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第十四話
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「やっぱり森の加護を受ける犬の妖精の回復力はすごいなぁ」
ん? 犬の妖精? もしかして俺が犬の妖精だって気付いているのか?
「それにしてもこのフワフワ感! まるで綿飴みたいだ~」
ぎゅっと抱え込まれて首の辺りに顔を突っ込まれる。
「スゥーハァー。ミルクみたいな甘い匂い。あ~ショタルイ最高……」
なんか鼻息が荒くて気持ち悪い。それになんだショタルイって。しかも俺の名前まで知ってる。
警戒心マックス。気色悪さに慌てて彼から距離を取る。
ん? あれ? なんだか体が軽い。
自分の体を見回すと、火傷の痕もなく、傷ひとつすらどこにもなかった。
理解が追いつかない。
男が俺の後を追うようにベッドから起き上がる。
「どうしたんだよルイ、久しぶりに会ったのにそんなよそよそしくすることはないだろぉ」
久しぶり? いやコイツと会ったことなんて一度もない。正真正銘初対面だ。
親しげに近づき、今にも抱かれそうになる。
得体の知れない彼にグルルと唸って威嚇する。
「あれ? 憶えてない? 俺だよ俺、青藍!」
「グルルルル……キャンキャン!(お前なんか知らない!)」
「嘘だろー! ルイ、もしかして俺のこと忘れちまったのか! じゃ、じゃあこれは? この角なら見覚えあるだろ。 よくルイがガシガシ咬んでて好きだったじゃないか!」
青藍という男の瞳の瞳孔が蛇のように縦に細まる。そしてその頭からは立派な角が生えていた。
人間ではないことが確かになり一層警戒心が強まる。
魔物? いや魔族か?
「ね、思い出したでしょ」
「キャンキャン!(お前みたいな奴知らない!)」
それを聞いた途端、彼がガーンと明らかにショックを受ける。
「……嘘だろ」
茫然とする彼。彼を悲しませたことに少し罪悪感が湧くが、今が逃げるチャンスだ。そうベッドから降りようとしたところで異変に気付く。
色とりどりの花や植物が沢山飾られた部屋。しかしなんだかやけに部屋が小さく感じる。
いや、違う。
部屋が小さいんじゃない。俺が大きくなったんだ!
ベッドで未だショックを受ける彼の体と比べてみれば、彼の膝辺りまで体が大きくなっていた。
一体どういうことだ。
突然の急成長に混乱している中、両前脚の間に手を挟まれて抱え上げられる。
っしまった!
押し退けるように脚をバタバタとさせるも彼は赤子を相手にするように全く意に介さない。
「本当に俺のこと憶えてないのか?」
「キャンキャン!(離せよーー!)」
「ルイ、大事なことなんだ。だから本当のことを言ってくれ」
「キャウキャンキャン! キャンキャンキャン! (だから知らないって! お前の顔なんか今ここで初めて見たっての!)」
そう投げやりに言い放った途端、彼の様子が変わる。
「前世の記憶がない? ……じゃあルイは人間にあんな酷いことをされたってのに憎悪も無念も何も抱かなかったってことかよ」
男は何かひどく驚いているようだった。
前世? 憎悪? 無念? 意味不明だ。
けれどふと気付く。
あれ、どうしてコイツ、話が通じるのだろう。
「キャンキャン(俺の言葉が分かるのか?)」
「ん? 言葉?」
「キャンキャン? (どうして俺の言葉が分かる?)」
もう一度訊ねると彼の表情が悲しげに翳る。
「そっか……本当に憶えてないんだな」
彼は半身を失ったように辛そうでとても寂しげだった。見ているとこっちまで胸が苦しくなってくる。
「分かった。教えるよ。それはだな、俺が千年を生きる龍だからだよ」
龍?
「千年も生きていれば動物の言葉くらい分かるようになるさ。それに最初に俺に言葉を教えてくれたのはルイだ。魔法も生きる術も全てルイが教えてくれた」
意味が分からなかった。俺がコイツに?
けれど全ては戯言だと流せなかった。だってコイツは俺の名前も俺が犬の妖精クー・シーだってことも知っていた。深まる謎。
「キャウキャンキャン! (お前は一体何者なんだ!)」
男が何かを言いかけるが、ピタリと時が止まったように彼が動かなくなる。そして今度は不気味なくらい甘やかな微笑みを浮かべながら彼が言った。
「俺はルイの恋人だよ」
ん? 犬の妖精? もしかして俺が犬の妖精だって気付いているのか?
「それにしてもこのフワフワ感! まるで綿飴みたいだ~」
ぎゅっと抱え込まれて首の辺りに顔を突っ込まれる。
「スゥーハァー。ミルクみたいな甘い匂い。あ~ショタルイ最高……」
なんか鼻息が荒くて気持ち悪い。それになんだショタルイって。しかも俺の名前まで知ってる。
警戒心マックス。気色悪さに慌てて彼から距離を取る。
ん? あれ? なんだか体が軽い。
自分の体を見回すと、火傷の痕もなく、傷ひとつすらどこにもなかった。
理解が追いつかない。
男が俺の後を追うようにベッドから起き上がる。
「どうしたんだよルイ、久しぶりに会ったのにそんなよそよそしくすることはないだろぉ」
久しぶり? いやコイツと会ったことなんて一度もない。正真正銘初対面だ。
親しげに近づき、今にも抱かれそうになる。
得体の知れない彼にグルルと唸って威嚇する。
「あれ? 憶えてない? 俺だよ俺、青藍!」
「グルルルル……キャンキャン!(お前なんか知らない!)」
「嘘だろー! ルイ、もしかして俺のこと忘れちまったのか! じゃ、じゃあこれは? この角なら見覚えあるだろ。 よくルイがガシガシ咬んでて好きだったじゃないか!」
青藍という男の瞳の瞳孔が蛇のように縦に細まる。そしてその頭からは立派な角が生えていた。
人間ではないことが確かになり一層警戒心が強まる。
魔物? いや魔族か?
「ね、思い出したでしょ」
「キャンキャン!(お前みたいな奴知らない!)」
それを聞いた途端、彼がガーンと明らかにショックを受ける。
「……嘘だろ」
茫然とする彼。彼を悲しませたことに少し罪悪感が湧くが、今が逃げるチャンスだ。そうベッドから降りようとしたところで異変に気付く。
色とりどりの花や植物が沢山飾られた部屋。しかしなんだかやけに部屋が小さく感じる。
いや、違う。
部屋が小さいんじゃない。俺が大きくなったんだ!
ベッドで未だショックを受ける彼の体と比べてみれば、彼の膝辺りまで体が大きくなっていた。
一体どういうことだ。
突然の急成長に混乱している中、両前脚の間に手を挟まれて抱え上げられる。
っしまった!
押し退けるように脚をバタバタとさせるも彼は赤子を相手にするように全く意に介さない。
「本当に俺のこと憶えてないのか?」
「キャンキャン!(離せよーー!)」
「ルイ、大事なことなんだ。だから本当のことを言ってくれ」
「キャウキャンキャン! キャンキャンキャン! (だから知らないって! お前の顔なんか今ここで初めて見たっての!)」
そう投げやりに言い放った途端、彼の様子が変わる。
「前世の記憶がない? ……じゃあルイは人間にあんな酷いことをされたってのに憎悪も無念も何も抱かなかったってことかよ」
男は何かひどく驚いているようだった。
前世? 憎悪? 無念? 意味不明だ。
けれどふと気付く。
あれ、どうしてコイツ、話が通じるのだろう。
「キャンキャン(俺の言葉が分かるのか?)」
「ん? 言葉?」
「キャンキャン? (どうして俺の言葉が分かる?)」
もう一度訊ねると彼の表情が悲しげに翳る。
「そっか……本当に憶えてないんだな」
彼は半身を失ったように辛そうでとても寂しげだった。見ているとこっちまで胸が苦しくなってくる。
「分かった。教えるよ。それはだな、俺が千年を生きる龍だからだよ」
龍?
「千年も生きていれば動物の言葉くらい分かるようになるさ。それに最初に俺に言葉を教えてくれたのはルイだ。魔法も生きる術も全てルイが教えてくれた」
意味が分からなかった。俺がコイツに?
けれど全ては戯言だと流せなかった。だってコイツは俺の名前も俺が犬の妖精クー・シーだってことも知っていた。深まる謎。
「キャウキャンキャン! (お前は一体何者なんだ!)」
男が何かを言いかけるが、ピタリと時が止まったように彼が動かなくなる。そして今度は不気味なくらい甘やかな微笑みを浮かべながら彼が言った。
「俺はルイの恋人だよ」
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