ドラゴンになったので世界を救う為に国と跡継ぎつくります!

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ドラゴンと独立宣言の章

閑話・お姫様とドラゴンのお話 その2

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「私がお父様の子供じゃないって・・・だから王宮にお父さんに会えないの・・・」
『なんと・・・』

少女がパーティか王宮の中庭に何時もいた理由がその時初めてわかった。彼女は男爵令嬢の私生児として扱われており爵位すら与えられておらず中庭や本来女児が立ち入るべきでない修練場などが彼女の居場所であった。

『兄君がおっただろう・・・彼はどうしたのかね』
「お兄様は・・・お稽古だって・・・」
『ふぅむ』

この当時のフランツは男爵家の跡継ぎとして母方の祖父母から貴族としての英才教育を施されていた。それは大変厳しいものだったが後の事を考えるとこれは正しかったのだろう。

「だから・・・私、どこにもいられない・・・」
『ならば此処に来るといい』

涙ながらに言う彼女に俺は思わずそういっていた。余りに不憫だったからだ。大人の都合で居場所を無くしている彼女が。

「えっ、でも・・・私・・・」
『私が良いと言っている。誰にも文句は言わせん・・・例え君の祖父が言おうともな』
「祖父・・・?」
『この国の王だ、君がどう言おうがあの人が君の祖父だ』
「うん・・・わかった」
『ふ・・・ならば良い。しかし此処に閉じこもっているのも退屈になってきた所だ。剣を教えてやろう』

そう言うとアレクシアが目を丸くしていた。

「ドラゴンさんはどうして私が剣をしてるとわかったんですか?」
『ぬぐ?!・・・長生きだからだ!』
「長生きだからですか・・・」
『嫌な事は体を動かして忘れるのが効果的だからな・・・ではそこの棒切れを拾ってかかってくるがいい』
(やばいやばい、そういや俺がドラゴンである事は彼女は知らなかったんだったか。知っているのは国王と両親がもしかしたらーってレベルだったからな)

こうして人知れずアレクシアと俺の剣の修行が再開された。小さな頃から始めた事も手伝って彼女はメキメキと才能を伸ばしていった。それから何年か経った頃。

「お前さんにちょっと頼みたい事がある」

国王陛下から突然の呼び出しがあった。とは言えその当時まだ人化できたのは一日か二日が限界だったので日帰りであえる場所に移動し会談することに。

「グルル・・・陛下、頼みたい事って?」
「うむ、近々息子達が結婚する事になった」
「そりゃ・・・グル・・・めでたい」
「突然ドラゴンに変身したりせんよな?」
「心配なら早めに済ませてくれると助かる」

時折瞳が細くなったり、牙が出たりしてたのでこの当時は大分と国王陛下に心配されていた。

「だがバカ共がそれを妨害しようとしているらしい」
「なるほど・・・」
「令嬢殿とあの子達は我等で守るがそれだけでは後の禍根を断つ事はできまい、なのでお前さんの力を借りたいのだ。不肖の息子の結婚式を成功させて欲しい」
「いいでしょう、上手く行けばあの子達も不遇な環境から解放される」

打ち合わせも簡単に済み、当日、俺は農場から翼をはためかせて王都の結婚式場へと参上した。

『ここら辺か?』

大空を小型化して飛んでいると結婚式場が見えてきた。能力をフル活用して状況を探ると結婚式場では円満とは言えないながらも式が着々と進んでいた。

『ふむふむ・・・健やかなる時も・・・ってお決まりの文句だな』

教会で教皇が結婚の文句を述べている所だった。そしてその後二人が誓いを立てた所で国王陛下の予想通り何人かが立ち上がり新婦に文句をつけ始めた。

『なにない・・・卑しい身分の・・・フン、詰まらん』

俺は打ち合わせどおり5メートルくらいのサイズに調整しながら結婚式場へと舞い降りた。

『目出度い雰囲気に誘われてくれば・・・貴人の結婚式か?ふふふ、良き所に来たもの』

度肝を抜かれる貴族連中や騎士団連中を押しのけて俺は首を突っ込み、二人の前へと鼻先を持っていく。

『お前達は此れより死が二人を別つまで互いに愛し合うと誓うか?』
「ちっ、誓う!私の名誉にかけて!私はこの女性を生涯愛し続ける!わが子と共に!」
「私も・・・誓います」

一世一代の勇気を振り絞ったのだろう。優柔不断で有名な皇太子が即断するとは。

『良き哉良き哉・・・睦まじくあれ』

二人に笑みを向けるがどうやらドラゴンの顔では余り笑顔はウケないらしい。何人かが震えていた。

『異議のある者は?今の内に名乗り出よ』

そう言うが誰も名乗り出る様子はない。神話の生物が現れて結婚を認めてしまっては誰も逆らえない様だ。まあ、此処で逆らったら漏れなく教会も敵に回すがな。

『ご両人、今そなた等は晴れて夫婦となった・・・子と共に息災にな』

その時の様子を伝える伝記にはこう記されている。

その日、ドラゴンによって反対派は完全に沈黙した。二人の結婚を見届けたドラゴンはブレスを吐いて雲を噴き飛ばし天候を雲ひとつ無い快晴にした。教皇はこの事に感激し、公式に皇太子殿下の結婚を祝福し、彼らの結婚は天が望んだ事だと嬉々として宣伝した。後にフリードリッヒ王は父であるエディアルト王に負けぬ知略と妻との深い絆を武器にサマルを大いに発展させ、フランツ王と続く繁栄の礎を築いた。
その影には必ず妻の姿があり、功績の半分は彼女のお陰であるという声も少なくない。
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