めるように駆動し始める

「ひ、ひぃぃ!」
「フフフ・・・」

火花を散らして剣を削り始めた時になってようやく周囲の男性達も我に返り、ジェイナを攻撃すべく距離を詰める。

「この野郎!」
「おっと・・・」

槍を手に距離を詰めた一人が割って入るように槍を突き出したのでジェイナはさっと身をかわして距離をとった。

「だ、大丈夫か!」
「はぁ・・・はぁ・・・し、死ぬかと思った・・・」

チェーンソーが動き出してから刃が食い込むまでの数舜にも関わらず剣は食いちぎられたように刀身がなくなっており、恐ろしさに男性は剣を握りしめたまま震えている。

「駆動させてから斬れば真っ二つだったのに」
「・・・」

仮面の奥の眼がすうっと細まると男たちに向けられ、そして再びスターターを引き大きな音を立ててチェーンが回転し始める。再び獲物を狙うように視線を動かす仕草に男たちは警戒しつつ各々の武器を構えて反撃の機会をうかがう。

「この・・・やろう!」
「くすっ」
「ぐっ!うわわわっ!」

数人が決死の覚悟で槍を突き出すがジェイナがそれを易々とチェーンソーで切り払い、火花とともに槍の穂先が斬り飛ばされる。

「次は手か、足か、それとも首か?」

続々と武器を失い、かすり傷一つつけられないままに形勢が悪化していくと男たちに動揺から恐慌へと雰囲気が変わっていった。

「ひ、ひぃぃ・・・こんな奴とどう戦えばいいってんだよ!」
「もう逃げるぞ!」

誰かがこういえばたちまち恐怖が蔓延し、彼らは足早に逃げ出していった。

「追いかけようか?」
『どうせ雑魚だ、魂の濁りも薄くて毒にも薬にもならん連中だ。ほっとけ」

チンピラ程度の悪党では魂を刈り取るだけの旨味すらないようだ。ジョンは影の中でつまらなそうに鼻を鳴らすとジェイナと共に館へと向かうことにする。




「わっ、凄い音」
「ジェイナが暴れ始めたわね」

裏口で待っていた私達はジェイナが暴れだしたであろう大きな音を聞いて裏口へと近づく。金属製のドアが私達を阻むけど・・・。

「ほいっと」

鍵を錬金術で劣化させてしまえばあっという間に鍵はなくなる。ドアを開けて中に入ると一階は事務所のような場所になっており、積まれた羊皮紙と羽ペン、それにインクの匂いが私の鼻をついた。

「さて、おじゃましまーす」

リッキーと二人して入ると中は無人のようだった。上の騒ぎも収まったのか静かなものである。代わりに表の方が騒がしいが。

「羊皮紙の山はなんだろうね、ちょいと拝見」

一枚を手に取ってみるとお店らしき名前とその隣に金額らしき数字が書かれており、それが箇条書きでかかれていて一覧になっている。

「これはどこからどれだけ巻き上げたかってことなのかな?」

背伸びをして羊皮紙の中身を見るリッキーがそう言う。おそらくは彼らのみかじめ料ってやつなんだろう。彼らが騒いで商売の売り上げをコントロールする事で用心棒や商売の邪魔をしてライバルを削る。そして重要な仕事には自分達の子飼いのならず者を、口封じとワンセットになった汚れ仕事は借金や弱みを握った一般の人にやらせる・・・かなりブラックなやり口だ。

「元よりシメるつもりで来たけどここまでとはね、あそこのギルドを復興させる前にこういった悪党を追い出すのが一番だろうねぇ」
「うーん、どうする?もしかすると偉い人とかにコネがあるんじゃない?」
「どうして?」
「だってこんな事、隠したってどこかから洩れるでしょ?でも騒がれてないし・・・ウチの町じゃ騎士団もいたよ?」

確かに普通の街なら行方不明者が出たり、商売に露骨に横やりを入れていたりすると騎士団に目を付けられることもあるだろう。しかし、リッキーはまず大事な事を見落としている。

「ここはまだ正式に王国領になってないから騎士団は居ないでしょ?」
「あ、そっか・・・」

そう、此処にはまだ騎士団は発足すらしていない。他所から派遣されてくるのか、それとも訓練を受けた自警団が騎士に昇格してそうなるのかは知らないがとにかくこの町は未だにそう言った治安を守る存在がいない。少なくとも私達が見たのは町の出入りを管理する衛兵の人たちだけだ。なので町に住む彼らは自分ルールや良心に従って商売をしているの過ぎず、商人たちによって外から伝えられたり職人たちの知る価格のレートなどによって商売が成り立っているのだ。

「けどそれにしたってここの領主の人とかいるんじゃないの?」
「そこよね・・・そうなると確かにリッキーの言う通りになるかも」

騎士団は居ないが領主はいるはずだ。言われてみれば当然だが王国に編入されるのを決定した人かもしくはそれを相談しあって決めた人が居るはずだ。それに衛兵が出入りを確認している以上兵隊もいるはずだから・・・。
そうなると確かにちょっとおかしい。
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