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ドラゴンと動力機関の章
嵐の前に
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翌朝、俺は両腕と体に感じる柔かい感触と温かさに包まれて目が覚めた。首だけ回して見て見ると俺の愛しい女神達が寄り添うようにして眠っている。
「そうだ、今日くらいは休もうって決めたんだった・・・」
彼女達の寝顔は普段からは考えられないほど安らいでおり、自意識過剰かとも思うが俺に対する多分な信頼を見せてくれているようだ。このような信頼と安らぎを守り続けていく為にも俺は過去の大きな戦いの記憶を辿り多くの力を引き出さねばならない。小さな我が国が永い繁栄を手にするには・・・。
ただいまの俺はドラゴンであり、単体で決戦兵器ではあるがそれが抑止力になるかと言われれば確かにそうなるかもしれない。だがそれではこの国の真の独立と反映は永久に訪れないであろう。
不死身の肉体と遥かに永い寿命をもって俺はこの国をどんな国にも負けない精強な国へと変えていかねばならない。
「全ては五人の妻とわが子達の為に・・・」
二人の頭を撫でて俺は人知れず決意する。欧州に暴風雨を吹き荒らした独裁者のように俺も千年続く国を作り上げよう、そして、わが子達が安心して巣立てるように。我が子達の後ろに続くものたちを育て上げる為に。
「ん・・・、あれ?旦那様・・・もう起きていらっしゃったんですか」
そっと抱き寄せたつもりが力が篭っていたらしい。アウロラが目を覚ますとシロナもそれにつられるように身を捩った。
「ああ、少し前にな。たまには寝坊してやろうと思ったのにこういう時に限って目が覚める」
休日に目覚ましなしで起きれてしまうあんな感じに囚われ、休養を決めた日に早起きしてしまった。
お陰で柄にもなく難しい事を考えてしまっていた。
「最近は特に精力的でしたもんね」
まるで猫か何かのように少し伸びをしたと思えば再び俺の体に擦り寄ってくる。まるで猫だ。対するシロナはというと腕を折りたたんで仰向けになって眠っている。コイツはイヌか。ぺたんと倒した耳が時折プコピコと動いているが・・・子供か。
「ああ、まあな・・・前世でだらけすぎたせいか思いついた事に飛びついてしまう」
「ふふ、前世は人・・・でしたっけ?」
「アウロラには話したのだったか?」
「いえ、でも旦那様はその強靭な体にも関わらず弱き者の痛みを理解する方だと思っておりましたから・・・人というのはとっても広いですし適当に言っただけですよ」
人、と一口に言うがエルフや獣人が指す『人』は獣人・亜人・人間・竜人・妖精族と兎に角人型であれば皆当てはまる。それゆえ亜人に類する人という言葉は非情に広いのだ。
そしてアウロラはヴォルカンに前世の記憶があるとは思っていない。前世が人間だという事も。だがヴォルカンが優しく、誠実で、他者の痛みを理解できる頼りがいのある人だと考えていた。ただその湯水のように湧き出る知識や大胆な行動がそこに起因するものであると気付くのはその更に先であった。
「そうか、まあなんでもいいさ・・・」
そっとアウロラの頭を撫でると笑みを浮かべて気持ちよさそうにする。起こしかけた体をそのままベッドに横たえてアウロラを抱きしめる。
「今日は穏やかな日だ、こんな日は休むに限る」
麗らかな日差しが窓から差し込む中俺達はまったりと二度寝を楽しむのだった。
だが、ヴォルカンの治めるまだ名前すらない国に最初の試練が訪れようとしていた・・・。
「そうだ、今日くらいは休もうって決めたんだった・・・」
彼女達の寝顔は普段からは考えられないほど安らいでおり、自意識過剰かとも思うが俺に対する多分な信頼を見せてくれているようだ。このような信頼と安らぎを守り続けていく為にも俺は過去の大きな戦いの記憶を辿り多くの力を引き出さねばならない。小さな我が国が永い繁栄を手にするには・・・。
ただいまの俺はドラゴンであり、単体で決戦兵器ではあるがそれが抑止力になるかと言われれば確かにそうなるかもしれない。だがそれではこの国の真の独立と反映は永久に訪れないであろう。
不死身の肉体と遥かに永い寿命をもって俺はこの国をどんな国にも負けない精強な国へと変えていかねばならない。
「全ては五人の妻とわが子達の為に・・・」
二人の頭を撫でて俺は人知れず決意する。欧州に暴風雨を吹き荒らした独裁者のように俺も千年続く国を作り上げよう、そして、わが子達が安心して巣立てるように。我が子達の後ろに続くものたちを育て上げる為に。
「ん・・・、あれ?旦那様・・・もう起きていらっしゃったんですか」
そっと抱き寄せたつもりが力が篭っていたらしい。アウロラが目を覚ますとシロナもそれにつられるように身を捩った。
「ああ、少し前にな。たまには寝坊してやろうと思ったのにこういう時に限って目が覚める」
休日に目覚ましなしで起きれてしまうあんな感じに囚われ、休養を決めた日に早起きしてしまった。
お陰で柄にもなく難しい事を考えてしまっていた。
「最近は特に精力的でしたもんね」
まるで猫か何かのように少し伸びをしたと思えば再び俺の体に擦り寄ってくる。まるで猫だ。対するシロナはというと腕を折りたたんで仰向けになって眠っている。コイツはイヌか。ぺたんと倒した耳が時折プコピコと動いているが・・・子供か。
「ああ、まあな・・・前世でだらけすぎたせいか思いついた事に飛びついてしまう」
「ふふ、前世は人・・・でしたっけ?」
「アウロラには話したのだったか?」
「いえ、でも旦那様はその強靭な体にも関わらず弱き者の痛みを理解する方だと思っておりましたから・・・人というのはとっても広いですし適当に言っただけですよ」
人、と一口に言うがエルフや獣人が指す『人』は獣人・亜人・人間・竜人・妖精族と兎に角人型であれば皆当てはまる。それゆえ亜人に類する人という言葉は非情に広いのだ。
そしてアウロラはヴォルカンに前世の記憶があるとは思っていない。前世が人間だという事も。だがヴォルカンが優しく、誠実で、他者の痛みを理解できる頼りがいのある人だと考えていた。ただその湯水のように湧き出る知識や大胆な行動がそこに起因するものであると気付くのはその更に先であった。
「そうか、まあなんでもいいさ・・・」
そっとアウロラの頭を撫でると笑みを浮かべて気持ちよさそうにする。起こしかけた体をそのままベッドに横たえてアウロラを抱きしめる。
「今日は穏やかな日だ、こんな日は休むに限る」
麗らかな日差しが窓から差し込む中俺達はまったりと二度寝を楽しむのだった。
だが、ヴォルカンの治めるまだ名前すらない国に最初の試練が訪れようとしていた・・・。
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