ドラゴンになったので世界を救う為に国と跡継ぎつくります!

ファウスト

文字の大きさ
48 / 282
いざ行かん、リットリオ

やらかした!どうしよう!

しおりを挟む
さて、賭けに乗ったところで俺は背後から感じる微弱な殺気に思わず笑みを浮かべる。

 「餌に食いついた獲物がまた一人・・・いや、三人か?」

 彼女たちは基本的に三人で1チームらしいな。つまり、彼女たちの戦術は三人が限界点、それ以上は団体で動くことが難しくなるようだ。
たまらず影から飛び出してきた彼女たちはアルカ達がそうしたように前後と横に俺を囲み、魔法で削り、その内で攻撃力の高い者で止めをさすかそれを囮に二人で攻撃を仕掛けるという計算されたパターンだ。
 正面に相対するのは曲刀を構える彼女、顔を隠しているが実力は此奴が一番だろう。隠すのが下手な奴だ。俺を左右から挟むのは双子だろうか?足運びが鏡写しに綿密な訓練の後が見え隠れする。

 「しかしまあ、連携を主眼に置いた戦術とわかっていればこうすれば一瞬だ」
 「「きゃっ!むぐうっ!」」

 俺はあらかじめ地面に潜らせておいた分身に双子を引きずり込ませる。まさか悲鳴まで同時とはな。二人は分身が素早く気絶させ、簀巻きにすると土魔法で増築した牢屋に放り込んでいく。

 「さて、これで一人になっちまったな・・・」

 力量の差が顕著に現れた戦いといえようが容赦はしないぜ。悠然と歩いて距離を詰めると踊るように迫る曲刀を避けてさらにさらに距離を詰める。

 「さ、つぎはどうする」

 息が掛かるような距離になると彼女は酷く驚いたような表情を見せるが俺にとって造作も無い事だ。それだけ差があるのだ。しかし俺に異変が起こったのはその時だった。

ビリリッ!ファサッ・・・

「い・・・いやっ!」

 気づくと押し倒したダークエルフを半裸にしたところだった。なんだこれは?
なぜ俺はこんなことを?かろうじて正気を取り戻した俺はリーダー格の彼女を気絶させると簀巻きにして仲間と同じ処へと運ぶ。その際も彼女の肢体が艶めかしく映り、髪や汗の匂いが酷く魅力的に映る。このまま事に至っても全く後悔が湧きそうも無いほど、飢えているらしい。なぜ?こんなに飢えたようになったのは初めてだ。

 「なんだ・・・これは・・・!?」

 頭を抱えて湧き上がる情欲にもがいていると、俺の頭の中に見知った声が響いた。

 『産マセラレルヨウニナッタ!ヨウヤクオマエハ雄ニナッタ!』
 「産ませ・・・?」
 『オカシイトオモワナカッタカ?コレダケノ”力”ガアレバ本来雌がホシクナルンダ!オマエハ雄ダカラナ!子孫ヲ残ス本能ガ有ル』

わかった、此奴は俺だ、俺の中の人間でない部分が疑問に答えてくれているのだ。

 『相手ハエラベヨ~?後悔スルカラナ、デモイマナラ運命ノ人ハワカルハズダ』
 「マジかよ・・・」

 自分の体に振り回されるのは癪だがこのままじゃ暴発しそうだ。見境がなくなる前に・・・誰か・・・探さなくては・・・。




 夜の帳が下りる時間。付近は酔っ払いの喧騒がわずかに聞こえるのみで他はみな寝静まった後。酔っ払い達の喧騒もやがて船を漕ぎだし、静寂に変わっていく。

 「・・・ヴォルカン様は今どこにいるんだろう」

アウロラは闘技場の一室でヴォルカンの指示を待ちつつ計画の進行を見守っていた。彼がエルフ達にとって神に等しい存在に諭されたとは言え彼女は一族を裏切り、ギルドを裏切っている。
 正直なところ逃げ出せるならば逃げ出したい。だがそれは許されるはずもないし彼女には行くところはない。この世界は亜人に厳しい。
アダムスター領まで行ければ可能性はあるが彼女は暗殺ギルドの一員であり国境を越えられるだけの伝手も路銀もない。考え無しに国を出たところでかつて出奔した彼女の仲間のように連れ戻されるか、最悪奴隷にされたり殺されてしまったりと悲惨な末路を辿っていた。

