【完結】生贄にされた私が竜王陛下に溺愛されて、陥れた妹たちにざまぁしたら、幸せすぎて困ってます

深山きらら

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第四章 竜王妃の誕生

竜の集会

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 アリアーナは、体内の魔力を制御する練習を始めた。
 竜王が優しく教えてくれた。クロエも手伝ってくれた。

 初めて、アリアーナは、竜に変化することに成功した。

 竜王よりひと周り小さい、銀色の美しい竜。

 不思議な感覚だった。信じられないほど高いところから足元を見下ろすのは。
 風が、体にまつわりついてくる気がする。
 この風に乗って、空も飛べそうだ。

「こんなにも早く魔力の制御を覚えるとは。やはりお前には適性がある」

 竜王が喜んでくれたので、アリアーナも幸せな気分になって微笑んだ。

 自分は本当に、完全に人間でなくなってしまったのだ、と自覚したが。
 それは悲しむべきことではなく、むしろ喜びだ、と感じられた。

 いつか竜王と並んで空を舞うこともできるかもしれない。それは、とても楽しそうだ。



 約一月後。

 夕暮れ頃、城の中庭に竜たちが集まった。
 アリアーナが窓から見下ろすと、百頭以上の竜がいた。
 黒い竜、赤い竜、青い竜、白い竜。様々な色の竜が、中庭を埋め尽くしている。その光景は、圧巻だった。

「行くぞ」

 竜王が、竜型になったアリアーナの手を取った。
 二人は、螺旋階段を降り、中庭へと向かった。

 扉が開くと、全ての竜の視線が一斉にアリアーナに注がれた。
 その圧力に、アリアーナは思わず立ち止まりそうになった。けれど、竜王が優しく手を引いてくれる。

「皆、集まってくれて感謝する」

 竜王が、彼らに語りかけた。
 厳かな声、と聞こえる。しかし竜王は実際には声を発していない。思念でメッセージを発しているのだ。

 そして、半竜となったアリアーナには、苦もなくそれを聞き取ることができる。

「私は正式に伴侶を得た。アリアーナ・フォン・エルヴィシア。元は人間だったが、今は私の魔力を宿す半竜だ」

 ざわめきが起こった。
 竜たちが、互いに囁き合っている。

「人間を伴侶に?」
「前代未聞だ」
「しかし、竜王の選択だ」

 竜たちの思念が、声としてアリアーナに聞こえてくる。

 その時、一頭の白い竜が前に進み出てきた。
 他の竜たちとは明らかに様子が違う。強烈な威厳をまとっている。

「私はセラフィム。竜族の長老だ」

 白竜はそう名乗ると、深い知恵をたたえた金色の瞳でアリアーナをじっとみつめた。

「人間の娘よ。なぜ、竜王の伴侶となることを選んだ」

 その問いに、アリアーナは深く息を吸った。

「私は……愛しているからです。彼を」
「愛だと?」

 セラフィムの目が、鋭くなった。

「お前は、竜王の力を手に入れるために、愛を装っているのではないか」
「違います」
 アリアーナは、まっすぐにセラフィムを見つめた。

「私が竜王様を愛したのは、力があるからではありません。孤独な心を持ち、それでも誰かを守ろうとする優しさがあるから。千年の時を生き、それでも希望を失わない強さがあるから」

 セラフィムの表情が、わずかに和らいだ。

「そして」
 アリアーナは続けた。
「竜王様が私を選んでくれたことが、何よりも嬉しいのです。誰にも必要とされなかった私を、愛してくれた。それだけで、私は幸せです」

 沈黙が降りた。
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