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ドラゴンと動力機関の章
掃きだめの原石達 その4
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街を出て皆でえっちらおっちら歩いていくも地下室で軟禁していたのが堪えているのか男はともかく女性達の足取りが重い。
「このままじゃ不味いな、埒が明かない」
そもそも首都からエンゲンまで何日かかるんだったか・・・いかん、飛んできたせいでまったくわからん。
「ブンロク、近くに村かなにか休める場所はあったか?」
「えっと近くに鍛冶場村があったけど?」
「エンゲンの街には無かったよな?なんでだ?」
「製鉄をやってるから煙が凄いんだ、街中でやると臭いし煤がでて火事になりかねないから」
製鉄か、そういや俺のとこでは俺が炉の役割してるからこの世界の製鉄炉を全く知らないが煤がどうとか言ってるから恐らく石炭か何かを燃やして製鉄してるんだろう。
「製鉄か・・・そういえばお前さんを呼んだのも最初はカラクリの技術を見込んでの事だったな」
「カラクリは確かに作ってるけどさ、俺は師匠見たく上手くはできないぜ?どうも飾りが苦手でさ」
「飾りなんかどうだっていいし、最悪そこは分業でもいいだろ。それより動力部の仕組みをどうにかしたくてなぁ」
なんて事をお気楽に話していたがどうやらブンロクの知り合いのいる所らしいので助けを借りる事に決定した。事情が事情なのでブンロクもOKしてくれたので足を鍛冶場街に向ける。
女性達も鍛冶場街と聞いて少し嫌そうだったがそれでも首都まで徒歩というのは体力的に無理だったので屋根のあるところで眠れるならと渋渋OKした。
場所も程近く、少し歩くと朦朦と煙が立ち上るのが見える。途中から煙が小さくなっているように見えるのは風魔法を使って煙を散らしているからだという。
「見栄えが悪いんだとさ、けっ、誰のお陰で金属製品が出回ってると思ってんだろうな!」
「仕方ないさ、事実あの煙にゃ体に悪いもんがぎっしり詰まってるからな」
この世界じゃ公害なんて無いんだろうが石炭を燃やしているなら色々と嫌なものも混じっているはずだ。
「嫌なもんってなんだよ」
「まだまだ知られてないだろうがお前さんの師匠がいた世界じゃあの煙を日常的に吸ってたせいで病気になったヤツが沢山いたのさ」
「へー・・・そうなのか」
「ま、そんときや出してた煙もアレとは比較にならんほど沢山だったが」
石炭には何が入ってたんだっけか・・・ま、そこまでは知らんな。しかし発展していく一方でいつか向こうの世界と同じような公害に悩む日が来るんだろうか。
街というより村程度の規模の鍛冶場街に入るとブンロクが先んじて鍛冶場を仕切るドワーフの所へ挨拶にいった。俺は此処にあると言う数少ない宿屋へ向かう。
「すいません、此処やってますか?」
「おやおや、いらっしゃい。物好きな人がいたもんだね、それとも家族で此処に移住を?」
ドワーフらしいかっちりしたオバちゃんが出迎えてくれた。ドワーフらしい頑丈さをウリにしたような建物にこれまた頑丈そうなドワーフの取り合わせがなんともいえないマッチ感である。
鍛冶場街は職人が集まる場所ではあるが観光地ではない。そうなると子供や女性が来るのは珍しいだろう。ドワーフは酒と鉄があればほかに望むものが少ないので問題ないがそうなると自然と女はドワーフの奥さんのみとなり宿屋もエンゲンに入り損ねた旅人がたまにか買い付けの商人くらいだという。
「それともなにか、夜逃げかい?」
「ショッピングさ、18人くらいいるが大丈夫かな」
「アッハッハ!面白い兄ちゃんだ!職人見習いが勉強に来る事があるから泊まりだけなら30人は泊まれるよ」
「なら大丈夫か、男と女子供は分けてくれたら後は問題ないな」
「お酒くらいしかまともな物出せないけどどうする?」
「食えりゃ問題ないさ、たっぷり食わせてやってくれ、酒も飲む」
贅沢は言わない。そもそもドワーフが経営している宿屋だ、酒にあう物と酒しかないであろう事は想像に難くないがそれでも食えないよりマシだろうし孤児の子供達に至っては食えるだけありがたいだろう。
「っと、それより部屋の前に風呂にはいんなよ、鉄臭い私達が言うのもなんだが臭うよ」
流石にあの貧民街から抜けてきたのだから仕方ないが子供達も男も総じて臭っていた。俺は慣れたがな。
夏場の剣道着といい勝負だ。
「風呂があるのか?」
「ああ、鉄打った後の汗と汚れは水じゃ落ちないだろ?それに風呂の後の酒は美味しいからねえ」
「なるほどな」
俺達は宿屋の女将さんにお礼を言うと先に風呂場へ案内してもらった。宿屋の風呂は離れに作られており岩を組んだものだ。
「かまどが見えないな、どうやってお湯を沸かしてる・・・ってあれか」
鍛冶場の業火のような炉の傍を水を汲んでいるらしいパイプが通っている。どうやら過加熱と有事の際の消化ポンプ的な役割を果たしているのだろうか。そしてもう一方から冷たい水が川から引かれている。
「いいなあ、風呂ほしいな」
