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一章
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私はソルシエレ・レベナン男爵令嬢。
今日は買い物をしに街へとやってきた。
デビュタントの髪飾りを買いに来たのだ。16歳となり、王宮での舞踏会に出なければならない。
平凡な顔つきに、どこにでもいる淡黄色の髪に、黄緑色の瞳。
母は田舎の中では美人だし、父もそこそこ整った顔なのに、私は平凡、凡庸、凡人並みの顔は特徴なく埋没する顔に残念でしかない。
淡黄色の髪に、黄緑色の瞳は色素が薄いのかパッとしない。
それと正反対で、生い立ちが平凡じゃないのが痛恨だ。コッチが平凡なら良かったのに。
今、王の銅像が飾られた広場に居る。
王の銅像付近は待ち合わせに使われるため、相変わらず混んでいる。
この国は、初代国王が女神の祝福を受けたことで成り立った国だ。
大地の女神テルーレの眷属、神獣エレートを助けたことでエレートと友となり、女神の祝福を受けたのが初代国王。
祝福で王は紫の瞳となり、それ以降紫の眼を持つ者が女神の祝福も継承するため王となるようになった。
ちなみに神獣エレートの姿だが、秘匿されているため王家以外姿を知らない。
その後、王家の血を引く者が三家公爵家を起こし国の基盤となり今に至るのだそうだ。
祝福内容など王家の秘密らしいが、一般人には関係ない。
平穏な生活ができれはそれでいいのだ。
だが、その平穏すら私には困難らしい。
だって。
人混みがまばらな広場も、私には倍の人数がひしめく喧騒とした広場に見える。
いや、視える。
事実、倍に視える。
一人に一人ほど。
付いているのだから。
いや、憑いているのだ。
視え過ぎちゃって困る、それがこの私。
ソルシエレ・レベナン男爵令嬢だ。
幼い頃から《視える》この世界と違う人々。
その発言のたびに両親が怯えて恐怖し、周りからは稀有な目で見られる毎日だった。
コチラとアチラの住人の区別がつかない幼少期は、何故両親が怯え何故怒るのかさえ意味が分からなかった。
結局独り言を言ってる娘に手を焼き頭を抱えた両親は私を神殿に預け、信徒とし神の身元で妄言や虚言を治させようとした。
神官様は理解ある方で、私の視える力を理解し、導いてくださった。
おかげで、まともに一般な世間で過ごせるようにまでになった。
周りが怯えない、怖がらない対応。
周りから変な目で見られない、思われない対応。
其れ等、普通を身につけ還俗し実家に戻ることになった。
今では区別がつくものの、巧妙だったり高位な対象は未だに迷うことがある。
それでも顔に出さず、受け流す技術を身につけた私は、上辺だけでも普通に繕えるだけ進歩したのだ。
〈だいぶ成長したのぅ〉
『なんとか念話は習得致しましたので』
独り言を言うイタイ子から脱却した私。
波長を合わせることで念話が出来るようになり、周りからも変な目で見られることがなくなった。
『じじさまとお話しできないのは悲しいですから』
〈ルシェは嬉しいことを言ってくれる孫じゃのう〉
私はソルシエレの名前から間を取って、じじさまからはルシェと呼ばれている。
からからと笑い目を細めると目尻の皺が深くなる。その笑い皺を見るのが嬉しくてじじさまを喜ばせたくなる。
私の最初の理解者であり、師匠だから。
安全な霊と危ない霊や、精霊や妖精など異界の存在なども教えてくれた。
それに伴う現象や影響の怖さを知って、身を震わせたが。
じじさまに教えてもらったことを胸に、月日は流れ私は今年、デビュタントを控えた令嬢となっていた。
今日は買い物をしに街へとやってきた。
デビュタントの髪飾りを買いに来たのだ。16歳となり、王宮での舞踏会に出なければならない。
平凡な顔つきに、どこにでもいる淡黄色の髪に、黄緑色の瞳。
母は田舎の中では美人だし、父もそこそこ整った顔なのに、私は平凡、凡庸、凡人並みの顔は特徴なく埋没する顔に残念でしかない。
淡黄色の髪に、黄緑色の瞳は色素が薄いのかパッとしない。
それと正反対で、生い立ちが平凡じゃないのが痛恨だ。コッチが平凡なら良かったのに。
今、王の銅像が飾られた広場に居る。
王の銅像付近は待ち合わせに使われるため、相変わらず混んでいる。
この国は、初代国王が女神の祝福を受けたことで成り立った国だ。
大地の女神テルーレの眷属、神獣エレートを助けたことでエレートと友となり、女神の祝福を受けたのが初代国王。
祝福で王は紫の瞳となり、それ以降紫の眼を持つ者が女神の祝福も継承するため王となるようになった。
ちなみに神獣エレートの姿だが、秘匿されているため王家以外姿を知らない。
その後、王家の血を引く者が三家公爵家を起こし国の基盤となり今に至るのだそうだ。
祝福内容など王家の秘密らしいが、一般人には関係ない。
平穏な生活ができれはそれでいいのだ。
だが、その平穏すら私には困難らしい。
だって。
人混みがまばらな広場も、私には倍の人数がひしめく喧騒とした広場に見える。
いや、視える。
事実、倍に視える。
一人に一人ほど。
付いているのだから。
いや、憑いているのだ。
視え過ぎちゃって困る、それがこの私。
ソルシエレ・レベナン男爵令嬢だ。
幼い頃から《視える》この世界と違う人々。
その発言のたびに両親が怯えて恐怖し、周りからは稀有な目で見られる毎日だった。
コチラとアチラの住人の区別がつかない幼少期は、何故両親が怯え何故怒るのかさえ意味が分からなかった。
結局独り言を言ってる娘に手を焼き頭を抱えた両親は私を神殿に預け、信徒とし神の身元で妄言や虚言を治させようとした。
神官様は理解ある方で、私の視える力を理解し、導いてくださった。
おかげで、まともに一般な世間で過ごせるようにまでになった。
周りが怯えない、怖がらない対応。
周りから変な目で見られない、思われない対応。
其れ等、普通を身につけ還俗し実家に戻ることになった。
今では区別がつくものの、巧妙だったり高位な対象は未だに迷うことがある。
それでも顔に出さず、受け流す技術を身につけた私は、上辺だけでも普通に繕えるだけ進歩したのだ。
〈だいぶ成長したのぅ〉
『なんとか念話は習得致しましたので』
独り言を言うイタイ子から脱却した私。
波長を合わせることで念話が出来るようになり、周りからも変な目で見られることがなくなった。
『じじさまとお話しできないのは悲しいですから』
〈ルシェは嬉しいことを言ってくれる孫じゃのう〉
私はソルシエレの名前から間を取って、じじさまからはルシェと呼ばれている。
からからと笑い目を細めると目尻の皺が深くなる。その笑い皺を見るのが嬉しくてじじさまを喜ばせたくなる。
私の最初の理解者であり、師匠だから。
安全な霊と危ない霊や、精霊や妖精など異界の存在なども教えてくれた。
それに伴う現象や影響の怖さを知って、身を震わせたが。
じじさまに教えてもらったことを胸に、月日は流れ私は今年、デビュタントを控えた令嬢となっていた。
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