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ドラゴンと独立宣言の章
ザンナルのあれから
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フィゼラーまで飛ぶこと数分、そこから帰国の報告もそこそこにトラックに乗り込み、一路ザンナルへと向かう。
「あーあ、そろそろ休暇が欲しいぜ」
「?なにか仰いましたか?」
「いや、なにも」
自分で運転しようかとも思ったがトラックを見せるのはまだ面倒なので運転手を募って乗って帰ってもらうことに。しかしまあ、偉くなると愚痴もおいそれとできないな。
「扶桑はどうなっている?」
「皆元気にやってますよ、最近じゃ異種族も増えて・・・揉める事もありますがそれもじきに慣れます」
「慣れ・・・か、常に法度の多きは宜しからずとも言うしな。近所付き合いは大切にしてもらいたい」
法律も大事だろうが、決めて縛り付けても後で面倒が増えるだけだろう。常に柔軟に、流動的に動かないといけないな。俺の頭が硬いぶん、余計にそうである必要がある。
「ふぅ、とりあえず扶桑の事はしばらくは大丈夫そうだから安心だな」
「ええ、我ら粉骨砕身の努力で扶桑国を発展させていきますよ」
狼獣人や犬型獣人らしい忠義心、そして責任感でふんす!と鼻息荒く答える運転手の青年。いやはや、なんとも頼もしい限りである。自分がこれくらいの時は・・・いや、考えるだけ詮なきことってやつか。
「ここらへんで良いぞ、バレると面倒だからな」
「了解です、それでは」
俺が降りたのを見計らいトラックは反転して来た道を戻っていく。揺れも相変わらずかと思いきや初生産の頃を思い返すと劇的に変化していた。サスペンションの改良なんかも逐次進んでいるらしい。
「さて、これからが大変だぞ」
歩いて移動の上にそのあとに控えているのは俺が一番苦手な人との折衝を推し量る仕事だ。正直殴り合いで解決できたら簡単なんだが・・・。
「伯爵様、戻られましたか」
「ああ、警備ご苦労。楽にしてくれ」
すれ違う獣人達と挨拶を交わしながら俺はザンナルの跡地を巡る。どうやら禁断の切り札であるコボルト達を投入したらしく木造の家屋がフィゼラーの国境付近では立ち並んでいる。そこから木材を中継して旧ザンナル首都へと運搬しているようだが・・・。
「大型獣がいないのか、どうやって引っ張ってんだ?」
「恥ずかしながら人力ですな」
「恥ずかしいというより非効率だろ、馬は?」
「前回の戦役で徴発されてしまい、民間には痩せた馬かキャンメルしか・・・」
キャンメルというのはロバみたいな動物のこと。乾燥や飢餓には強いがのんびり屋な上に個体での力は弱い為小型の荷車しか曳けないとのこと。木材も薪レベルの物しか運べない上に縄張り意識が強いのかなんなのか、並べると喧嘩したり足並みが揃わないなどで何頭か繋いで走らせるのも難しいそうだ。それでも一日に進める距離や時間は長いので軽い荷物や個人で商いをしている商人などはキャンメルを使っているそうだ。
「ふーむ、馬か・・・馬にとって代わるなにかがいるが・・・」
ザンナルは休憩地点となる農村も多いとはいえ荒れ地ばかりの長い距離。人力は非効率な上に非人道的って言っていいレベルだ。最悪トラックを利用する事になるかもしれんな。
「・・・、馬か牛でも都合してもらうか・・・」
アレクシアと協議して正式に都合してもらえれば一応の解決は見られる。もしくは水路を引いてそこで運ぶかだが・・・。生憎とフィゼラーからは水路を利用できるだけの河川もない。山に隔たれていないだけマシといったレベルか。
「供給が追い付いていないな」
既に出荷待ちの木材の山が国境付近の街にはできていた。これを人力で首都まで?無理だろ、死人が出る前になんとかしないとな。
「とりあえずこの問題は俺一人ではどうにもできんな」
「伯爵様でもですか?」
「いろんな人が関わっているから扶桑国だけの話じゃないんだ。下手を打つとどうなるかわからんぞ」
警備の獣人は頭に?を浮かべていたが・・・、仕方ないだろう。警備の人間に話すべき内容ではなかったな。とりあえず視察もそこそこにアレクシアの元へと向かう。
キャンメルの荷馬車に同伴させてもらったり、木材を満載した馬車を引く人足に労いの言葉をかけたりといろいろしているとかなり時間がかかってしまった。
「首都は・・・まあ、おおよその予想はついていたが」
材料が届かないのでは復興もクソもないといった様相だ。かろうじてキャンメルの商隊による食料の輸送やサマルから来た騎士達の主導による食料供給は行われているが今も戦火の傷跡がそこかしこでそのままになっている。
先だって作られたアレクシアが駐留する総督府も簡素で、旧ザンナルの貴族の邸宅に劣る残念極まりない状態だ。質素なのが幸いしてか市民のウケは悪くないのがせめてもの救いだ。聞くところによるとアレクシアだけでなく騎士達も視察や時には自ら額に汗して瓦礫の撤去などを手伝っているという。アダムスターの私兵には樵が居たりで兵士と開拓者を兼任しているものもいるがサマルでは同様に今で言うところの工兵に当たる部隊があるらしいとは聞いていた。
