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18.食道楽も時には必要
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手を付けなければならない問題はあって、まだ一つも解決には至っていない。
夜甲虫の蜜とは別の狩り場の開拓をしなければならない。
とりあえず、下位のオークぐらいならば楽勝に倒せるぐらいの火力を手に入れた、ということはわかった。なのでそれを使って、別の儲けのいい狩りを始めればいい、とならないのが一人の辛いところ。
主流のおいしい狩りをしようとすると、大体他のパーティ冒険者が占拠していて、それどころではないというのは、どこに行ってもそうだからだ。
なんとかその中に入れてもらう、というのも考えなかったわけではないが、交渉にかかるコスト(時間や装備)が大きいし、分け前がどうなるかもわからない。
同じだけのコストを支払うなら、人気がなく世間的にいまいちと思われている狩りの方が、最終的に同等かそれ以上の効率になる可能性がある。常に競合する冒険者の存在を忘れてはいけない。
そういう狩りを見つけるとなると……やはり探索とマッピングだ。地道かつ気長にやるしかない。
武器の改善で対処可能な魔物が増え、行動範囲は広がったので、前ほど苦労することはないとは思うけど。
後、蜜の品質改善という問題もある。
ダマ粒という、不純物があまり評判なよくないのだといいう。害はないが食感が悪く、これは俺が見てもそう思うが色もよくない。
ひとり身の自炊なら問題ないが、調理して客に出す(それもある程度高所得な人)となると、それではまずいのだろう。
あの店主は煮詰めてこし取る、と言っていたが……単に火を通せばできるようなものなのだろうか?
とりあえず今日の取れ高の蜜を、一部使って試しにやってみる、という手もあるが。
「……そもそも、『加工済みの綺麗な蜜』ってどんなだ?」
以前見たはずだが、はっきりと覚えていない。ついでに言えば、どういう風に料理されるかもわからない。
今日の狩りが終わったら、どれが正解なのか、まずそれを確かないと。
……狩りが終わって蜜を店に卸す。いつもなら報酬を貰い、そのまま馬小屋に直行して寝るだけだが、その日は店が開店するまで待っていた。
俺が狩った蜜がどんな風に使われているのか、手っ取り早く知るためには、客になってみるのが手っ取り早い。
開くまでにはかなり時間があったが、ぶらぶらするにもどこも開いていないので、店の正面でぼーっとして待つ。
早朝の静けさや朝の陽気っていうのは、なんだか久しぶりだ。
心が晴れやかになって、目も冴えてくる。
最近狩りの時は、慢性的に眠たい感じが続いていたこともあって、人間っていうのは、なんだかんだで朝起きて夜に寝るようになっているんだなと痛感する。
そういえば。
ここの店は何度も来ているが、店名すらまともに見たことがなかった。
空を見上げるついでに、看板に書いてある文字を見る。
『バーバリアンレストラン』
……意味的には蛮族料理店とか、そういう感じか。
でも確かに小綺麗ではあるけど洗練された店構えって感じではない。
塗装もしてない石とモルタルがむき出しの壁、あり幅で切り取った木に焼き印で店名の書かれた看板とか。周りと街並みと比べると全体的に無骨で、まるで紛れ込んだ別のパズルピースのようだ。店の前におしゃれな花壇とかもなくて、ただ樽が積まれているだけだし。
まあ、俺みたいな田舎モノ冒険者としては、その方が入りやすい。
日が完全にのぼり切ったと同時に、開店時間となった。
店員が表に出てきて、大扉を開け放ち、内側にあった小さなスイングドアのロックを外す。
開店作業中、店の前でぼうっとしている俺と目が合ったり合わなかったりしながら、店の前の看板をくるりとひっくり返して『クローズド』から『オープン』に変える。
それらが完全に終わり、店員が店の中に戻ったのを確認してから、俺は座っていた道路脇の微妙な段差から降りた。
夜甲虫の蜜とは別の狩り場の開拓をしなければならない。
とりあえず、下位のオークぐらいならば楽勝に倒せるぐらいの火力を手に入れた、ということはわかった。なのでそれを使って、別の儲けのいい狩りを始めればいい、とならないのが一人の辛いところ。
主流のおいしい狩りをしようとすると、大体他のパーティ冒険者が占拠していて、それどころではないというのは、どこに行ってもそうだからだ。
なんとかその中に入れてもらう、というのも考えなかったわけではないが、交渉にかかるコスト(時間や装備)が大きいし、分け前がどうなるかもわからない。
同じだけのコストを支払うなら、人気がなく世間的にいまいちと思われている狩りの方が、最終的に同等かそれ以上の効率になる可能性がある。常に競合する冒険者の存在を忘れてはいけない。
そういう狩りを見つけるとなると……やはり探索とマッピングだ。地道かつ気長にやるしかない。
武器の改善で対処可能な魔物が増え、行動範囲は広がったので、前ほど苦労することはないとは思うけど。
後、蜜の品質改善という問題もある。
ダマ粒という、不純物があまり評判なよくないのだといいう。害はないが食感が悪く、これは俺が見てもそう思うが色もよくない。
ひとり身の自炊なら問題ないが、調理して客に出す(それもある程度高所得な人)となると、それではまずいのだろう。
あの店主は煮詰めてこし取る、と言っていたが……単に火を通せばできるようなものなのだろうか?
とりあえず今日の取れ高の蜜を、一部使って試しにやってみる、という手もあるが。
「……そもそも、『加工済みの綺麗な蜜』ってどんなだ?」
以前見たはずだが、はっきりと覚えていない。ついでに言えば、どういう風に料理されるかもわからない。
今日の狩りが終わったら、どれが正解なのか、まずそれを確かないと。
……狩りが終わって蜜を店に卸す。いつもなら報酬を貰い、そのまま馬小屋に直行して寝るだけだが、その日は店が開店するまで待っていた。
俺が狩った蜜がどんな風に使われているのか、手っ取り早く知るためには、客になってみるのが手っ取り早い。
開くまでにはかなり時間があったが、ぶらぶらするにもどこも開いていないので、店の正面でぼーっとして待つ。
早朝の静けさや朝の陽気っていうのは、なんだか久しぶりだ。
心が晴れやかになって、目も冴えてくる。
最近狩りの時は、慢性的に眠たい感じが続いていたこともあって、人間っていうのは、なんだかんだで朝起きて夜に寝るようになっているんだなと痛感する。
そういえば。
ここの店は何度も来ているが、店名すらまともに見たことがなかった。
空を見上げるついでに、看板に書いてある文字を見る。
『バーバリアンレストラン』
……意味的には蛮族料理店とか、そういう感じか。
でも確かに小綺麗ではあるけど洗練された店構えって感じではない。
塗装もしてない石とモルタルがむき出しの壁、あり幅で切り取った木に焼き印で店名の書かれた看板とか。周りと街並みと比べると全体的に無骨で、まるで紛れ込んだ別のパズルピースのようだ。店の前におしゃれな花壇とかもなくて、ただ樽が積まれているだけだし。
まあ、俺みたいな田舎モノ冒険者としては、その方が入りやすい。
日が完全にのぼり切ったと同時に、開店時間となった。
店員が表に出てきて、大扉を開け放ち、内側にあった小さなスイングドアのロックを外す。
開店作業中、店の前でぼうっとしている俺と目が合ったり合わなかったりしながら、店の前の看板をくるりとひっくり返して『クローズド』から『オープン』に変える。
それらが完全に終わり、店員が店の中に戻ったのを確認してから、俺は座っていた道路脇の微妙な段差から降りた。
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