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第7話 狙われるアラン
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二人の痴女――もとい偉大なる先生方に毎日限界までしごかれる生活が始まってからおよそ三か月が経った。
ちなみに、この世界の一か月は三十日、一年は三百六十日になる。そして魔術の元素に対応した七つの曜日が存在しているが、普段生活していてそれほど意識したことはない。
毎日ほとんど同じことしかやっていないからな。
寝ても覚めてもひたすら訓練を続ける日々は、地道なレベル上げが好きな俺にとっては充実しているが、はたからは異常に見えるらしい。
最近は「もっと息抜きに遊んだりした方が良いと思います。心配です」と、ニナからよく言われる。
だが、この世界はそもそも元がゲームなのだから、俺にとっては常に遊んでいるようなものだ。
遊びだからこそ真剣に命を削るのである! そして前世の俺は不摂生が祟って死んだ! やっぱり命削っちゃだめじゃん!
――まあ、そんなことはどうでもいい。
「くっ! 先を越された……! なかなか手強いわね……!」
「ふん、大人しく負けを認めろ」
「まだまだ、これからよッ!」
とにかく今は、この状況を何とかしなければ……!
「ほうら、あーんして?」
「………………」
「どうしたのアランちゃん?」
「………………」
「今日はアタシがいっぱい甘やかしてあげるわ。遠慮せずに、たっぷり甘えてくれていいのよ? ねえねえ、聞いてる? アランちゃんもしもーし?」
屋敷の食堂で朝食をとっていた俺は、突如として乱入してきたメリア先生に無理やり甘やかされていた。
「まったく……すまないなアラン君。メリアは距離の詰め方がおかしいんだ」
「………………」
「私はここで見守っているから、ゆっくり食べるといい」
「………………」
「いっぱい食べて、大きくなれよ」
対するダリア先生は、食事中の俺を膝の上に乗せ、無遠慮に撫で回してておきながら常識人ぶっている。
「あの、やめてください。なんですかこれは」
「決闘よ」「決闘だ」
「けっとう……?」
あまりにも予想外で意味不明な答えに、思わず首をかしげる。
「お互いに譲れない時は、決闘をして勝った方が権利を得る。……そういう決まりなの」
「剣術と魔術、そのどちらを極めたいと思うか。今回はアラン君に選んで欲しいんだ」
「…………?」
そういえば、原作でも同じような茶番をしていたな。確か決闘のルールは毎回バラバラで、お互いが納得する方法が選ばれるらしい。
「あなたは絶対に素晴らしい魔術師になれる。剣術の授業を受けている時間がもったいないの……! アタシを選びなさい、アランちゃん……!」
「君が今から集中して剣術の鍛錬に取り組めば、世界一の剣士になることだって夢じゃないぞ! 私を選ぶんだアラン君!」
「と、唐突ですね……」
なるほど。つまり、俺の才能が規格外すぎたせいで、教育方針を巡って揉めているということだな。
どうやら今回は、俺に選ばれた方が勝ちというルールを採用しているようだ。突然ごまをすってきたのも、全ては俺に選ばれるためか。
……メリア先生、ダリア先生。すごく、情けないです。もっと先生としての威厳を保つ努力をしてください。
「僕は魔術も剣術も頑張りたいのですが、それではいけないのですか?」
「やっぱりそうよねぇ……」
持っていたスプーンをテーブルに置き、考え込むメリア先生。
「半日しか剣術に時間を割けない人間と、一日の全てを剣術に捧げることのできる人間では、いずれその技量に大きく差が開いてしまうからな。……あくまで、同じ才能を持つ人間同士で比べた場合の話だが」
ダリア先生は膝の上から俺を下ろして立ち上がり、真面目モードへと移行する。
これで安心して食事ができるな。
「魔術も同じよ。……もっとも、あなたほどの天才は見たことがないから、今のままでも――かなりすごい魔術師にはなれるでしょうけれどね。どこを目指したいかはあなた次第よ」
「じゃあ両方やります」
俺は即答した。
「あなたが悩むのも無理はないわ。ゆっくり時間をかけて答えを……って、ええええええええぇっ?!」
「もももも、もっとよく考えたらどうだ?! 君の将来を左右する大事な選択なんだぞっ!?」
百点満点の驚き方をしてくれる先生たち。
「ほ、本当に今のままで良いの?」
「いえ、今のままではありません。一日の全てを剣術と魔術の両方に捧げるんです」
「ど、どういうこと……?」
メリア先生は不思議そうな顔で問いかけてくる。
「片手で素振りをしながら、もう片方の手で魔法を放つ。完全な休憩時間はなくして、常に魔術か剣術の練習をすることにしましょう。例えば、魔力が尽きたらダリア先生と模擬戦をして、体力が尽きたらメリア先生と魔術の勉強をすれば良いのです。……これで問題は解決ですね!」
「そ、そんなことをしたら、死んでしまうぞアラン君……!」
ドン引きしすぎて、俺のことを君付けで呼んでくるダリア先生。
「えっ」
――もしかして俺、何かまずいこと言っちゃいましたか?
