ドラゴンになったので世界を救う為に国と跡継ぎつくります！

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集落をつくろうの章

集落に物資を運ぼう！

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しかし彼等の中にはもしかするとという考えもあった。それは彼がサマル方面から来たということ。ゲイズバー商会は国境に面するアダムスター領を何度も往復したことがある為アダムスター領で大規模な開拓が行われていることを知っているからだ。もしも彼がアダムスター領の関係者ならばフィゼラー大森林の一部に中継基地や集落を作っていてもおかしくない。ましてやつい先日から大規模な兵や騎士達が出動するのを見ていた者も多いのだ。
そう考えると今回の大量の食料と農耕の準備と思しき苗と種、そして寝具の材料と口走っていたらしい布と綿の買い付けにも納得がいこうというものだ。

「それにあそこら辺はモンスターの巣があったはずだよな？」

そう不安を感じていた一行だったがそれもコロン村まで何事も無く到着したことから肩透かしを食らってしまった。
モンスターたちは影も形も見当たらないのだ。以前コロン村のすぐ先にはアダムスター領近くのそれとは別にゴブリンの集落があり、近隣住人を悩ませていたのだが・・・。

「そういえば軍団が出現したとかいう話もあったか」
「よせよ・・・」

コロン村でもその噂はゴブリンが消失した頃から噂されていたらしく街へいけるものは皆一時的に避難しており一部の冒険者や兵士達が情勢を伝える為に残っているばかりであった。

「軍団ならアダムスター領の騎士団が退治したとか言ってたぜ」
「マジか、よかったぁ・・・軍団とは戦いたくねえんだよなあ」

幽鬼の如くゆらゆらと敵に向かい蹂躙し、喰らい尽くす恐ろしい軍隊の猛攻・・・それが世間一般の軍団のイメージであり正面から戦う場合は砦や陣地を用いて迎え撃つのがセオリーとされていた。
普段なら避けるような罠や迎撃の陣も軍団と化した場合は無視して突っ込んでくるので魔法使いや軍隊がある程度集まっていたり高名な魔法使いが居れば難易度もある程度は下がるのだがそれでも数百、場合によっては数千という数はトラウマを植えつけかねないほど圧倒的であった。
護衛の冒険者達も軍団が消滅していることを商隊の面々から聞くに至ってようやく安堵し、楽勝ムードすら漂う安楽な旅になった。

「よっしゃ、とりあえず護衛任務は此処まででＯＫだ。冒険者さん達は商隊の人達を送り届けたら報酬を受け取ってくれよ」

ヴォルカンの任務達成の証明書を受け取った冒険者達は商隊のメンバーの移動も考慮して一泊することなり、暇を持て余していたらしい宿屋に泊まることにしたらしい。

「それでは我々はこれで、また何かあったらよろしくお願いします」

ゲイズバー商会が雇った冒険者は何れも礼儀正しく人選の妙を感じさせる面子であった。冒険者も一流をそろえるとああいう人達も多いのだろうかヴォルカンは考えていた。

「よし、じゃあ運搬係の人はお疲れ！此処からは支店関係の人について来て貰うぞ！」

コロン村からは商隊の中から特別に集落に支店を作る為に同行していた面々に寄る少数のメンバーに変わり御者を含めて十人を超えないレベルの小人数になっていた。

「リタが支店のメンバーに含まれてるなんて驚きだな」
「えへへ、こう見えても結構期待されてるんですよ」

リタはそう言うと照れくさそうに笑う、若い割りに優秀であり国境で出会った際にはジャーナリストかと思うような情報の収集能力などを見せていた。そしてそれ以上に人間的に彼女は魅力的であり、人生を謳歌している珍しい人物である。
しかし本来なら未開の地に赴く必要があるので他の人間は皆ベテランといった雰囲気を見せる屈強そうな男や女性も旅慣れた様子のアウトドア派ばかりだ。

「そういや将来は君が支店長になるのか？」
「うーん、わかりませんね・・・でも今のところは一番ベテランのナガラさんでしょうけど」

ナガラと呼ばれたのは男性の中でも一番の年齢で初老の男性である。白髪交じりの男性だが義理堅そうな雰囲気と寡黙ながら御者の反応やリタの発言から周囲の信頼も厚いようだ。

「そうか、ま、今は大した物もないし発展には君達の協力も不可欠になってくると思うがよろしく頼むぞ」
「はい！」

馬達は順調に歩を進め、フィゼラー大森林の奥地へと入っていく。

「おー・・・こんなに奥へ入ってきたのは初めてです」

鬱蒼と茂る森林の内部は日暮れの暗さも手伝ってどんどんと暗さを増していく。

「ヴォルカン様、目的地まであとどれくらいですか？」
「もうじきだ、迎えが来てくれるはずだが・・・一旦休憩にしようか」

疲れが見えてきたのか後続から確認が来る。仕方ないので小休止をすることに決定し、馬達を休ませることにする。ここら辺はすでにダークエルフ達の狩場として使われていたはずだが・・・。そう思っていると不意に御者の一人が声を上げた。

「うわっ？！」
「どうした？！」

しりもちを着いて驚いている御者の足元には矢が刺さっている。

『此処より先は我らの領地である、土足で踏み入ることは許されない』

闇から響く声、ようやく彼女達が出迎えてくれたらしい。とりあえず彼等が敵じゃ無い事を教えておこう。

「おーい！戻ったぞ！矢を撃ったのは誰だ？」
『はい！私です！』

尻餅をついた男性を庇うように立って声を上げると闇から数人のダークエルフが笑顔で駆け寄ってきた。

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