ひたすら楽する冒険者業

長来周治

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楽の戦士トーチの章

121.極楽はあるか-2

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 おそらく瞬殺だったのだろう。状況から見てもそうだが、何より倒れている冒険者の装備は、明らかにこの辺りの階層に適していない装備だった。
 適していないというのは、出現する魔物に対して相性が悪いという意味ではなく、単純に質の悪い装備という意味だ。おそらくレベルもまったく足りていないだろう。
 既に戦闘が起こった後だったから、一旦ここらの魔物が引いていたということはわかった。
 確信めいた予感として、彼一人ではないだろうと思い、俺は周囲を見渡す。
 ほどなくして反対側の通路から、僧侶と思しき冒険者の死体が出てきた。やはりこの辺りの魔物と戦える装備ではない。
 倒れかた的に、敵わないと判断して逃げようとしたが、間に合わなかったという感じがする。
 逃げるというのは、十分な余力があって初めて成功する物だということがわかる。
 一撃も耐えられないうえに、敵わないとわかってからでは判断も遅い。
「……どうしますか?」
 メリルは両手を胸元で組みながら俺に聞いた。
 実を言えば、こういうことがあったのは、初めてではない。
 他の冒険者も使用する道を使うようになってから、ちょくちょく見かけていたし、最近では数も増えている気がする。
 とはいえ、何度見ても判断は一緒である。
「残念だけど、構っている余力はないよ」
 死体は寺院に運べば一応蘇生してもらえる。確実ではないし、金もかかるし彼ら持ちだが、迷宮内で全てを失うよりははるかにマシだろう。
 見ず知らずではあるが、同業なので一応の義理もある。
 何か恩恵があるわけではないが、別にそれは助けない理由にはならない。
 問題は助けることによるリスクが余りにも大きいことだ。死体を運んでいる人は戦闘が出来ないし、足が遅くなるし、迷宮内の狩りや探索の手も止まるので収入もなくなる。
 基本的に死体の回収は、そのためのパーティー編成や装備が必要な重労働だ。
 残念ながら、俺たちのような通りすがりの弱小冒険者に、負担できる事ではない。
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