時計仕掛けの遺言

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第一章 集結

第5部 遺言の約束

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夜も更け、クラヴェン館の食堂に家族全員が集まった。長いテーブルには銀製の燭台が並び、揺れる蝋燭の火が各々の顔を不気味に照らしている。嵐の音が窓越しに鳴り響く中、重い沈黙が支配していた。

「さて、全員揃ったな。」
クラレンスが重々しい声で言った。彼は車椅子に座り、執事のセバスチャンに押されて現れた。以前の威圧感こそ薄れていたものの、その目には一族の長としての冷徹な光が宿っている。

「こんな時に集まれと言うなんて、さすが父さんだな。」
リチャードが皮肉たっぷりに言った。
「それで、一体何の話をするつもりだ?」

クラレンスは息をつき、ゆっくりと口を開いた。
「私の命もそう長くはない。だからこそ、今日この場で話しておかねばならないことがある。」

部屋中の視線が彼に集中する。アリスは緊張した面持ちで手を握りしめ、エレノアは冷たい微笑みを浮かべたまま黙っていた。

「この家族の未来を決めるのは、私の遺言だ。」
クラレンスの言葉に一瞬空気が凍りついた。
「だが、その前に話しておかねばならないことがある。」

「またお得意の説教か?」
リチャードが笑いながらグラスを傾けた。
「それとも俺たちをどう分けて相続させるか、具体的な指示でもするのか?」

「静かにしろ。」
クラレンスが低く言い放った。その声には、まだ絶対的な権威が残っていた。
「お前たちの中には、この一族の名を汚す者がいる。その者の行いがこの家族を壊す前に、真実を明らかにしなければならない。」

「どういう意味?」
アリスが怯えた声で尋ねた。
「家族の誰かが……何かしたってこと?」

クラレンスは答えず、代わりにセバスチャンに頷いた。執事は黙って一冊の封筒を取り出し、クラレンスの手元に置いた。

「これが私の遺言書だ。」
クラレンスが封筒を掲げた。
「だが、この遺言書はただの指示書ではない。この家に隠された真実を暴き、罪を清算するためのものだ。」

「罪?」
エレノアが眉をひそめた。
「一体何を言っているの?」

クラレンスは冷たい笑みを浮かべた。
「お前たちには理解できないだろう。この遺言書には、私の死後にお前たち全員に課す試練が記されている。そして、その鍵となるのは――時計だ。」

部屋の片隅にあった大きな古時計が、不気味な音を立てて鳴り始めた。ゴーン……ゴーン……。その音は重く、深く、耳を刺すようだった。

「時計?」
リチャードが眉をひそめた。
「またその話か。あのくだらない伝説のことを言ってるのか?」

クラレンスは彼の言葉を無視し、続けた。
「お前たちは、この時計に隠された秘密を解き明かさなければならない。それができなければ、私の財産は一切手に入らない。全てが失われるだけだ。」

嵐の轟音がさらに大きくなり、窓が激しく揺れる音が響いた。全員が言葉を失った中、クラレンスの目は鋭く光った。
「覚えておけ。この家族の運命は、時計がすべてを知っている。」

その言葉を最後に、クラレンスはセバスチャンの手で再び車椅子を押され、食堂を後にした。後には、不穏な沈黙と揺れる燭台の光だけが残った。
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