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ドラゴンと独立宣言の章
王都へ行こう その5
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「ふぃー食った食った」
「よく食うようになったな、まぁ元よりウチで小食なのはヴァルターと母さんぐらいだがな」
夕食が済んだ後に少し会話を挟んで俺達は別館に向かうことにした。
「あ、そうそう、アウロラちゃん、ちょっと」
食事を済ませて別館で休もうかと考えていたところにお袋から声が掛かる。
「どうしたんだよ?」
「彼女にちょっと用事があるだけよ、さっさとお風呂入って来ちゃいなさいよ。最近作ったのよ、設計図とにらめっこしてガランドが作ったから。力作よ?」
この世界の風呂はかなり贅沢だが湯治場で温泉に入った事のある親父は前々から計画を立てていた。
『軍団』騒ぎの折に俺のブレスをぶちかました場所に水が噴出したので計画を持ちかけられ、そこで俺は公衆浴場も作ることを条件に親父に多額の融資と情報提供をしたのだ。完成してたのか。
ドワーフのところの湯は鉄や炉を冷やした時の物だったので鉄臭かったがこっちの湯はどうなのだろうか。
「そういや前お前が浸かっていった後何故か客が殺到してな。なんかしたかお前?」
「!・・・いや?なんでだ?」
「水のはずが湯になってるし、なんか傷の治りが早いとかなんとか・・・」
忘れてた、前来た時誰も居ないのを良い事に帰りがけにドラゴンの姿のまま湧き水の中に入ったんだ。だれか見てたのか?!冷たかったのでもう一発ブレスかましたら湧き水が間欠泉になったんだったっけ。あの時は神様にしこたま怒られたんだが混浴の湯を作るっていったら許してくれたんだよな。
「う、うーん、流石に俺も忙しかったし知らないなぁ」
人間には魔力の質は感知できないらしいが魔物とかは敏感だからおそらくあそこらへんには一匹たりとて近寄らないだろう。獣とか一部の生き物の湯治場にもなりそうだな。領内の人間が増えていたのはそれが理由か。公衆浴場で得た資金はそのまま施設の維持に当てるので最低限の値段でいいので一般庶民のプチ贅沢としても人気であるとかなんとか。
「ふーむ、最近お前がなにかしでかしすぎて何かある度お前が関わってるんじゃないかと心配になるんだよ」
「心当たりが多すぎてなんとも言えんね」
ザンナル帝国もそうだし、サマルとリットリオの経済を裏から牛耳ってるとかやりたくてやった事からそんなつもりも無くやらかしてしまった事とか沢山ある。わが事ながら歴史と言う奴はこういう風に動いていくのかと考えたり考えなかったり。
「とりあえず俺は公衆浴場の方へ行って見るよ」
「いいのか?個人用のも作ってあるが」
「それはまた帰りがけに寄ったときに使わせてもらうよ」
公衆浴場がどんな感じか気になるし不埒な輩が出てきたら面倒だからな。親父のところでなにかしでかすバカが居るとは考えにくいがこの御時世に限らずどこにでもバカは湧くものだ。
俺は他の家族達が家の風呂を使うというので一人財布と着替えを片手に公衆浴場へと出かけることにした。
「おお、こりゃご立派な・・・」
何十人と一気に利用できそうな巨大な浴場が出来上がっていた。こりゃ下町の銭湯なんか目じゃないね。
建築こそ西洋のそれだがそこから漂ってくる雰囲気はまさに日本でも感じた一日の疲れを癒し、明日も頑張ろうという人々の憩いの場のそれであった。湿気対策にサマルでは珍しい石造りの建物はなんとなくローマとかそこらへんの感じか。
「さて、ささっと入るかね」
そう思いつつ扉を潜ろうとしたところ・・・。
「ちょいと待ちな兄ちゃん」
呼び止める声が聞こえたので振り返ってみるとなにやら厳つい顔つきのおっさんが何人かいた。
