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第一話
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俺たちは花畑の中で生まれた。闇夜のように真っ黒な毛並みに海のような深い青の瞳。これが俺。隣ですやすやと寝息を立てているのは俺の弟。雪のように真っ白な毛並みに淡い桃色の美しい瞳。双子にしては全く似ていない対照的な二匹だった。
俺が兄で二匹が双子ということは生まれてすぐに理解した。どうしてかは分からない。本能とかそういうものなのかもしれない。
ポカポカと陽射しが暖かい。花のいい香りが柔らかく漂う。自然と眠気がしてきてくぁ~んと大きなあくびをして長い尻尾で体を包んでやると上から甲高い声が降ってきた。
「まぁ見てごらん。この犬の妖精。双子よ双子!」
「まぁほんと!」
うるさくて寝ていられないとむっとして顔を上げると、キャーと叫び声が耳を劈く。
「か~~わいい! まん丸おめめに大きなお耳」
「まるでぬいぐるみみた~い!」
見上げた先にいたのは花畑に埋もれている俺の小さな体とそう変わらないくらいの何かだった。
パタパタと飛んでいて花畑でよく見かける白や黄色のアレらとよく似ていたがこんなに頭に響く音は出さなかった。
「本当にかわいい~~」
「ふわふわでもふもふだぁ~」
でもその音は聴いていて悪い気分じゃなかった。むしろ心地良かった。もっと見てと尻尾をブンブンと左右に振りながら起き上がって鼻先を近付ける。
ふと隣でくわ~と弟があくびをする。眠気まなこから愛らしい桃色の瞳が覗く。
途端きゃ~と再び叫び声が上がった。
「見てみて! かっわいい~~! かわいすぎて言葉が見つからない!」
「う~~なんて愛くるしいお目目なの! 白い毛並みの犬の妖精なんて初めて見た~~!」
そう言って俺の横を通り過ぎて弟の周りでくるくると飛び回る。
弟は鬱陶しそうにキャンキャンと吠えて遠ざけようとしていたが、それは逆効果だったようでまたきゃ~と声を上げて悶えていた。
こっちに構って欲しくて近付くが、その何かは弟に夢中のようだった。完全に輪の外にいた。弟に嫉妬したのは言うまでもない。
それから何かは俺たちに色々教えてくれた。自分たちは妖精であること。そして君たちも犬の妖精であること。
そうして名も与えられた。俺を指差し「君がルイ」、「君がエミュイね」と弟に指を差す。
「ルイってなに~?」
そう首を傾げれば妖精が笑って教えてくれた。
「名前だよ名前。私たちにも名前があるの」
「私がロゼでそっちがアイド」
「それって妖精っていうのと何が違うの?」
「妖精は種族名で名前はその人だけに与えられた言葉なの」
「ちなみに私の名前ロゼは美しき薔薇って意味なのよ!」
「じゃあ俺たちの名前の意味は?」
そうワクワクして尋ねると顔色を少しも変えずに笑顔で言う。
「特に何もないよ!」
「強いて言えば印象かな~。パッと見た感じなんか君はルイって感じがしたんだぁ」
そう、妖精というのはなんというかその、邪気がなく純粋そのものでそれ故にタチが悪かった。
今の俺から言わせてもらえばペットに名前をつけるようなものだったのだろう。けれど自分の名前の意味を嬉しそうに話したのに、この俺たちの扱いようは中々にサイコパスだと思う。
俺と妖精の会話を横で聞いていたエミュイがフンと鼻を鳴らして眠りにつく。
妖精は子どものような者達だった。感情豊かで純粋で、そして残酷だった。
妖精たちは普通の犬の妖精には見られない美しい真っ白な毛並みを持ったエミュイをひどく可愛がった。俺はいつも輪の外側。自分の欲求に素直だから妖精は弟に夢中で俺を気遣うなんてことはなかった。まるで透明になったようだった。
弟はいつも自分の周りを飛び交う妖精に嫌気が差しているようだったが、俺にしてみれば羨ましい限りだった。
確かにエミュイはかわいい。双子なのに俺とは違ってとびきり愛くるしい顔もしている。
けど俺も弟みたいにかわいいって言われたい! チヤホヤされたい!
そんな欲求に駆られて愛らしい仕草を弟から学び、研究して実践してみるも弟の前では全てが霞んでしまっていた。
だから俺は弟から離れた。ここじゃないどこかなら俺を誰かがかわいがってくれると信じて。
そうして俺は求めていた運命に出会った。
俺が兄で二匹が双子ということは生まれてすぐに理解した。どうしてかは分からない。本能とかそういうものなのかもしれない。
ポカポカと陽射しが暖かい。花のいい香りが柔らかく漂う。自然と眠気がしてきてくぁ~んと大きなあくびをして長い尻尾で体を包んでやると上から甲高い声が降ってきた。
「まぁ見てごらん。この犬の妖精。双子よ双子!」
「まぁほんと!」
うるさくて寝ていられないとむっとして顔を上げると、キャーと叫び声が耳を劈く。
「か~~わいい! まん丸おめめに大きなお耳」
「まるでぬいぐるみみた~い!」
見上げた先にいたのは花畑に埋もれている俺の小さな体とそう変わらないくらいの何かだった。
パタパタと飛んでいて花畑でよく見かける白や黄色のアレらとよく似ていたがこんなに頭に響く音は出さなかった。
「本当にかわいい~~」
「ふわふわでもふもふだぁ~」
でもその音は聴いていて悪い気分じゃなかった。むしろ心地良かった。もっと見てと尻尾をブンブンと左右に振りながら起き上がって鼻先を近付ける。
ふと隣でくわ~と弟があくびをする。眠気まなこから愛らしい桃色の瞳が覗く。
途端きゃ~と再び叫び声が上がった。
「見てみて! かっわいい~~! かわいすぎて言葉が見つからない!」
「う~~なんて愛くるしいお目目なの! 白い毛並みの犬の妖精なんて初めて見た~~!」
そう言って俺の横を通り過ぎて弟の周りでくるくると飛び回る。
弟は鬱陶しそうにキャンキャンと吠えて遠ざけようとしていたが、それは逆効果だったようでまたきゃ~と声を上げて悶えていた。
こっちに構って欲しくて近付くが、その何かは弟に夢中のようだった。完全に輪の外にいた。弟に嫉妬したのは言うまでもない。
それから何かは俺たちに色々教えてくれた。自分たちは妖精であること。そして君たちも犬の妖精であること。
そうして名も与えられた。俺を指差し「君がルイ」、「君がエミュイね」と弟に指を差す。
「ルイってなに~?」
そう首を傾げれば妖精が笑って教えてくれた。
「名前だよ名前。私たちにも名前があるの」
「私がロゼでそっちがアイド」
「それって妖精っていうのと何が違うの?」
「妖精は種族名で名前はその人だけに与えられた言葉なの」
「ちなみに私の名前ロゼは美しき薔薇って意味なのよ!」
「じゃあ俺たちの名前の意味は?」
そうワクワクして尋ねると顔色を少しも変えずに笑顔で言う。
「特に何もないよ!」
「強いて言えば印象かな~。パッと見た感じなんか君はルイって感じがしたんだぁ」
そう、妖精というのはなんというかその、邪気がなく純粋そのものでそれ故にタチが悪かった。
今の俺から言わせてもらえばペットに名前をつけるようなものだったのだろう。けれど自分の名前の意味を嬉しそうに話したのに、この俺たちの扱いようは中々にサイコパスだと思う。
俺と妖精の会話を横で聞いていたエミュイがフンと鼻を鳴らして眠りにつく。
妖精は子どものような者達だった。感情豊かで純粋で、そして残酷だった。
妖精たちは普通の犬の妖精には見られない美しい真っ白な毛並みを持ったエミュイをひどく可愛がった。俺はいつも輪の外側。自分の欲求に素直だから妖精は弟に夢中で俺を気遣うなんてことはなかった。まるで透明になったようだった。
弟はいつも自分の周りを飛び交う妖精に嫌気が差しているようだったが、俺にしてみれば羨ましい限りだった。
確かにエミュイはかわいい。双子なのに俺とは違ってとびきり愛くるしい顔もしている。
けど俺も弟みたいにかわいいって言われたい! チヤホヤされたい!
そんな欲求に駆られて愛らしい仕草を弟から学び、研究して実践してみるも弟の前では全てが霞んでしまっていた。
だから俺は弟から離れた。ここじゃないどこかなら俺を誰かがかわいがってくれると信じて。
そうして俺は求めていた運命に出会った。
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