ひたすら楽する冒険者業

長来周治

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楽の戦士トーチの章

99.明日の楽しみ

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 蜜を保存できればいいのか、と言えば単純にそういうわけでもなく、消費量という問題もある。
 バーバリアンには、かなりの量の蜜を引き取ってもらっているが、一つの取引先で使う量は、どうやっても知れてくるのだ。
 いくら生産したとしても、それは消費される環境があってのこと。
 効率が劇的に改善したことで、販売ルートの少なさというのがどうしても目についてくる。
 しかし、他にどういう場所に行けば買い取ってもらえるのか、そういうアテはない。このレストランが夜甲虫の取引きをしている事を知ったのも、完璧な偶然だったし。
 ……明日の休みには、ちょっとその辺の新しい販路を探ってみるのも面白いかもしれない。
 そこまで考えたところで、店員に明日休養することを伝えないといけない事を思い出した。
 一応書いてもらっている受け取りのサイン中に俺は切り出す。
「あの、すみません。お伝えしたいことがあるんですが」
「はい……?」
 店員はきょとんとした顔をする。単純に珍しく話しかけられたので、驚いただけだろう。
「突然のことで申し訳ないんですが、明日は一日休むことになりまして」
「えっ、そうなんですか?」
 最初は飲み込めていないようだった。それがどうかしたのか、という顔。
「明日は夜甲虫の蜜を卸しにこれないので、その点ご了承願いたいなと」
 俺が休むと、入荷が減るということに、繋がらなかったらしい。
「ああ、そういうこと」
 こっちの言いたいことを理解した店員は、日付とサインを書いた紙を俺に寄越すと、
「ちょっと店長呼んできますわ」
 と言って、引っ込んでいった。
「よろしくお願いします」
 しばらく外で待つ間、俺はうろうろと周囲を見た。
 この辺の街は俺たちの住んでいる地区と比べると綺麗だ。
 今いるのは裏手の道であるにも関わらず、鼠一匹すら通らない。
 乱雑に置かれているように見える木箱の陰を除いても、食べかすや糞尿が落ちていたりしない。
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