「なんだい、俺は忙しいんだが」
「此処の一番風呂は俺達が先に入るんだよ、兄ちゃんは後からきな」
「馬鹿馬鹿しい、何を言ってるんだ?」
居るよなーこう言うボス面する奴。めんどくせえ。
「で?譲らなかったらどうなるんだ?」
「テメエを叩きのめしてから入るだけ・・・オポッ?!」
バカバカしいので言い切る前に股間を蹴り上げる。膝を突いたところで顔面にとどめの蹴りを入れる。
「一番に入りたかったら一番に来いバカヤロー、一番乗りってのは正攻法で勝ち取ってこそ意味があるんだよ。勉強なったな、じゃーな」
見渡してみて誰も掛かってこないので俺は踵を返して入り口へと向かう。ドアを開けると僅かな蒸気が漂い、匂いとなって俺の鼻に届く。
「いらっしゃいませー」
公衆浴場の従業員はなんと可愛らしい女性ばかりだ。なんということだ。いかがわしいお店みたいだ。
「ああ、なんだ、ここは女性ばかりなのか?」
「はい、そうですよ。なんだか知りませんがそのほうがよろしいみたいで」
純粋そうな女性には悪いが言い出した奴は間違いなく邪な気持ちで従業員を決めてるんだろう。
女湯と男湯は壁で別れているらしいからいいんだろうが・・・。
「垢すりなどの一部のサービスは異性に頼むことは出来ませんので悪しからずです」
ほっとした。一応最低限度のルールは存在するようだ。
「男連中が喧嘩したときなんかは大丈夫なのか?」
「ええ、警備員の方がいらっしゃいますので」
背筋がゾッとしたので気配のほうを見るとムキムキのどうもアッチ系の男性が女性に混じって働いているのが見えた。しかも何人かは此方に視線を向けているではないか。
「なるほど、暴れる男はかれ・・・彼女達のお世話になるわけか」
(いやーん!か・の・じ・ょですって!)
(私の大胸筋がピクピクしちゃうわ!)
「料金は前払いでいいよな?足りなかったら帰りにまた払う」
金額を聞かずに銀貨を握らせると野太い黄色い声を頭から振り払い、俺は公衆浴場を満喫することにした。
「よく食うようになったな、まぁ元よりウチで小食なのはヴァルターと母さんぐらいだがな」
夕食が済んだ後に少し会話を挟んで俺達は別館に向かうことにした。
「あ、そうそう、アウロラちゃん、ちょっと」
食事を済ませて別館で休もうかと考えていたところにお袋から声が掛かる。
「どうしたんだよ?」
「彼女にちょっと用事があるだけよ、さっさとお風呂入って来ちゃいなさいよ。最近作ったのよ、設計図とにらめっこしてガランドが作ったから。力作よ?」
この世界の風呂はかなり贅沢だが湯治場で温泉に入った事のある親父は前々から計画を立てていた。
『軍団』騒ぎの折に俺のブレスをぶちかました場所に水が噴出したので計画を持ちかけられ、そこで俺は公衆浴場も作ることを条件に親父に多額の融資と情報提供をしたのだ。完成してたのか。
ドワーフのところの湯は鉄や炉を冷やした時の物だったので鉄臭かったがこっちの湯はどうなのだろうか。
「そういや前お前が浸かっていった後何故か客が殺到してな。なんかしたかお前?」
「!・・・いや?なんでだ?」
「水のはずが湯になってるし、なんか傷の治りが早いとかなんとか・・・」
忘れてた、前来た時誰も居ないのを良い事に帰りがけにドラゴンの姿のまま湧き水の中に入ったんだ。だれか見てたのか?!冷たかったのでもう一発ブレスかましたら湧き水が間欠泉になったんだったっけ。あの時は神様にしこたま怒られたんだが混浴の湯を作るっていったら許してくれたんだよな。
「う、うーん、流石に俺も忙しかったし知らないなぁ」
人間には魔力の質は感知できないらしいが魔物とかは敏感だからおそらくあそこらへんには一匹たりとて近寄らないだろう。獣とか一部の生き物の湯治場にもなりそうだな。領内の人間が増えていたのはそれが理由か。公衆浴場で得た資金はそのまま施設の維持に当てるので最低限の値段でいいので一般庶民のプチ贅沢としても人気であるとかなんとか。