番頭さんに頭を下げて脱衣所に向かう。衣服も此処で洗ってもらえるらしいが服を受け取る時手伝いの若衆が露骨に嫌そうな顔していた。堪忍な。
そして風呂なんて初めてなのか緊張している皆に風呂の入り方やマナーを軽く説明してから風呂に入る事にした。風呂とは命の洗濯である。
「このままじゃ不味いな、埒が明かない」
そもそも首都からエンゲンまで何日かかるんだったか・・・いかん、飛んできたせいでまったくわからん。
「ブンロク、近くに村かなにか休める場所はあったか?」
「えっと近くに鍛冶場村があったけど?」
「エンゲンの街には無かったよな?なんでだ?」
「製鉄をやってるから煙が凄いんだ、街中でやると臭いし煤がでて火事になりかねないから」
製鉄か、そういや俺のとこでは俺が炉の役割してるからこの世界の製鉄炉を全く知らないが煤がどうとか言ってるから恐らく石炭か何かを燃やして製鉄してるんだろう。
「製鉄か・・・そういえばお前さんを呼んだのも最初はカラクリの技術を見込んでの事だったな」
「カラクリは確かに作ってるけどさ、俺は師匠見たく上手くはできないぜ?どうも飾りが苦手でさ」
「飾りなんかどうだっていいし、最悪そこは分業でもいいだろ。それより動力部の仕組みをどうにかしたくてなぁ」
なんて事をお気楽に話していたがどうやらブンロクの知り合いのいる所らしいので助けを借りる事に決定した。事情が事情なのでブンロクもOKしてくれたので足を鍛冶場街に向ける。
女性達も鍛冶場街と聞いて少し嫌そうだったがそれでも首都まで徒歩というのは体力的に無理だったので屋根のあるところで眠れるならと渋渋OKした。
場所も程近く、少し歩くと朦朦と煙が立ち上るのが見える。途中から煙が小さくなっているように見えるのは風魔法を使って煙を散らしているからだという。
「見栄えが悪いんだとさ、けっ、誰のお陰で金属製品が出回ってると思ってんだろうな!」
「仕方ないさ、事実あの煙にゃ体に悪いもんがぎっしり詰まってるからな」
この世界じゃ公害なんて無いんだろうが石炭を燃やしているなら色々と嫌なものも混じっているはずだ。
「嫌なもんってなんだよ」
「まだまだ知られてないだろうがお前さんの師匠がいた世界じゃあの煙を日常的に吸ってたせいで病気になったヤツが沢山いたのさ」
「へー・・・そうなのか」
「ま、そんときや出してた煙もアレとは比較にならんほど沢山だったが」
石炭には何が入ってたんだっけか・・・ま、そこまでは知らんな。しかし発展していく一方でいつか向こうの世界と同じような公害に悩む日が来るんだろうか。
街というより村程度の規模の鍛冶場街に入るとブンロクが先んじて鍛冶場を仕切るドワーフの所へ挨拶にいった。俺は此処にあると言う数少ない宿屋へ向かう。
「すいません、此処やってますか?」
「おやおや、いらっしゃい。物好きな人がいたもんだね、それとも家族で此処に移住を?」
ドワーフらしいかっちりしたオバちゃんが出迎えてくれた。ドワーフらしい頑丈さをウリにしたような建物にこれまた頑丈そうなドワーフの取り合わせがなんともいえないマッチ感である。
鍛冶場街は職人が集まる場所ではあるが観光地ではない。そうなると子供や女性が来るのは珍しいだろう。ドワーフは酒と鉄があればほかに望むものが少ないので問題ないがそうなると自然と女はドワーフの奥さんのみとなり宿屋もエンゲンに入り損ねた旅人がたまにか買い付けの商人くらいだという。
「それともなにか、夜逃げかい?」
「ショッピングさ、18人くらいいるが大丈夫かな」
「アッハッハ!面白い兄ちゃんだ!職人見習いが勉強に来る事があるから泊まりだけなら30人は泊まれるよ」
「なら大丈夫か、男と女子供は分けてくれたら後は問題ないな」
「お酒くらいしかまともな物出せないけどどうする?」
「食えりゃ問題ないさ、たっぷり食わせてやってくれ、酒も飲む」
贅沢は言わない。そもそもドワーフが経営している宿屋だ、酒にあう物と酒しかないであろう事は想像に難くないがそれでも食えないよりマシだろうし孤児の子供達に至っては食えるだけありがたいだろう。
「っと、それより部屋の前に風呂にはいんなよ、鉄臭い私達が言うのもなんだが臭うよ」
流石にあの貧民街から抜けてきたのだから仕方ないが子供達も男も総じて臭っていた。俺は慣れたがな。
夏場の剣道着といい勝負だ。
「風呂があるのか?」
「ああ、鉄打った後の汗と汚れは水じゃ落ちないだろ?それに風呂の後の酒は美味しいからねえ」
「なるほどな」
俺達は宿屋の女将さんにお礼を言うと先に風呂場へ案内してもらった。宿屋の風呂は離れに作られており岩を組んだものだ。
「かまどが見えないな、どうやってお湯を沸かしてる・・・ってあれか」
鍛冶場の業火のような炉の傍を水を汲んでいるらしいパイプが通っている。どうやら過加熱と有事の際の消化ポンプ的な役割を果たしているのだろうか。そしてもう一方から冷たい水が川から引かれている。
「いいなあ、風呂ほしいな」
番頭さんに頭を下げて脱衣所に向かう。衣服も此処で洗ってもらえるらしいが服を受け取る時手伝いの若衆が露骨に嫌そうな顔していた。堪忍な。
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