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第四章

ちゃんとした衣食住の確保

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そういや、この世界に来てから、まともな食事をしていない。
食ってるものといえば謎の魚肉と謎の雑草など。
そろそろちゃんとしたメシ食いたいな。
と思ったので、衣食住の『食』をクリアすることにした。
まず最初に、これをしておかなければならない。
「よく聞け!
これからはゴブリン達とガルー達は共同で生活すること!
わかったか?」
「了解です!」
見た感じ、ゴブリンよりもガルー達の方が少し数が多かった。
これならガルー達を食料調達に回せるな…
「よし、余ったガルー達の10は食料調達に
行ってもらう!
交代制で5ずつな!
まだ余っているガルー達は…
ゴブリン達に稽古をつけておいてやってくれ!
いつでも戦えるようにな!」
「はっ!了解しました!クリス様!」
後は『住』か…
『衣』はまぁ…なんとかなってるだろ。
なくなったらゴブリンが作ってくれるだろうし。
問題は『住』かぁ…
マジでどうしよう…
俺も建築なんか皆無だからなぁ…
こんな時こそ漫画の情報が役に立つ!
思い出せ…
思いつかなかったので簡易的なテントみたいなのにしようか。
移住しようと思えばすぐ出来るように。
素材は…麻布みたいなのでいいかな?
麻なんてあるのかこの世界に?
織物を作っているゴブリンに素材を聞いてみるとしよう。
俺はそのゴブリンに会いに行くため、
その場所までカルアに案内してもらった。
「ここがそうですぞクリス様。」
「ありがとう、カルア。」
俺はその中に入った途端、啞然とした。
「え?ゴブリンじゃないの?」
「あれ?言ってなかったですかね?
私達の村の衣服担当は、『人間』ですぞ。」
な、な、ななななんだってー!?
「あ、始めましてクリス様。」
声も顔もめっちゃ可愛いじゃん!
「名前なんて言うの?」
「私の名前は、無いです。
捨て子なんですよね…」
「じゃあ俺が名前を付けようかな!」
どうせなら日本人っぽい名前にしてあげよう!
「君の名前は、『ミズハ・コレンジ』だ!」
漢字にするとこう→小恋寺 瑞浪。
我ながらナイスネーミングセンス。
「わぁ!捨て子の私にそんな素敵な名前…!
ありがとう御座います!クリス様!」
抱きつかれた。
猫又とは言え、外見はほぼ猫。
だから抱かれてもおかしくはない…が、
いい匂いがして、柔らかい髪に当たり、
遂には禁断の場所にも当たってしまった。
男の花園に俺は着いてしまった…(つまり気持ち良すぎて気絶した。)

数日後、目が覚めると食料は山のようにあり、
テントのようなものが50個程出来ていた!
「お前達、上出来だ!
これからも仕事に励むように!」
それとあとは法律だな。
ルールがなけりゃ争いは簡単に起きてしまう。
ここは一つ、エルト法という法律でも作るか。
【エルト法
一つ 村内での内戦はしないこと!
一つ 他のモンスターを下に見ないこと!
一つ 何事にも常に心を一つにして行動すること!】
「はい!」
「こらクリス様に向かって何だ!」
「気にしないでいいよカルラ。
はい!トノト君!なんですか!」
「『下に見ない』とはどういう意味ですか!」
「俺たちの方が強いから~。とか、
お前が弱いからこうしろみたいなことをやめなさいという意味だ。
これから守るように。」
「分かりました!」
全員で返事をしてくれた。
なんか統率してる感じで気持ちいいな。
と、俺が少し浮かれていると、
ガリュから伝達が来た。
「クリス様、客人が来ました!」
「客人?誰だそいつ?」
「えっと…人間です。」
「おぉ!人間か!」
人間と会うのはコレンジ以来だな!
会ってみるとするか。
「よし。ガリュ、お呼びしてくれ。」
「はっ!」
とガリュが言うと、
俺の目の前にそいつ“ら”が現れた。
「やぁやぁこんにちは。
『クリス・エルト』君。」
その中の一人の男が喋りかけてきた。
「へぇ。俺の名前を知っているとはな。
それで?俺に何の用だ?」
「急ぎでな。
死んでもらっても構わないか?」
相手は男二人、女一人。
男は二人共戦士か。
女は…杖持ってるし魔法使いかな?
まぁ俺は勝てるだろうけど、
俺がやったらどうなるかわかったもんじゃないしな…
(おいガリュ。)
俺は思念伝達でガリュに話しかけた。
(はい!いかがなさいましょうか。)
(じゃあハルルを呼んできてくれ。
なんか条件あげたらやってくれるだろ。)
(はっ!仰せのままに!)
「えっ!?なんで俺なんすか!
相手3人すよ!?
俺の武器は…?」
「これでも使えよ。」
俺はある武器を渡した。
「これルー・ガルー倒した剣じゃないっすか!
物騒すぎません!?
というかどこに保管してたんすか!」
「そうギャーギャー喚くな。
お前ならやれるだろ。
それと、勝ったら新しい魔剣でも作ってやるよ
ただし負けたらミズハの鍼治療な!」
「それだけは絶対いやです!」
「おやおや、騒がしいから来てみれば…
なんです?今の会話は?」
俺はゾワッとした。
「許してもらえませんか!」
全力で謝罪した。
「よろしい。」
この関係だけは俺の方が下なのである。
仕方ない。
たとえ年齢が上であろうと下であろうと男は女に負けるのである。
まぁ、話に戻るが、ミズハは鍼治療が得意なのだがただ単純にクッソ痛い。
下手なわけではなく、打つ量が尋常じゃない。
「まぁハルル!健闘を祈るよ!
じゃあな!俺は仕事に戻る!
側で見ておくとするよ!」
「へーい…戦いますよぉそりゃ…」
「さて…ガルー達のお陰でどんだけ強くなったのか。
観物(みもの)だな。」
だが、この戦い、俺の想像を超えることをハルルがしてきた。
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