ドラゴンになったので世界を救う為に国と跡継ぎつくります!

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ドラゴンと独立宣言の章

リットリオのあれこれ その3

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一休みした俺達は一度闘技場に向かい、貴重品を置いてテルミットを交えて変装について話し合う事に。

「人間の姿をしていなければならないのだが・・・生憎とサマルの人間とバレると不味い。変装する必要があるんだが何かいい手はないか?」
「変装・・・ですか」
「あまり突飛なのは困るぞ」
「そうですね・・・あっ、そうだ!」

そう言うとテルミットはしばらく考える素振りを見せるとやがて何かを思い出したように手を叩いて立ち上がった。そして自室の引き出しからあれこれと探しまわるとやがて派手な銀色のマスクを手に戻ってきた。

「このお忍び用のマスクなんてどうでしょうか!」

顔の上半分を隠す銀色のマスク。気分はさながらオペラ座の怪人である。たしかにこれなら正体を隠して王子達と行動できるかもしれない。またこのマスクは貴族御用達の店で販売されているものらしく、このマスクをつけていることが貴族位にある事を示す物らしい。またこのマスクをつけている人物の素性を尋ねる事は貴族にとってはタブーであり、もっとも基礎的なマナーなので詮索もされないらしい。そのぶん『あ、この人って何かワケありなんだな』と宣伝して歩く事になるのが玉に瑕らしいのだが。
もちろん騎士団などには通用しないし、あくまでマナーなので強制力もない。

「身分証を兼ねた変装道具か、まあこれならいいだろう」
「服装も変えるんですよね?ならこの服をお召しになってください」

そう言って手渡されたのは黒の燕尾服。サイズもぴったりでとてもよろしい。

「こんな燕尾服何時手に入れた?」
「ひ、秘密です」
「左様ですか・・・」

白昼堂々着る物ではないが仕方ない。髪を撫で付けて寝かせ、マスクをする。すると夜会に登場する貴公子(テルミット談)が完成する。変装するためとは言えずいぶんと困った服装だ。

「変じゃないか?」
「まさか!素敵です!」
「朝とかにも着るかもしれないんだが?」
「それは・・・」

そういうとテルミットは黙り込んでしまった。まさか夜の装いしかなかったのか。彼女の困り顔をみているとどうやら図星らしい。っていうかこの燕尾服は間違いなくテルミットの趣味だな。両親のところでドレスを着せてもらってからなにかとダンスパーティ的な事を喋っていたとシロナ達もいっていた。もしなにか機会があったら彼女とダンスでも踊るか。しかしながら荒事もあるかもしれないところに礼装で乗り込むのはちょっと危なっかしい。汚したりしたら勿体無いし。

「やっぱり燕尾服はナシの方向で」
「うーん、似合うと思ったのですが・・・」
「夜会の服で昼間にウロウロしてたら変だろ。仮面とコンボでだったらなおさらだ」

ということで結局闘技場で貸し出されている中で一番上級の剣士の格好を貸し出してもらうことにした。
黒のシャツにズボン、金属製の鎧を身につけてマスクをつける。すると先ほどよりかは全ての時間帯に対応した格好になった。

「王子到着するのは何時ごろになりそうだ?」
「仲間の連絡だと規定のルートを通って二日ほどで到着するようです」
「それじゃ先に俺達も下調べをするか」

お話では彼らがどのような勢力を持っており、どのような活動をしているかが気になる。前回マフィアを潰した際は芋づる式が大変よろしくないレベルで行われてしまった為サマルではそれほど知られていないがテルミットの部下から入ってくる情報に目を通すと眩暈を避けられないレベルである。

「リットリオ国王は痛みを覚悟できる指導者であったと喜ぶべきなのか・・・」

上級貴族のおよそ四割が死刑レベルの犯罪に荷担していたとして当主とその当事者にその責任を迫った上で刑の執行には一切の慈悲はなく。下級貴族ではさらに苛烈となった。騎士団が復活し政治には貴族以外も参加し始め代替が多少は可能になったとはいえ政治体系として問題ないのだろうか?犠牲者はどれも悪事に荷担した悪党やその腰巾着ではある。それだけリットリオに浸透したマフィア達の根が深かった事もあるが刑の苛烈さの背景には国王自身もマフィアを憎んでいたのも否定できない。国王はなにより国の安寧と国民の安寧を願う清廉にして潔白の御仁だ。ザンナルの皇帝が優しき仁の為政者であるとするならリットリオの国王は慈悲を備えつつも悪を絶対に許さない完璧主義の一面を今回見せた。
かくして断罪の夜が明けた朝には血生臭い事実を知らぬ国民達がせっせと失ったモノを埋める希望を胸に日々を過ごしている。

「世の中綺麗事だけでは回らない・・・なんて事実は知りたくはなかったが」

重職であった貴族も例外なく処断され、皇太子達が頭を悩ませる両派閥にも少なからず逮捕者が出ているようだ。まあ派閥とは言ってもあくまで処断された者の中に血縁者が居たと言うだけで実際は関係ないのかもしれないが。しかし義理とはいえ叔父や従兄弟までも処断する苛烈さは凄まじい。
実際断絶した貴族も結構居るらしいが治安を騎士団が、治世を代官や民衆の合議で決めるなどの緊急策をとっている様だ。
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