ちなみに、この世界の一か月は三十日、一年は三百六十日になる。そして魔術の元素に対応した七つの曜日が存在しているが、普段生活していてそれほど意識したことはない。
毎日ほとんど同じことしかやっていないからな。
寝ても覚めてもひたすら訓練を続ける日々は、地道なレベル上げが好きな俺にとっては充実しているが、はたからは異常に見えるらしい。
最近は「もっと息抜きに遊んだりした方が良いと思います。心配です」と、ニナからよく言われる。
だが、この世界はそもそも元がゲームなのだから、俺にとっては常に遊んでいるようなものだ。
遊びだからこそ真剣に命を削るのである! そして前世の俺は不摂生が祟って死んだ! やっぱり命削っちゃだめじゃん!
――まあ、そんなことはどうでもいい。
「くっ! 先を越された……! なかなか手強いわね……!」
「ふん、大人しく負けを認めろ」
「まだまだ、これからよッ!」
とにかく今は、この状況を何とかしなければ……!
「ほうら、あーんして?」
「………………」
「どうしたのアランちゃん?」
「………………」
「今日はアタシがいっぱい甘やかしてあげるわ。遠慮せずに、たっぷり甘えてくれていいのよ? ねえねえ、聞いてる? アランちゃんもしもーし?」
屋敷の食堂で朝食をとっていた俺は、突如として乱入してきたメリア先生に無理やり甘やかされていた。
「まったく……すまないなアラン君。メリアは距離の詰め方がおかしいんだ」
「………………」
「私はここで見守っているから、ゆっくり食べるといい」
「………………」
「いっぱい食べて、大きくなれよ」
対するダリア先生は、食事中の俺を膝の上に乗せ、無遠慮に撫で回してておきながら常識人ぶっている。
「あの、やめてください。なんですかこれは」
「決闘よ」「決闘だ」
「けっとう……?」
あまりにも予想外で意味不明な答えに、思わず首をかしげる。
「お互いに譲れない時は、決闘をして勝った方が権利を得る。……そういう決まりなの」
「剣術と魔術、そのどちらを極めたいと思うか。今回はアラン君に選んで欲しいんだ」
「…………?」
そういえば、原作でも同じような茶番をしていたな。確か決闘のルールは毎回バラバラで、お互いが納得する方法が選ばれるらしい。
「あなたは絶対に素晴らしい魔術師になれる。剣術の授業を受けている時間がもったいないの……! アタシを選びなさい、アランちゃん……!」
「君が今から集中して剣術の鍛錬に取り組めば、世界一の剣士になることだって夢じゃないぞ! 私を選ぶんだアラン君!」
「と、唐突ですね……」
なるほど。つまり、俺の才能が規格外すぎたせいで、教育方針を巡って揉めているということだな。
どうやら今回は、俺に選ばれた方が勝ちというルールを採用しているようだ。突然ごまをすってきたのも、全ては俺に選ばれるためか。
……メリア先生、ダリア先生。すごく、情けないです。もっと先生としての威厳を保つ努力をしてください。
「僕は魔術も剣術も頑張りたいのですが、それではいけないのですか?」
「やっぱりそうよねぇ……」
持っていたスプーンをテーブルに置き、考え込むメリア先生。
「半日しか剣術に時間を割けない人間と、一日の全てを剣術に捧げることのできる人間では、いずれその技量に大きく差が開いてしまうからな。……あくまで、同じ才能を持つ人間同士で比べた場合の話だが」
ダリア先生は膝の上から俺を下ろして立ち上がり、真面目モードへと移行する。
これで安心して食事ができるな。
「魔術も同じよ。……もっとも、あなたほどの天才は見たことがないから、今のままでも――かなりすごい魔術師にはなれるでしょうけれどね。どこを目指したいかはあなた次第よ」
「じゃあ両方やります」
俺は即答した。
「あなたが悩むのも無理はないわ。ゆっくり時間をかけて答えを……って、ええええええええぇっ?!」
「もももも、もっとよく考えたらどうだ?! 君の将来を左右する大事な選択なんだぞっ!?」
百点満点の驚き方をしてくれる先生たち。
「ほ、本当に今のままで良いの?」
「いえ、今のままではありません。一日の全てを剣術と魔術の両方に捧げるんです」
「ど、どういうこと……?」
メリア先生は不思議そうな顔で問いかけてくる。
「片手で素振りをしながら、もう片方の手で魔法を放つ。完全な休憩時間はなくして、常に魔術か剣術の練習をすることにしましょう。例えば、魔力が尽きたらダリア先生と模擬戦をして、体力が尽きたらメリア先生と魔術の勉強をすれば良いのです。……これで問題は解決ですね!」
「そ、そんなことをしたら、死んでしまうぞアラン君……!」
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――もしかして俺、何かまずいこと言っちゃいましたか?
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