263 / 282
ドラゴンと独立宣言の章
リフレッシュしたところで
しおりを挟む
さて、いろいろ発散できたのでそろそろ本題に入ろう。トラックの本格運用だ。これを国内だけでなくサマルやザンナル領での利用を目指しての対策を考えないといけない。
「魔導金属という高いハードルがあるから早々真似はされないと思うが・・・」
そもそも扶桑国には俺と言う無料の魔導金属加工機があるのでどうとでもなる。数か月に一度炉に火を吹き込めば後は火と鉄のプロであるドワーフ達がそれを有益に活用してくれる。しかし機構の真似自体は簡単なのだ。
なにせ、魔導金属の二つに反発する作用があり、魔導金属の金属片三つと水の張った桶とコップでもあれば気づけることだ。魔導金属の量が増えて、簡易な開発方法が発見されればトラックも直にできるだろう。
「うう・・・魔導金属が生産できている時点でまず大変な事なんですが・・・」
「それもそうだ、そして・・・知られるとむちゃくちゃ面倒くさい」
「利益がとんでもない事になりますしね」
とりあえず間に合わせの魔法で出した水で濡らしたタオルで体をふきながらアレクシアとあれこれ話し合う。
「とりあえずヴォルが持ちすぎるというのであれば・・・王族の所有物ということでトラックを運用するのはどうでしょうか?」
「うーむ、それが妥当なのか?」
やはり俺の所有物ではなく、アレクシア所有というのが一番角が立ちにくいだろうか。中身の機構もそれに伴って秘匿されれば不用意に真似されることもない。
「そうなるとどうやって王族所有を証明するんだ?」
「それにはちゃんと解決策があるのです!」
ささっと着替えるとアレクシアは自身の机の引き出しからビロードの箱を取り出した。
上等そうなそれは割りと大きな物で、ちょっとしたポスター位のサイズだった。
「その箱は?」
「私が将軍の席に就いたときにお祖父様から戴いた私個人の紋章です」
箱から取り出して見るとそこには鎧を纏った龍が槍を手に佇むイラストが描かれており、それが一枚の金属板になっている。これは・・・。
「判子か」
「そうです!魔力を込めれば何にでも捺せる凄い判子です!」
魔導金属を使用した特殊な判子だ。王公貴族以外は所持すら許されない権威の象徴。
アレクシアは王族なのだが・・・その価値がわかっているか怪しい反応してやがる。判子も凄いがそれの所持が如何なる意味を持つかがわかってないんじゃ・・・。
「ほら、私の枕にも捺せました!」
確定、用意したのは陛下だろうが持たせたのは父親の方だな!畜生目ぇ。枕なんかに捺すんじゃないよ!
「アレクシア、お前は後でお説教だ」
「ええっ!」
俺に対するリアクションからして意味が全くわかっていやがらねえ。公文書とかに使うもんだろうに。そう思っていると案の定文書用の小型の判子も。大きな判子とも寸分の違いもなくスケールダウンさせた職人の技が光る逸品が・・・。
よく見ると文書の束の上に・・・あるような?
「あそこにあるのは?」
「小さい判子ですね、文書の決裁に使うのでそこにいつも置いています」
無用心極まりないが用途はちゃんとしたものなので安心した。これで文鎮にしてたら拳骨モノだったが・・・。
「これなら木材や金属にも捺せるハズですよ」
「なるほど」
とりあえず文書にも使用されていると言うことならある程度の知名度もあるだろう。貴族連中も王族の所有物ともなれば文句も言いにくいだろう。
「ありがたく借り受けよう、これがあればすぐにでも木材を首都まで運び込める」
「その車はそれほど凄いのですか?」
「生物が動力じゃないから御者の体力さえ持てば一日中移動できる」
そう言うとアレクシアは顎に手を添えて考え込む。軍を動かす用兵の観点からも衝撃的なんだろう。
「すごい・・・速度は?」
「馬車並みには出せる」
そう言うとアレクシアは再び考え込んだ。流石に事が重大過ぎたか?