なので建築まではできずとも整地や瓦礫の撤去ならば可能なのだろう。
「あーあ、そろそろ休暇が欲しいぜ」
「?なにか仰いましたか?」
「いや、なにも」
自分で運転しようかとも思ったがトラックを見せるのはまだ面倒なので運転手を募って乗って帰ってもらうことに。しかしまあ、偉くなると愚痴もおいそれとできないな。
「扶桑はどうなっている?」
「皆元気にやってますよ、最近じゃ異種族も増えて・・・揉める事もありますがそれもじきに慣れます」
「慣れ・・・か、常に法度の多きは宜しからずとも言うしな。近所付き合いは大切にしてもらいたい」
法律も大事だろうが、決めて縛り付けても後で面倒が増えるだけだろう。常に柔軟に、流動的に動かないといけないな。俺の頭が硬いぶん、余計にそうである必要がある。
「ふぅ、とりあえず扶桑の事はしばらくは大丈夫そうだから安心だな」
「ええ、我ら粉骨砕身の努力で扶桑国を発展させていきますよ」
狼獣人や犬型獣人らしい忠義心、そして責任感でふんす!と鼻息荒く答える運転手の青年。いやはや、なんとも頼もしい限りである。自分がこれくらいの時は・・・いや、考えるだけ詮なきことってやつか。
「ここらへんで良いぞ、バレると面倒だからな」
「了解です、それでは」
俺が降りたのを見計らいトラックは反転して来た道を戻っていく。揺れも相変わらずかと思いきや初生産の頃を思い返すと劇的に変化していた。サスペンションの改良なんかも逐次進んでいるらしい。
「さて、これからが大変だぞ」
歩いて移動の上にそのあとに控えているのは俺が一番苦手な人との折衝を推し量る仕事だ。正直殴り合いで解決できたら簡単なんだが・・・。
「伯爵様、戻られましたか」
「ああ、警備ご苦労。楽にしてくれ」
すれ違う獣人達と挨拶を交わしながら俺はザンナルの跡地を巡る。どうやら禁断の切り札であるコボルト達を投入したらしく木造の家屋がフィゼラーの国境付近では立ち並んでいる。そこから木材を中継して旧ザンナル首都へと運搬しているようだが・・・。
「大型獣がいないのか、どうやって引っ張ってんだ?」
「恥ずかしながら人力ですな」
「恥ずかしいというより非効率だろ、馬は?」
「前回の戦役で徴発されてしまい、民間には痩せた馬かキャンメルしか・・・」
キャンメルというのはロバみたいな動物のこと。乾燥や飢餓には強いがのんびり屋な上に個体での力は弱い為小型の荷車しか曳けないとのこと。木材も薪レベルの物しか運べない上に縄張り意識が強いのかなんなのか、並べると喧嘩したり足並みが揃わないなどで何頭か繋いで走らせるのも難しいそうだ。それでも一日に進める距離や時間は長いので軽い荷物や個人で商いをしている商人などはキャンメルを使っているそうだ。
「ふーむ、馬か・・・馬にとって代わるなにかがいるが・・・」
ザンナルは休憩地点となる農村も多いとはいえ荒れ地ばかりの長い距離。人力は非効率な上に非人道的って言っていいレベルだ。最悪トラックを利用する事になるかもしれんな。
「・・・、馬か牛でも都合してもらうか・・・」
アレクシアと協議して正式に都合してもらえれば一応の解決は見られる。もしくは水路を引いてそこで運ぶかだが・・・。生憎とフィゼラーからは水路を利用できるだけの河川もない。山に隔たれていないだけマシといったレベルか。
「供給が追い付いていないな」
既に出荷待ちの木材の山が国境付近の街にはできていた。これを人力で首都まで?無理だろ、死人が出る前になんとかしないとな。
「とりあえずこの問題は俺一人ではどうにもできんな」
「伯爵様でもですか?」
「いろんな人が関わっているから扶桑国だけの話じゃないんだ。下手を打つとどうなるかわからんぞ」
警備の獣人は頭に?を浮かべていたが・・・、仕方ないだろう。警備の人間に話すべき内容ではなかったな。とりあえず視察もそこそこにアレクシアの元へと向かう。
キャンメルの荷馬車に同伴させてもらったり、木材を満載した馬車を引く人足に労いの言葉をかけたりといろいろしているとかなり時間がかかってしまった。
「首都は・・・まあ、おおよその予想はついていたが」
材料が届かないのでは復興もクソもないといった様相だ。かろうじてキャンメルの商隊による食料の輸送やサマルから来た騎士達の主導による食料供給は行われているが今も戦火の傷跡がそこかしこでそのままになっている。
先だって作られたアレクシアが駐留する総督府も簡素で、旧ザンナルの貴族の邸宅に劣る残念極まりない状態だ。質素なのが幸いしてか市民のウケは悪くないのがせめてもの救いだ。聞くところによるとアレクシアだけでなく騎士達も視察や時には自ら額に汗して瓦礫の撤去などを手伝っているという。アダムスターの私兵には樵が居たりで兵士と開拓者を兼任しているものもいるがサマルでは同様に今で言うところの工兵に当たる部隊があるらしいとは聞いていた。
なので建築まではできずとも整地や瓦礫の撤去ならば可能なのだろう。
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