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ドラゴンと動力機関の章
ドワーフたちとサスペンション その4
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ありったけの荷物を積んで馬車を連結すると四両編成になった。有事に備えてそれぞれにブレーキ機構をつけて連結する。
「それじゃあいくぞ・・・」
そう言うと俺は試製一号乙型のアクセルを微速へとチェンジする。するとガコン、と音を立てて乙型は荷物を引っ張ったまま等速で動き始める。
「コーナリングはどうだ・・・?」
搭載されたパワーステアリングを試す為にハンドルをひねる。するとある程度回ったところでハンドルの可動域は終わり、その代わりにエンジンと同じモーター音がして車輪が向きを変えて楽に曲がれるようになった。若干鈍いが乙型自体が大きいので許容範囲だ。
「これなら実用に耐えるだろう、後は耐久性だが・・・こればっかりは時間が無いから乗りながら試そうか」
俺の言葉に皆が頷く。こうして荷物は乙型に積んで他のメンバーは外装式トーションバーの馬車に馬を繋いで移動する事に。
「それじゃあ俺達はエンゲンの街に届出にいってくるから」
「わかった。それじゃ合流でき次第出発だな」
一応のチェックの際にも亀裂や磨耗の跡は見受けられなかったので問題は無いだろう。最悪集落周辺まで持ってくれれば迎えも出せるし。ドワーフの皆はこの鍛冶場町を正式に手放す為に役所に届け出るようだ。しかし役所のチェックともなれば結構時間がかかるんじゃないだろうか。
そう思っていたが意外にもすんなり通った。結構前から鍛冶場の騒音や煤が問題となっていたようだ。
ドワーフ達の気性もお世辞にも上品とは言えず、道具類も輸入品があるため別段困る事はないと言われたとかで憤慨していた。まあ、そんなに外国の製品に依存したけりゃするがいいさ。あとで吠え面かいても知らないがな。
「さて、子供と職人を軽んじるこのしみったれた町ともおさらばだ。成功と栄光は彼方にあり!・・・ってか」
俺がそう言うとドワーフ達は笑って頷く。彼らは俺の言葉を信じて新天地へと向かう。俺の匙加減で彼らの将来は決まってしまうので責任重大だ。そんなかすかな不安をかき消すようにアクセルを微速から入れていくと乙型は徐々に加速していく。やがてモーターが唸りを上げて走り出し、それを追いかけるように馬車が追走する。
「ヒャッホー!凄いや!やっぱ凄いや師匠!」
自身が作った作品に師匠の面影を感じたのかブンロクは感極まった様子で笑顔を浮かべている。
「がっはっはー!これを俺達が作ったって知ったら役所の石頭共は泣いて悔しがるだろうぜ!」
ドワーフ達は馬車の乗り心地に笑いながら馬に鞭を入れる。地面は未舗装の道だがそれを気にする事無く馬車は軽快に走り抜けていく。しかし馬車の方は動力が動物なので徐々に遅れ始める。
「やっぱしモノには勝てねえな、燃料もいらないんじゃ勝てねえ」
スピードを落として馬にあわせるようにしてスピードを落とし、一日野宿する。そして翌朝途中の村で馬を預けて完全に乙型に任せて引っ張ると一週間掛かる行程は全体で半分以下となった。
「帰ったぞー」
そのまま集落まで乗り付けると皆が驚いた表情で俺達を出迎え、コボルト達が興味津々と言った様子で乙型に群がり始める。そして恒例の。
「ギェー!なんでエルフがここにっ!??」
「ゲェーッ!ドワーフが増えた!」
ドワーフとエルフの諍いというかじゃれあいを尻目にコボルト達から鍛冶を学びたいものを募り、ドワーフ達に弟子入りさせる形で人員として雇わせる。正直大工が多すぎて暇を持て余している者が増えていたので今回の鍛冶師の増加と紙の生産で遊んでいる人員が減ったので大変よろしい。
ドワーフ達にもエンゲンにいた頃よりもずっと高い賃金を約束できる上にドワーフの身内には宿屋の管理人や洗濯婦上がりのご夫人もいたので衛生管理にかんしてもそれなりに向上を期待できる。
なにせ集落に居るメンバーは全員家こそ持ったが未だに野宿癖が抜け切らない野生児ばかり。風呂やまともな食事を用意できる彼女達はきっと重宝するだろう。肝っ玉母さんばかりっぽいので若い子供のような連中ばかりの面倒も手馴れた様子だ。
「しかし此処はすげえな、紙に鉄の精錬、それに製材か」
ドワーフ達はこの集落で行われている生産業の多さに舌を巻いた。職人の町であり、恐らくリットリオとサマルの両国と比べても遜色ない工業の町だ。そして今回の魔導エンジンと車の開発で我々は世界に先駆けて産業革命を達成できるだろう。とりあえずクソ暑い夏や鍛冶場の為に扇風機とかも開発するか。
「鉄、紙、木材、そして麦もただいま生産中か」
今はまだ届いていないが獣人達の里では米や調味料の生産も再開されており、一部は酒として、そして残りの種類を少しずつ税として納めてもらう事になっている。楽しみである。
クルム麦も獣人の中の少数派の中に牛の獣人が居たのでその馬力を活かして牛鋤の作業に入ってもらっている。魔導エンジンが出来たので耕運機を開発するのもいいかもしれない。