「ふーむ、最近お前がなにかしでかしすぎて何かある度お前が関わってるんじゃないかと心配になるんだよ」
「心当たりが多すぎてなんとも言えんね」
ザンナル帝国もそうだし、サマルとリットリオの経済を裏から牛耳ってるとかやりたくてやった事からそんなつもりも無くやらかしてしまった事とか沢山ある。わが事ながら歴史と言う奴はこういう風に動いていくのかと考えたり考えなかったり。
「とりあえず俺は公衆浴場の方へ行って見るよ」
「いいのか?個人用のも作ってあるが」
「それはまた帰りがけに寄ったときに使わせてもらうよ」
公衆浴場がどんな感じか気になるし不埒な輩が出てきたら面倒だからな。親父のところでなにかしでかすバカが居るとは考えにくいがこの御時世に限らずどこにでもバカは湧くものだ。
俺は他の家族達が家の風呂を使うというので一人財布と着替えを片手に公衆浴場へと出かけることにした。
「おお、こりゃご立派な・・・」
何十人と一気に利用できそうな巨大な浴場が出来上がっていた。こりゃ下町の銭湯なんか目じゃないね。
建築こそ西洋のそれだがそこから漂ってくる雰囲気はまさに日本でも感じた一日の疲れを癒し、明日も頑張ろうという人々の憩いの場のそれであった。湿気対策にサマルでは珍しい石造りの建物はなんとなくローマとかそこらへんの感じか。
「さて、ささっと入るかね」
そう思いつつ扉を潜ろうとしたところ・・・。
「ちょいと待ちな兄ちゃん」
呼び止める声が聞こえたので振り返ってみるとなにやら厳つい顔つきのおっさんが何人かいた。
「なんだい、俺は忙しいんだが」
「此処の一番風呂は俺達が先に入るんだよ、兄ちゃんは後からきな」
「馬鹿馬鹿しい、何を言ってるんだ?」
居るよなーこう言うボス面する奴。めんどくせえ。
「で?譲らなかったらどうなるんだ?」
「テメエを叩きのめしてから入るだけ・・・オポッ?!」
バカバカしいので言い切る前に股間を蹴り上げる。膝を突いたところで顔面にとどめの蹴りを入れる。
「一番に入りたかったら一番に来いバカヤロー、一番乗りってのは正攻法で勝ち取ってこそ意味があるんだよ。勉強なったな、じゃーな」
見渡してみて誰も掛かってこないので俺は踵を返して入り口へと向かう。ドアを開けると僅かな蒸気が漂い、匂いとなって俺の鼻に届く。
「いらっしゃいませー」
公衆浴場の従業員はなんと可愛らしい女性ばかりだ。なんということだ。いかがわしいお店みたいだ。
「ああ、なんだ、ここは女性ばかりなのか?」
「はい、そうですよ。なんだか知りませんがそのほうがよろしいみたいで」
純粋そうな女性には悪いが言い出した奴は間違いなく邪な気持ちで従業員を決めてるんだろう。
女湯と男湯は壁で別れているらしいからいいんだろうが・・・。
「垢すりなどの一部のサービスは異性に頼むことは出来ませんので悪しからずです」
ほっとした。一応最低限度のルールは存在するようだ。
「男連中が喧嘩したときなんかは大丈夫なのか?」
「ええ、警備員の方がいらっしゃいますので」
背筋がゾッとしたので気配のほうを見るとムキムキのどうもアッチ系の男性が女性に混じって働いているのが見えた。しかも何人かは此方に視線を向けているではないか。
「なるほど、暴れる男はかれ・・・彼女達のお世話になるわけか」
(いやーん!か・の・じ・ょですって!)
(私の大胸筋がピクピクしちゃうわ!)
「料金は前払いでいいよな?足りなかったら帰りにまた払う」
金額を聞かずに銀貨を握らせると野太い黄色い声を頭から振り払い、俺は公衆浴場を満喫することにした。
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