【完結】生贄にされた私が竜王陛下に溺愛されて、陥れた妹たちにざまぁしたら、幸せすぎて困ってます

深山きらら

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第六章 新しい幸福

永遠の幸福

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 年月は流れた。
 人間の時間で、十年。

 レオンは十五歳になり、立派な若者に成長した。
 人間の姿では、父に似た美少年。
 竜の姿では、すでに馬ほどの大きさになっていた。

 レオンの五年後に生まれた長女のルナは十歳。
 母に似た美少女に育ち、読書が大好きだった。

「ママ、この本面白い!」

 ルナが、興奮した様子で本を持ってきた。

「古代の魔法について書かれているの」
「そう」

 アリアーナは微笑んだ。

「ママも、その本を読んだことがあるわ」
「本当? じゃあ、一緒に読もう!」

 ルナは、アリアーナの隣に座った。

 母娘で本を読む。
 それは、アリアーナにとって至福の時間だった。
 かつて一人で――ときには孤独をまぎらわすために――読んでいた本を、今は娘と共有できる。
 幸せだった。

「母上」
 レオンが、真剣な顔で近づいてきた。
「父上から、竜族の歴史を学ぶように言われました」

「そう」
 アリアーナはうなずいた。
「あなたは、いつか竜王になる。だから、学ばなければならないことがたくさんあるわ」

「はい」
 レオンは、決意に満ちた目をしていた。
「僕は、父上のような立派な竜王になります」

「なれるわ」
 アリアーナは、息子の頭を撫でた。
「あなたなら、きっと」

 レオンは、照れくさそうに笑った。

 もう十五歳なのに、まだ子供のような幼い笑顔。
 その笑顔を見ると、アリアーナの心は温かくなった。

 夕暮れ時、家族四人で最上階のテラスに集まった。
 これは、彼らの習慣だった。
 一日の終わりに、家族で夕日を見る。

「今日も、平和な一日だったな」

 竜王が、満足そうに言った。

「ええ」
 アリアーナは、竜王の手を握った。
「毎日が、幸せです」

 レオンとルナも、両親の隣に座った。
 四人で、夕日を見つめる。

 空が、茜色に染まっている。
 美しい光景だった。

「お母様」
 ルナが、小さく言った。
「私たちは、ずっと一緒にいられるの?」

「ええ」

 アリアーナは、娘を抱き寄せた。

「ずっと一緒よ。永遠に」
「本当?」
「本当よ」

 竜王の、重みのある声が響いた。

「我々は家族だ。何があっても、離れることはない」

 レオンとルナは、安心したように微笑んだ。

 家族四人、寄り添って夕日を見る。
 この時間は未来永劫、永遠に続く。

 もし子供たちが成長して、親元を巣立ったとしても。
 家族の絆は永遠だ。

 星がまたたき始めた頃、アリアーナは思った。

 自分は、かつて人間界に居場所がなく、生贄にされた。
 けれど、今は竜王妃。
 二人の子供の母。
 そして、愛する夫の妻。

 人生は、不思議だ。
 最悪の状況から、最高の幸せが生まれた。

「ありがとう」
 アリアーナは、竜王に囁いた。
「私を、愛してくれて」

「こちらこそ」
 竜王は、彼女の手を強く握った。
「お前が、私の元に来てくれて」

 二人は、星空の下で口づけを交わした。

 子供たちは、少し離れた場所で星を眺めている。

 家族の時間。
 永遠に続く、愛の時間。

 これが、彼らの物語。
 生贄から始まり、溺愛へと至った物語。
 そして、永遠に続く幸福の物語。【完】
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