 「こうなったらあの人と計画を成功させるしか・・・」

 計画とは、彼の策略によりこの国より裏社会の人間を抹殺した後フィゼラー大森林を開拓して彼女達の安住の地を作ろうというもの。途方も無い様に感じたこの計画も彼がやるならば可能なのかもしれない。

そんな考えを巡らせていた彼女の元に姿を現したのは件の男。ヴォルカン・アダムスターだった。

 「アウロラ、大事な・・・話がある」

 普段の彼らしくない落ち着かない様子に訝しみながらも言葉を待つ彼女にヴォルカンは素早く押し倒し、組み伏せたままで続けた。

 「これから計画が進めばオマエには嫌が応でも命を賭けてもらう・・・だからオマエとは、特別な関係になっておきたい」
 「それって・・・どういうことですか・・・?」
 「妻になってくれ、俺の子供を・・・」

 産んでくれ、そう呟かれた時が彼女が冷静で居られた最後の瞬間。
 特別な関係とやらに見当がついたのは彼女が純潔を捧げた瞬間で、彼の欲望を体で受け止めた瞬間であった。




チュン、チュン・・・

「・・・冷静になれ。冷静になるんだ俺」

とりあえず闘技場まで帰ってきたことは覚えている。だが、アウロラの部屋に入ったところで意識がほとんどなかった事が災いした。
 焦りすぎた事は否めないが寄りにもよって女性が居るところを尋ねるとか相当に焦っていたらしいな。隣ではアウロラが俺の体に縋るように抱き着いている。二つの果実が俺の腕を挟んでいるが昨夜で発散済みなのかムラっと来たりはしていない。

 「そういえば・・・避妊とかしたか俺」

 思い出せるのは彼女に跨がせてそのまま・・・うん、全くしてないな。


とんでもない事をしてしまったと後悔したせいか俺の意識が不意に遠くなり、やがて視界が白く染まっていく。そして白い視界の中で俺は再び懐かしい顔に出会った。

 『やあ、今回は妻を得られたようでなによりじゃわい』

 夢の中、久しぶりに出会ったのは神様だった。前回と変わらぬ恰好のまま彼は俺に語り掛けてくる。そうだ、神様なら俺が置かれた現状を理解できるはずだ。

 「俺は一体どうしちまったんだ?」
 『今回のムラムラの原因を知りたいのかのう?』
 「・・・そんなところだ」

 身も蓋もない言い方だが事実なので黙って続きを促す。

 『有り体に言えば精通したと言うことじゃよ』
 「・・・雄になったとかいうのはそういう事か」

 神様がいうには俺の体を構成するドラゴンの体が成熟し子供が作れるようになったということらしい。そしてそれに際して俺の体に性欲が出てきたとのこと。

 『初回ということでコントロールが利かんかったようじゃのう。だいぶんと派手にやったので彼女の体に変化だでているやもしれんぞい』
「変化?」
『突然化け物になったりはせんわい、ただお前さんは特殊だからのう、お前さんの精は彼女の肉体にエネルギーとなって溜まり続けるのじゃ』
「そうなのか・・・でもそうなると子供は・・・?」
『兎に角回数が必要なのじゃ、それによって彼女の肉体はどんどんと強化され、お産に耐えられるようになった時にめでたく子を授かるじゃろうて』

つまり交わる毎に相手は強くなるのか。凄いエロゲーみたいだな。
しかし神様との契約で女性と子作りすることが決まっているが簡単に子供ができないのか?ラッキーなような、残念なような・・・。っていうかそういうことは先に言えよな!
しおりを挟む
感想 84

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作) 異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...