ドラゴンになったので世界を救う為に国と跡継ぎつくります!

ファウスト

文字の大きさ
42 / 282
いざ行かん、リットリオ

ダークエルフと仲良くなろう その5

しおりを挟む
次に俺が用意するアイテム、これはあんまりやりたくないが必要になってくるので済ませておく。

 「ちょっと汚いが我慢してくれよ。」
 「えっ?」

そういうと俺は喉の奥に引っかかっているものを吐き出すべくまるで痰を吐くように咳やあの独特な声を上げ続ける。テルミットが露骨に嫌そうな顔をしているが俺にとってはそれどころではない。これは定期的に吐き出さないと辛いのだ。

 「カッ・・・ゴァッ!」

ふぐぅおおおおおお!・・・ぺっ! ゴロン。

 「きゃあっ!汚い!・・・ってこれは!」

 勢い余ってテルミットの机に吐き出してしまったがこれこそマフィア撲滅&マフィアからダークエルフ達の暗殺者稼業を廃業に追い込むためのナイスアイテムになるわけだ。
 思いっきり唾でべとべとだが吐き出したものは透き通ったオレンジ色の石。俺の中での通称はタン石だが『龍の宝玉』として王様に献上しても恥ずかしくないシロモノなのだそうだ。純粋に宝石としても価値があるが魔道具の材料にもなるとあって需要は天井知らずに高く、値段もかなり高い。
 実のところ言うとこれは魔力の塊で極稀だが魔物や人間にもほんの一欠けら作られることがあるらしい。最近は火の魔法ばかり使っていたのでオレンジ色、つまりは火の属性になった。

 「ここここここれは、伝説のアイテムクラス・・・!」

よく吐き出せたものだと思うほどでかいタン石はソフトボールクラスの大きさになっている。もはや人外のなせる業といえるだろう。
ドラゴンマニアのテルミットは吐き出した瞬間の渋い顔も何処へ行ったのやらベトベトのタン石を眺めてうっとりしている。それはまるで宝石に目を輝かせる女性のそれであったがハアハアと息が荒いのは頂けない。どん引きである。
 造作も無く造れる側である自分にありがたみが無いのは仕方ないのだろうが自分のまさしく痰のように定期的に湧き出るそれを有り難がっている姿は見ていて気分の宜しいモノではない。

 「これはこれ一個で一生遊んで暮らせる額が・・・。」

にやにやしているテルミットを俺は知らず知らず遠めに見ていた。なにやら俺が吐いたタン石についていろいろと語ってくれる。しかし自分が人間の頃は宝石にはとんと興味が無く、茶道や華道も同様で建築には少しばかり造詣があったものの健康や食事程度にしか興味がわかなかったのだから宝石をどうこうと価値を説かれても知らないんだがな。

 「とりあえず言っとくがこれはマフィア共を粛清するためのものだからな?」
 「えっ?」

えっ、じゃないよ。誰もあげるなんていってないだろ。どうしてこうセコいところがあるんだコイツは。いやだねー、苦労しすぎるってのは。
 金やモノに執着しすぎるといいことは無い。無さ過ぎると俺のように老いてから破滅する羽目になるがな。俺は名残惜しそうに見つめるテルミットを尻目に金属製の箱に納められた龍の癇癪玉を拾い上げると二つをくっつけた。するとそれはまるで粘土のようにくっつき、やがて鈍い輝きを放つメタリックカラーの宝玉が出来上がる。

「これに龍の癇癪玉を混ぜるとだな・・・ほれ。」
「これはどういうことですか・・・?」
「貴重かつ試してもいいこと無いから試さなかったかもしれないが宝玉と癇癪玉はどちらも魔力の塊だから容易く混ざるんだ。簡単に言うとこれは衝撃で爆発しにくくなったが爆発する力が強くなった状態だ。」

 剥き出しのニトログリセリンから爆薬に変わった感じだろうか。衝撃に強くなった代わりに同系統の魔法を浴びると爆発するようになってしまったモノだ。
しかし見た目には龍の宝玉と大して変わらないので業突く張りを騙すに絶好のアイテムなのだ。

 「そうですか・・・しかしこれをどうやってマフィアに?」
 「そこでお前さんの出番だろう、マフィアと癒着してる連中を割り出せ。」
 「えっ、でも、その・・・私達にも仕事っていうか経費は?」
 「俺からガメた参加費と爪があるだろ。」

そういうとテルミットはあっ、という感じの顔をした。残念だったな。相手に後ろめたいことをするってのは相手に借りを作るのと同義だぜ。しかも義理と違ってこういった借りは返すのが義務だ。もちろん恥も外聞も無いような奴ならこれに当てはまらないが仮にも立場ある彼女には断れないだろうが。

 「売れば数ヶ月は従業員養えるだけの収入になるだろう。足りないとは言わせん」

しょんぼりしているテルミット、マニアの彼女がそれを売ることは出来ないのだろうが・・・そうなるとポケットマネーから出すのだろうか。

 「まあ、そう落ち込むな。次に出来たらタン・・・龍の宝玉はお前にやるから」
 「ホントですか?!」

 一変して元気になるテルミットに若干引きつつも仕事の内容を告げる。彼女達が異変を察知して取って返すまでにもう一つ準備を済ませておこう。
しおりを挟む
感想 84

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作) 異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...