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いざ行かん、リットリオ
新しい拠点を改装してみよう!
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陽気に酒場を出たヴォルカン達とは裏腹にリットリオ公国に拠点を置く裏社会の人間はその日混乱の極地であった。
裏社会の有力者エルネスト・カリグラ率いるカリグラファミリーが一晩で消滅し、一派が幅を利かせる支部にも騎士団の捜査の手が掛かったのだ。
罪状は奴隷の売買と誘拐。
死罪を免れない重罪とあって普段渡している賄賂も効果を発揮することはなかった。どんな利益を得ていようとも死罪となれば話は違う、むしろ騎士団の内通者は率先して彼らを潰しに掛かっていた。その影に暗躍したのが一人の男だというのだから信じがたい話ではある。しかし調査に赴いた裏社会の面々はそれを信じざるえない状況を目の当たりにした。
それはカリグラファミリーの本拠地である屋敷の庭で遊ぶ少女達の姿と、それを眺める一人の男。
裏社会で売春宿を経営している者達はその顔を見て確信した。庭で笑顔ではしゃぐ少女達こそ自分達の店に卸されるハズの商品であった少女たちだからだ。
枷どころか隷属の呪文すらない状態では彼女達を従わせることはできない。しかもカリグラファミリーが潰れてしまったのではその代金をカリグラから取り返すことも出来ない。新しい家主の男から代金を取り戻そうにもカリグラファミリーを一人で壊滅に追い込んだ男の素性がわからないので迂闊に手出しできない。
一人でやったにしろ、複数人にしろ並の実力者ではない。そうなればとる方法は二つに限られる。
一つは懐柔、もしくは服従。もう一つは正面からの制圧、もしくは暗殺だ。
その内懐柔策が通らないのは直にわかることになった。色町に繰り出しているにも関わらずその男はマフィアが嫌いだと公言して憚らないのだ。そして下手に絡んだりしようものなら店ごと潰されしれっとその男の経営する店になっているのだ。
「さて着いたぞここだ!」
「あら、思った以上に巨大ね、外装は嫌味がなくて素敵」
現代で言い換えるならマンションレベルの建物にヒューイも思わず口笛を吹く。しかしヒューイは中に入った途端にその評価を一変させた。
「なによこれーっ!」
それもそのはず、西洋芸術にまるで造詣のない俺ですら嫌な成金趣味の内装にヒューイは憤慨している。
「んまーっ!なんておブス! 教育に良くないわ!」
「そうだなあ、剥がして新しい壁紙買うか」
「更地にしちゃいましょうよ」
あまりに嫌だったのか物騒な事まで言い出したヒューイを宥めつつまずは予算の段取りを決めることに。
「とりあえずこの内装どうすっかな」
「そうねえ、清掃は彼女達に任せましょうか。いい経験になるし、集団で生活する基礎を学ばせるいい機会になるわ」
「となると、彼女達でできない工事の話だが・・・」
「先立つものが必要ね」
俺は金庫番が守っていた金庫の部屋へ移動し金庫の中身を確認することに。
「金庫なんてあるのね、なんか歪んでない?」
「おっかしーな、俺が見たときはそんなに・・・。」
ドアが酷く歪んでいることに気がついた。もしかすると昨日の・・・。
「いや、まさかな」
ハンドルを捻って鍵を開けると俺は意を決して扉をあける。
「ふっ・・・フヌッ!・・・ぬうっ!」
普通に引っ張っても開かない。待てど暮らせど開かない。
「アンタなにしたの? まさか溶けた金属でも流し込んだの?」
「いやいや・・・さすがにそんな馬鹿なことしないって」
中で金属を溶かしてしまっただけです、はい。どうにも余熱で変形してしまったようだ。
「こうなったら魔法で開けるしかないな」
自業自得とはいえ面倒なことになってしまった。
裏社会の有力者エルネスト・カリグラ率いるカリグラファミリーが一晩で消滅し、一派が幅を利かせる支部にも騎士団の捜査の手が掛かったのだ。
罪状は奴隷の売買と誘拐。
死罪を免れない重罪とあって普段渡している賄賂も効果を発揮することはなかった。どんな利益を得ていようとも死罪となれば話は違う、むしろ騎士団の内通者は率先して彼らを潰しに掛かっていた。その影に暗躍したのが一人の男だというのだから信じがたい話ではある。しかし調査に赴いた裏社会の面々はそれを信じざるえない状況を目の当たりにした。
それはカリグラファミリーの本拠地である屋敷の庭で遊ぶ少女達の姿と、それを眺める一人の男。
裏社会で売春宿を経営している者達はその顔を見て確信した。庭で笑顔ではしゃぐ少女達こそ自分達の店に卸されるハズの商品であった少女たちだからだ。
枷どころか隷属の呪文すらない状態では彼女達を従わせることはできない。しかもカリグラファミリーが潰れてしまったのではその代金をカリグラから取り返すことも出来ない。新しい家主の男から代金を取り戻そうにもカリグラファミリーを一人で壊滅に追い込んだ男の素性がわからないので迂闊に手出しできない。
一人でやったにしろ、複数人にしろ並の実力者ではない。そうなればとる方法は二つに限られる。
一つは懐柔、もしくは服従。もう一つは正面からの制圧、もしくは暗殺だ。
その内懐柔策が通らないのは直にわかることになった。色町に繰り出しているにも関わらずその男はマフィアが嫌いだと公言して憚らないのだ。そして下手に絡んだりしようものなら店ごと潰されしれっとその男の経営する店になっているのだ。
「さて着いたぞここだ!」
「あら、思った以上に巨大ね、外装は嫌味がなくて素敵」
現代で言い換えるならマンションレベルの建物にヒューイも思わず口笛を吹く。しかしヒューイは中に入った途端にその評価を一変させた。
「なによこれーっ!」
それもそのはず、西洋芸術にまるで造詣のない俺ですら嫌な成金趣味の内装にヒューイは憤慨している。
「んまーっ!なんておブス! 教育に良くないわ!」
「そうだなあ、剥がして新しい壁紙買うか」
「更地にしちゃいましょうよ」
あまりに嫌だったのか物騒な事まで言い出したヒューイを宥めつつまずは予算の段取りを決めることに。
「とりあえずこの内装どうすっかな」
「そうねえ、清掃は彼女達に任せましょうか。いい経験になるし、集団で生活する基礎を学ばせるいい機会になるわ」
「となると、彼女達でできない工事の話だが・・・」
「先立つものが必要ね」
俺は金庫番が守っていた金庫の部屋へ移動し金庫の中身を確認することに。
「金庫なんてあるのね、なんか歪んでない?」
「おっかしーな、俺が見たときはそんなに・・・。」
ドアが酷く歪んでいることに気がついた。もしかすると昨日の・・・。
「いや、まさかな」
ハンドルを捻って鍵を開けると俺は意を決して扉をあける。
「ふっ・・・フヌッ!・・・ぬうっ!」
普通に引っ張っても開かない。待てど暮らせど開かない。
「アンタなにしたの? まさか溶けた金属でも流し込んだの?」
「いやいや・・・さすがにそんな馬鹿なことしないって」
中で金属を溶かしてしまっただけです、はい。どうにも余熱で変形してしまったようだ。
「こうなったら魔法で開けるしかないな」
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