時計仕掛けの遺言

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第一章 集結

第3部 不吉な再会

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ジュリアン・モークが玄関ホールから広間に入ると、彼の目はまず巨大なクラヴェン一族の家系図に向けられた。壁一面に描かれたその図は、まるで家族の繋がりを見下ろすように広間の空気を支配していた。

「相変わらず立派な家だな。」
ジュリアンが言うと、リチャードは肩をすくめた。
「立派というより不気味だがな。歓迎されてる感じが全然しない。」

「それでも君は来た。何が起きるか気になったからだろう?」
ジュリアンは笑みを浮かべながら言った。彼はずっとリチャードを観察しているようだった。

「父さんに呼びつけられたからだ。それ以上でも以下でもない。」
リチャードはウイスキーを一口飲むと、ソファにどっかりと座り込んだ。

ジュリアンはちらりとアリスに目を向けた。彼女は気まずそうに壁に掛けられた家族の肖像画を見つめていた。その中には、若かりし頃のクラレンスと最初の妻の姿もあった。

「母さんの絵、久しぶりに見ると……まだちょっと怖いね。」
アリスが小さく言った。ジュリアンは彼女に歩み寄り、優しく声を掛けた。
「怖いというより、威厳があるんだろう。君の母親はきっと一族にとって重要な存在だったに違いない。」

「重要というより……影響が強すぎた。」
リチャードが苦笑した。
「父さんがどれだけあの人に支配されていたか、君にはわからないだろうな。」

ジュリアンは少し考え込むような顔をしたが、その場では何も言わなかった。その代わり、彼は広間全体を見渡し、静かに言った。
「ところで、クラレンスはどこだ?さっそく話ができると思っていたんだが。」

リチャードが答える前に、執事のセバスチャンが再び現れた。
「クラレンス様は今夜の夕食後に皆様とお会いする予定です。それまで書斎にこもっていらっしゃいます。」

「典型的だな。」
リチャードは皮肉たっぷりに言った。
「俺たち全員をここに集めておいて、出てくるのはいつも遅い。」

ジュリアンは笑いながら首を振った。
「まあ、待つ間に色々と話を聞けるのはいいことだ。特に、こんな家族の集まりでは。」

その時、階上から足音が響き、エレノアが現れた。彼女は白いブラウスと黒いスカートという洗練された服装で、冷たい微笑みを浮かべていた。
「ジュリアン、来てくれて嬉しいわ。」

「お会いできて光栄です、エレノアさん。
」ジュリアンは軽く頭を下げた。
「クラレンスが私をここに招待した理由をまだ知らないのですが、何かご存知ですか?」

「いえ。」
エレノアは小さく首を振った。
「でも、彼があなたを信頼していることだけは確かよ。」

「信頼とは面白い言葉だ。」
リチャードが言葉を挟んだ。
「この家にそれがあるとは思えないけどな。」

その瞬間、雷鳴が轟き、館全体が振動するかのような音が響いた。ジュリアンはその音に短く息を呑んだが、すぐに微笑みを取り戻した。
「嵐が、これ以上激しくならないといいが。」

「嵐はいつだって予想以上に荒れるものよ。」
エレノアが何かを暗示するように言った。

重い空気の中、全員が一瞬だけ黙り込んだ。その静寂は、やがてこの嵐の夜に何が待ち受けているのかを暗示しているかのようだった。

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