そして今現在の治安を預かるエルフやダークエルフ達が狩って来る魔物の皮や肉も貴重な食料兼衣料品の材料になっている。お陰で冬の備えはバッチリである。
「それじゃあいくぞ・・・」
そう言うと俺は試製一号乙型のアクセルを微速へとチェンジする。するとガコン、と音を立てて乙型は荷物を引っ張ったまま等速で動き始める。
「コーナリングはどうだ・・・?」
搭載されたパワーステアリングを試す為にハンドルをひねる。するとある程度回ったところでハンドルの可動域は終わり、その代わりにエンジンと同じモーター音がして車輪が向きを変えて楽に曲がれるようになった。若干鈍いが乙型自体が大きいので許容範囲だ。
「これなら実用に耐えるだろう、後は耐久性だが・・・こればっかりは時間が無いから乗りながら試そうか」
俺の言葉に皆が頷く。こうして荷物は乙型に積んで他のメンバーは外装式トーションバーの馬車に馬を繋いで移動する事に。
「それじゃあ俺達はエンゲンの街に届出にいってくるから」
「わかった。それじゃ合流でき次第出発だな」
一応のチェックの際にも亀裂や磨耗の跡は見受けられなかったので問題は無いだろう。最悪集落周辺まで持ってくれれば迎えも出せるし。ドワーフの皆はこの鍛冶場町を正式に手放す為に役所に届け出るようだ。しかし役所のチェックともなれば結構時間がかかるんじゃないだろうか。
そう思っていたが意外にもすんなり通った。結構前から鍛冶場の騒音や煤が問題となっていたようだ。
ドワーフ達の気性もお世辞にも上品とは言えず、道具類も輸入品があるため別段困る事はないと言われたとかで憤慨していた。まあ、そんなに外国の製品に依存したけりゃするがいいさ。あとで吠え面かいても知らないがな。
「さて、子供と職人を軽んじるこのしみったれた町ともおさらばだ。成功と栄光は彼方にあり!・・・ってか」
俺がそう言うとドワーフ達は笑って頷く。彼らは俺の言葉を信じて新天地へと向かう。俺の匙加減で彼らの将来は決まってしまうので責任重大だ。そんなかすかな不安をかき消すようにアクセルを微速から入れていくと乙型は徐々に加速していく。やがてモーターが唸りを上げて走り出し、それを追いかけるように馬車が追走する。
「ヒャッホー!凄いや!やっぱ凄いや師匠!」
自身が作った作品に師匠の面影を感じたのかブンロクは感極まった様子で笑顔を浮かべている。
「がっはっはー!これを俺達が作ったって知ったら役所の石頭共は泣いて悔しがるだろうぜ!」
ドワーフ達は馬車の乗り心地に笑いながら馬に鞭を入れる。地面は未舗装の道だがそれを気にする事無く馬車は軽快に走り抜けていく。しかし馬車の方は動力が動物なので徐々に遅れ始める。
「やっぱしモノには勝てねえな、燃料もいらないんじゃ勝てねえ」
スピードを落として馬にあわせるようにしてスピードを落とし、一日野宿する。そして翌朝途中の村で馬を預けて完全に乙型に任せて引っ張ると一週間掛かる行程は全体で半分以下となった。
「帰ったぞー」
そのまま集落まで乗り付けると皆が驚いた表情で俺達を出迎え、コボルト達が興味津々と言った様子で乙型に群がり始める。そして恒例の。
「ギェー!なんでエルフがここにっ!??」
「ゲェーッ!ドワーフが増えた!」
ドワーフとエルフの諍いというかじゃれあいを尻目にコボルト達から鍛冶を学びたいものを募り、ドワーフ達に弟子入りさせる形で人員として雇わせる。正直大工が多すぎて暇を持て余している者が増えていたので今回の鍛冶師の増加と紙の生産で遊んでいる人員が減ったので大変よろしい。
ドワーフ達にもエンゲンにいた頃よりもずっと高い賃金を約束できる上にドワーフの身内には宿屋の管理人や洗濯婦上がりのご夫人もいたので衛生管理にかんしてもそれなりに向上を期待できる。
なにせ集落に居るメンバーは全員家こそ持ったが未だに野宿癖が抜け切らない野生児ばかり。風呂やまともな食事を用意できる彼女達はきっと重宝するだろう。肝っ玉母さんばかりっぽいので若い子供のような連中ばかりの面倒も手馴れた様子だ。
「しかし此処はすげえな、紙に鉄の精錬、それに製材か」
ドワーフ達はこの集落で行われている生産業の多さに舌を巻いた。職人の町であり、恐らくリットリオとサマルの両国と比べても遜色ない工業の町だ。そして今回の魔導エンジンと車の開発で我々は世界に先駆けて産業革命を達成できるだろう。とりあえずクソ暑い夏や鍛冶場の為に扇風機とかも開発するか。
「鉄、紙、木材、そして麦もただいま生産中か」
今はまだ届いていないが獣人達の里では米や調味料の生産も再開されており、一部は酒として、そして残りの種類を少しずつ税として納めてもらう事になっている。楽しみである。
クルム麦も獣人の中の少数派の中に牛の獣人が居たのでその馬力を活かして牛鋤の作業に入ってもらっている。魔導エンジンが出来たので耕運機を開発するのもいいかもしれない。
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