「とりあえずお祖父様と父上に話をあわせておいてください、私ではちょっと手に余る内容です」
「わかった、こちらで早馬を出しておく」
ダークエルフの斥候にそれを頼めば良いだろう。フィゼラー駐留のメンバーを同行させれば魔導エンジン車の説明もできるだろう。
「それなら大丈夫です、後は私に実物を見せておいてくれれば
「そう言われると確かにそうだ、どうしようかな・・・」
「フィゼラー近辺にあるなら視察という名目で行けますが?」
「そうしよう、それなら時期的にもおかしくない」
打ち合わせを終え、軽くだべってから俺は一旦アレクシアと別れて首都近辺に詰めている獣人部隊に召集をかける。それからダークエルフにも召集をかけ、彼女達にアレクシアのサイン要りの文書を添えてトラックの件の確認をとっておく。
「それでは獣人部隊は先行してトラックを確保してくれ」
「了解です、伯爵様」
「斥候隊は貴族連中に気取られないように移動することを徹底しろ、打ち合わせはできるだけ念入りにな」
「我等原初の王の御心のままに」
ニ部隊の返事に頷くと彼らは一斉に行動を開始した。さて、俺も行動するとしよう。
「魔導金属という高いハードルがあるから早々真似はされないと思うが・・・」
そもそも扶桑国には俺と言う無料の魔導金属加工機があるのでどうとでもなる。数か月に一度炉に火を吹き込めば後は火と鉄のプロであるドワーフ達がそれを有益に活用してくれる。しかし機構の真似自体は簡単なのだ。
なにせ、魔導金属の二つに反発する作用があり、魔導金属の金属片三つと水の張った桶とコップでもあれば気づけることだ。魔導金属の量が増えて、簡易な開発方法が発見されればトラックも直にできるだろう。
「うう・・・魔導金属が生産できている時点でまず大変な事なんですが・・・」
「それもそうだ、そして・・・知られるとむちゃくちゃ面倒くさい」
「利益がとんでもない事になりますしね」
とりあえず間に合わせの魔法で出した水で濡らしたタオルで体をふきながらアレクシアとあれこれ話し合う。
「とりあえずヴォルが持ちすぎるというのであれば・・・王族の所有物ということでトラックを運用するのはどうでしょうか?」
「うーむ、それが妥当なのか?」
やはり俺の所有物ではなく、アレクシア所有というのが一番角が立ちにくいだろうか。中身の機構もそれに伴って秘匿されれば不用意に真似されることもない。
「そうなるとどうやって王族所有を証明するんだ?」
「それにはちゃんと解決策があるのです!」
ささっと着替えるとアレクシアは自身の机の引き出しからビロードの箱を取り出した。
上等そうなそれは割りと大きな物で、ちょっとしたポスター位のサイズだった。
「その箱は?」
「私が将軍の席に就いたときにお祖父様から戴いた私個人の紋章です」
箱から取り出して見るとそこには鎧を纏った龍が槍を手に佇むイラストが描かれており、それが一枚の金属板になっている。これは・・・。
「判子か」
「そうです!魔力を込めれば何にでも捺せる凄い判子です!」
魔導金属を使用した特殊な判子だ。王公貴族以外は所持すら許されない権威の象徴。
アレクシアは王族なのだが・・・その価値がわかっているか怪しい反応してやがる。判子も凄いがそれの所持が如何なる意味を持つかがわかってないんじゃ・・・。
「ほら、私の枕にも捺せました!」
確定、用意したのは陛下だろうが持たせたのは父親の方だな!畜生目ぇ。枕なんかに捺すんじゃないよ!
「アレクシア、お前は後でお説教だ」
「ええっ!」
俺に対するリアクションからして意味が全くわかっていやがらねえ。公文書とかに使うもんだろうに。そう思っていると案の定文書用の小型の判子も。大きな判子とも寸分の違いもなくスケールダウンさせた職人の技が光る逸品が・・・。
よく見ると文書の束の上に・・・あるような?
「あそこにあるのは?」
「小さい判子ですね、文書の決裁に使うのでそこにいつも置いています」
無用心極まりないが用途はちゃんとしたものなので安心した。これで文鎮にしてたら拳骨モノだったが・・・。
「これなら木材や金属にも捺せるハズですよ」
「なるほど」
とりあえず文書にも使用されていると言うことならある程度の知名度もあるだろう。貴族連中も王族の所有物ともなれば文句も言いにくいだろう。
「ありがたく借り受けよう、これがあればすぐにでも木材を首都まで運び込める」
「その車はそれほど凄いのですか?」
「生物が動力じゃないから御者の体力さえ持てば一日中移動できる」
そう言うとアレクシアは顎に手を添えて考え込む。軍を動かす用兵の観点からも衝撃的なんだろう。
「すごい・・・速度は?」
「馬車並みには出せる」
そう言うとアレクシアは再び考え込んだ。流石に事が重大過ぎたか?
「とりあえずお祖父様と父上に話をあわせておいてください、私ではちょっと手に余る内容です」
「わかった、こちらで早馬を出しておく」
ダークエルフの斥候にそれを頼めば良いだろう。フィゼラー駐留のメンバーを同行させれば魔導エンジン車の説明もできるだろう。
「それなら大丈夫です、後は私に実物を見せておいてくれれば
「そう言われると確かにそうだ、どうしようかな・・・」
「フィゼラー近辺にあるなら視察という名目で行けますが?」
「そうしよう、それなら時期的にもおかしくない」
打ち合わせを終え、軽くだべってから俺は一旦アレクシアと別れて首都近辺に詰めている獣人部隊に召集をかける。それからダークエルフにも召集をかけ、彼女達にアレクシアのサイン要りの文書を添えてトラックの件の確認をとっておく。
「それでは獣人部隊は先行してトラックを確保してくれ」
「了解です、伯爵様」
「斥候隊は貴族連中に気取られないように移動することを徹底しろ、打ち合わせはできるだけ念入りにな」
「我等原初の王の御心のままに」
ニ部隊の返事に頷くと彼らは一斉に行動を開始した。さて、俺も行動するとしよう。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!
くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作)
異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる