47 / 240
あまり楽とは言えない冒険者メリルの章
47.歓楽街よりの誤解
しおりを挟む
「いや、それは……」
ローブのフードをさらに目深に落とし、両手の指を合わせてくいくいと動かす。
適当に嘘をついて誤魔化しても、特に罰も当たらなそうな状況ではあるが、メリルはそういうちょっとしたでまかせや、言いつくろいが出来るタイプではなかった。
「一応、仕事をするつもりでは来ていたんだよね?」
「……あ、あの」
じりじりと追い込まれていく。
向こうは引き下がるつもりがない。というより悪意がない。メリルが何を恥ずかしがっているのかもわかっていないだろう。最終的に突いていた指を腰元に下し、観念して正直に言うことにした。
「よ、夜のお仕事では、ないかと……」
夜のお仕事、とは夜のお仕事である。それがわからないほど、鈍くはないはず。
「わざわざ迷宮の中で?」
この期に及んでは当然の疑問。しかし、ここまで勘違いさせられていたメリルとしては、言い訳の一つや二つしたいところだ。
「だって、あんな……歓楽街の街中で『お仕事』の勧誘されたら、そうだと思うじゃないですか!」
「あー」
それは一理あると思ったらしい。
「さ、誘い方もいやらしかった! ……気がします」
己の名誉回復のため、メリルはここで畳みかける。
「そう?」
「『俺のところで仕事しない?』とか、いきなり話しかけてきて女の子に言いませんよ! 手慣れていました!」
嘘はついていないが、印象による誇張は多少あるかもしれない。
男は、うんともすんとも言わず、腕を組んだ。
なんとか少しでも相手にも非がある方向にしたい、メリルのそういう必死さはかなり露骨だったので、承知の上だったろうが、男は特にそれを気にした風ではなく、さらに残酷な質問をした。
「魔法のスキルは聞いたと思ったけど、何に使うと思ったの?」
メリルはさらにたじろいだ。
「それはっ!?」
しかし、咄嗟に嘘は出てこないのだ。
「そういう趣向の……その……プレイかと……」
基本的に、思っていたことを、誤魔化すことなく白状するしかなかった。
「……なるほど」
少し間をおいて、男は厳かに頷いた。
「どういう意味の『なるほど』なんですかそれは」
「いや、そういう勘違いをされるなら、今後気を付けようという意味でのなるほど」
妙な空気が、迷宮内に流れた。
夜だから誰も通っていないし、魔物もこんなときばかり静かだ。
「まあ、普通に冒険者の仕事するだけだから」
「きっ、気を付けてくださいよ! し、しなくていい覚悟をすることになるんですから!」
顔を真っ赤にして、メリルは念を押す。
「……どんな覚悟かは知らないけど」
流石にそれを聞いてくるほど、男も残酷ではなかった。
「今日の依頼は俺の狩りを手伝って貰うだけ。ちゃんと説明してなかったのは悪かったよ」
ローブのフードをさらに目深に落とし、両手の指を合わせてくいくいと動かす。
適当に嘘をついて誤魔化しても、特に罰も当たらなそうな状況ではあるが、メリルはそういうちょっとしたでまかせや、言いつくろいが出来るタイプではなかった。
「一応、仕事をするつもりでは来ていたんだよね?」
「……あ、あの」
じりじりと追い込まれていく。
向こうは引き下がるつもりがない。というより悪意がない。メリルが何を恥ずかしがっているのかもわかっていないだろう。最終的に突いていた指を腰元に下し、観念して正直に言うことにした。
「よ、夜のお仕事では、ないかと……」
夜のお仕事、とは夜のお仕事である。それがわからないほど、鈍くはないはず。
「わざわざ迷宮の中で?」
この期に及んでは当然の疑問。しかし、ここまで勘違いさせられていたメリルとしては、言い訳の一つや二つしたいところだ。
「だって、あんな……歓楽街の街中で『お仕事』の勧誘されたら、そうだと思うじゃないですか!」
「あー」
それは一理あると思ったらしい。
「さ、誘い方もいやらしかった! ……気がします」
己の名誉回復のため、メリルはここで畳みかける。
「そう?」
「『俺のところで仕事しない?』とか、いきなり話しかけてきて女の子に言いませんよ! 手慣れていました!」
嘘はついていないが、印象による誇張は多少あるかもしれない。
男は、うんともすんとも言わず、腕を組んだ。
なんとか少しでも相手にも非がある方向にしたい、メリルのそういう必死さはかなり露骨だったので、承知の上だったろうが、男は特にそれを気にした風ではなく、さらに残酷な質問をした。
「魔法のスキルは聞いたと思ったけど、何に使うと思ったの?」
メリルはさらにたじろいだ。
「それはっ!?」
しかし、咄嗟に嘘は出てこないのだ。
「そういう趣向の……その……プレイかと……」
基本的に、思っていたことを、誤魔化すことなく白状するしかなかった。
「……なるほど」
少し間をおいて、男は厳かに頷いた。
「どういう意味の『なるほど』なんですかそれは」
「いや、そういう勘違いをされるなら、今後気を付けようという意味でのなるほど」
妙な空気が、迷宮内に流れた。
夜だから誰も通っていないし、魔物もこんなときばかり静かだ。
「まあ、普通に冒険者の仕事するだけだから」
「きっ、気を付けてくださいよ! し、しなくていい覚悟をすることになるんですから!」
顔を真っ赤にして、メリルは念を押す。
「……どんな覚悟かは知らないけど」
流石にそれを聞いてくるほど、男も残酷ではなかった。
「今日の依頼は俺の狩りを手伝って貰うだけ。ちゃんと説明してなかったのは悪かったよ」
10
あなたにおすすめの小説
おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ
双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。
彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。
そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。
洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。
さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。
持ち前のサバイバル能力で見敵必殺!
赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。
そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。
人々との出会い。
そして貴族や平民との格差社会。
ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。
牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。
うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい!
そんな人のための物語。
5/6_18:00完結!
帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
私を家から追い出した妹達は、これから後悔するようです
天宮有
恋愛
伯爵令嬢の私サフィラよりも、妹エイダの方が優秀だった。
それは全て私の力によるものだけど、そのことを知っているのにエイダは姉に迷惑していると言い広めていく。
婚約者のヴァン王子はエイダの発言を信じて、私は婚約破棄を言い渡されてしまう。
その後、エイダは私の力が必要ないと思い込んでいるようで、私を家から追い出す。
これから元家族やヴァンは後悔するけど、私には関係ありません。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
勇者パーティのサポートをする代わりに姉の様なアラサーの粗雑な女闘士を貰いました。
石のやっさん
ファンタジー
年上の女性が好きな俺には勇者パーティの中に好みのタイプの女性は居ません
俺の名前はリヒト、ジムナ村に生まれ、15歳になった時にスキルを貰う儀式で上級剣士のジョブを貰った。
本来なら素晴らしいジョブなのだが、今年はジョブが豊作だったらしく、幼馴染はもっと凄いジョブばかりだった。
幼馴染のカイトは勇者、マリアは聖女、リタは剣聖、そしてリアは賢者だった。
そんな訳で充分に上位職の上級剣士だが、四職が出た事で影が薄れた。
彼等は色々と問題があるので、俺にサポーターとしてついて行って欲しいと頼まれたのだが…ハーレムパーティに俺は要らないし面倒くさいから断ったのだが…しつこく頼むので、条件を飲んでくれればと条件をつけた。
それは『27歳の女闘志レイラを借金の権利ごと無償で貰う事』
今度もまた年上ヒロインです。
セルフレイティングは、話しの中でそう言った描写を書いたら追加します。
カクヨムにも投稿中です
【完結】スキルを作って習得!僕の趣味になりました
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》 どんなスキル持ちかによって、人生が決まる。生まれ持ったスキルは、12歳過ぎから鑑定で見えるようになる。ロマドは、4度目の15歳の歳の鑑定で、『スキル錬金』という優秀なスキルだと鑑定され……たと思ったが、錬金とつくが熟練度が上がらない!結局、使えないスキルとして一般スキル扱いとなってしまった。
どうやったら熟練度が上がるんだと思っていたところで、熟練度の上げ方を発見!
スキルの扱いを錬金にしてもらおうとするも却下された為、仕方なくあきらめた。だが、ふと「作成条件」という文字が目の前に見えて、その条件を達してみると、新しいスキルをゲットした!
天然ロマドと、タメで先輩のユイジュの突っ込みと、チェトの可愛さ(ロマドの主観)で織りなす、スキルと笑いのアドベンチャー。
幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達より強いジョブを手に入れて無双する!
アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚。
ネット小説やファンタジー小説が好きな少年、洲河 慱(すが だん)。
いつもの様に幼馴染達と学校帰りに雑談をしていると突然魔法陣が現れて光に包まれて…
幼馴染達と一緒に救世主召喚でテルシア王国に召喚され、幼馴染達は【勇者】【賢者】【剣聖】【聖女】という素晴らしいジョブを手に入れたけど、僕はそれ以上のジョブと多彩なスキルを手に入れた。
王宮からは、過去の勇者パーティと同じジョブを持つ幼馴染達が世界を救うのが掟と言われた。
なら僕は、夢にまで見たこの異世界で好きに生きる事を選び、幼馴染達とは別に行動する事に決めた。
自分のジョブとスキルを駆使して無双する、魔物と魔法が存在する異世界ファンタジー。
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つ物なのかな?」で、慱が本来の力を手に入れた場合のもう1つのパラレルストーリー。
11月14日にHOT男性向け1位になりました。
応援、ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる