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23話 「冒険者」となるには 1
しおりを挟む…ギシ
腰掛けた軽い軋む音と共に、ベッドに倒れ込む。
「はあぁ…」
やっと、安全で一人になれる空間に辿り着いた。
全身の力を抜くと、あっさりと眠気がやってくる。
(それにしても、神界で話し合っていて、想像した10倍しんどかったな…)
元々、人の立ち入らない、ちょうどいい転生場所、という立地を探していたので、あの森が「自然の土地がダンジョン化する」という【フィールドダンジョン】であり、しかもその中でも相当特殊な【ボスしかいないダンジョン】である事も知っていた。
しかし、実際入ってみれば、ダンジョンの発する圧迫感に呑み込まれて、歩くのさえおぼつかない状態。
「そうそう会わないよ」とティナが言っていたボスにもガッツリ出会って、【魔物】というものの恐ろしさを、これでもかと見せつけられた。
(しかし…転生して最初に会う魔物が「アレ」ってのはどうなんだ?…)
まぁ、おかげさまで「ゲーム感覚」は吹き飛んだ…気はする。
オレが死ぬ前は、まだ【フルダイブVRMMO】なんて、物語の中の空想のシロモノで、「脳波を使って、物を動かす実験に成功した」とか、そのレベルでニュースになっていた程度だ。
だがここでは、本当に空想上の種族になり、魔法や武器を操り魔物と戦う、という事が出来てしまうのだ。
その感覚をまだ味わってはいないが、その時オレは、しっかりと"それ"を現実として受け止められるんだろうか?…
…ン、コンコン
扉を叩く音で、意識が覚醒する。
いつの間にか寝てたらしい。
「お客さん、夕食の時間だよ」
「あ、今行きます」
サラッと身嗜みを整えて1階へ降りる。
全体にバラけて、パラパラと人が座ってるので、何となく人のいないカウンター端に座る。
(…ソーシャルディスタンス)
意味不明な事をフワフワと考えていると、
「はい、お待ちどおさま!」
という声と共に、おかみさんと思われる女性が、カウンターの奥から、目の前に皿を並べていく。
サラダ、ゴロゴロ具の入ったブラウンシチュー、パン。
最後にコップがトンッと置かれると、
「ごゆっくりどうぞ」
と、一声かけて他の作業に戻っていく。
そこそこ美味しい夕食を食べ終わり、
(…紅茶飲みたいな。ティナのとこで飲み過ぎて軽く中毒だな…)
とか考えながら、水を飲んでいると、
「お客さん、見ない顔だよね。この町は初めて?」
と、宿の店員が話し掛けてくる。
(おおぅ…これがテンプレの、宿屋の娘と仲良くなっちゃ…)
そこにいたのは、あまりキレイに梳かしていない赤茶けた髪を、雑に後ろで一つに束ねた、ソバカス顔の20代くらいの女性がいた。
「あ、はい。今日初めて来ました」
「やだ、けっこう可愛いじゃない。
あたし、ここで働いてるエリダよ。夜しか来ないけど、よろしくね」
「あ、リルトといいます。ハーフエルフで15歳です」
(…なんだろう。 ティナを初めて見た時は「光り輝くような、人間離れした美女」とかには見えなかったから、テンプレは所詮作り話だな。とか思ってたけど…
こうやって、いざ一般人を見れば、ティナとか光り輝いてるよ!人間離れしてるよ!)
…他の客の注文聞きに行ってる間に、そろっと部屋にフェードアウトしました。
部屋に戻ると、ベッドに腰掛け、これからのこの町での予定を考え始める。
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