ドラゴンになったので世界を救う為に国と跡継ぎつくります!

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ドラゴンと動力機関の章

モーター?!

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それならばイチャイチャしようかと嫁さん二人を探してみるも見付からない。そういえば二人とも今日は仕事だったか。アウロラは狩り、シロナはアイカの補佐としてしばらく滞っていた行事や政務の調整に携わっている。

 「ヒマなのは俺だけか・・・」

 今まで走り回っていただけに突然降って沸いたヒマな時間を俺は持て余していた。仕方ないので領地の視察を行うという名目で散歩にでかけることに。
 家を出て広場からゴンゾの鍛冶場へ向かうとコボルト達が陽気に鋸やハンマーを振るって狼人族達が運んでくる木を木材に加工している。最近ではゴンゾが新品の工具を卸しているので彼らの工作スピードも飛躍的に増加している。
 今では家屋の新築を家具の生産に切り替えたのでゴーストタウンの増殖は免れられたがフィゼラー大森林の頂点に近かった二カ国が俺の傘下に入った事で少数種族がちらほらやってくるようになった。
ダークエルフ達の帰参も少しずつ増え、集落側と獣人二カ国との人口のバランスも徐々に持ち直しつつある。それでも二カ国で万を超えるので難しい話だ。ようやく此方も十分の一に達した所。
 首都に十分の一が居ると考えればあながち無茶でも無いのかも知れないがここもまた追々調整が必要だろう。

 「さて、ゴンゾに剣の事でも・・・ん?」

あれこれ考えながら歩いているとコボルトの子供達がバケツを囲んでなにやら話し合っている。どうやらバケツに何かを浮かべて遊んでいるようだ。こそっと近づいてみてみると木製の椀に魔導金属の切れ端を二つ並べているようだ。

 「これどうするんだー?」

 何をしているのやらと様子を見ていると俺の疑問と同様に端から見ていた子供が尋ねる。すると一番年長者らしい子供が口々に尋ねるちびっ子を宥めながらもう一個金属の切れ端を二つ並べた魔導金属の間に翳す。

 「わー!すごいや!」

 子供が歓声を上げる中、俺も度肝を抜かれた。差し入れた金属棒を基点にして椀がくるくると回り始めたのだ。しかもそのスピードたるや結構な速さだ。これはもしかするとモーターってヤツじゃないのか?どうやってこれを見つけたんだろうか。

 「面白そうな事やってんな、おじさんも混ぜてくれないか?」

 後ろからそう声をかけるとちびっ子達は驚いた様子だったが俺がそれに興味を持ったことを告げると快く了承してくれた。

 「これ、何処で手に入れたんだ?」
 「ドワーフのおじさんが切れ端を繋げて板にしてくれたんだ」

 椀の底ぎりぎりまで突っ込むと指が危ないんじゃないかってくらいのスピードが出ている。

 「おもしれーな、これ、よし!」
 「わ!びっくりした!」
 「なになにー?どうしたの?」

ちょっと面白い事を思いついた。これがモーターなら蒸気機関やディーゼル機関なんかより簡単に動力が確保できるだろう。前世では金持ちの道楽とバカにしていたが考えても見ればこれがあれば色々と面白い事ができる。車をつくってみようじゃないの。

 「おーす!」
 「ぐえっ!??」

 勢い良く扉を開くとバラムが扉の近くに居たらしく派手に吹っ飛んで行った。

 「ゴンゾ、面白い事を思いついた」
 「俺の助手を吹き飛ばしておいて開口一番でてきた言葉がそれか」

 呆れ顔のゴンゾは魔導金属の延べ板を延々と作っているようだ。しかし彼の都合など俺には関係ない。

 「コボルトのちびっ子達に金属の切れ端をあげているそうだな、その事でちょいと話があってな」

そう言うと俺は外でコボルトの子供達がやっていたことと同じ事を話して聞かせた。

 「てな訳で、色々と製作して欲しい」
 「アンタ時々変な事言い出すよな・・・まあいいけどよ」

とりあえず試験的にコボルト達の切れ端よりもより大きな切れ端を取り出し、円形の板の円周上に対称に打ち付けて固定する。そしてそれを馬車の車輪を作るときに使う作業代に取り付けて回せるようにすると
俺はコボルトの子供達と同様に円の中心に魔導金属を近づけてみる。

 「すると・・・うぉっ?!!」

 一気に近づけ過ぎたのか車輪状の板は激しく回転を始め、中心の穴の大きさが大きかったのか遠心力に負けてガタつき始める。

 「わかったから!分かったから早くとめてくれ!」

 周りの人間はもちろん俺も恐怖を感じ始めたので棒を遠ざける。すると徐々に板は力を失いやがて停止した。が、そのパワーたるや凄まじい物だ。

 「どうよ、すげぇだろ」
 「確かに凄いがどうすんだこんな代物」
 「どうするってお前そりゃ・・・」

 車、と言いかけて慌てて飲み込んだ。この世界に無いものを突然作ったら不思議がられるだろうか。

 「お前、これが・・・なんだ、馬車の車輪とかに仕込んだら馬ナシでも走れるだろ?凄くないか?」
 「・・・!そうか、確かに言われてみりゃそうだ・・・確かにおもしれぇな!」

ずいぶんと言葉を選んだのでちょっと可笑しくなったがそれでも伝わったようでうれしい。しかもこれ、磁石同士の反発に近い物で動力になるのだからコストパフォーマンスが凄いんじゃないだろうか。
 内燃機関では蒸気機関なら蒸気を起こすための水と火が、ディーゼルやガソリンなどのエンジンではガソリンと着火装置が必要だがこれなら金属同士が反応するのを物理的に制御するだけでいい。
 維持は周囲のパーツの交換で良いだろう。
なんだこれやべえ!オラワクワクしてきたぞ!
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