朝チュン転生 ~地味に異世界を楽しみたいのに女神サマが邪魔をします~

なる

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45話 幕間 希望に満ちた日々 3

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 毎日ティナのサポートをしながらも、マルティアルは"龍脈・霊脈管理部"の調査も行っていた。

 やっぱり、特に不審点は確認出来無い。
 が、マルティアルの勘はそうは言っていない、そもそも自分の確認能力など、現在のマルティアルは全く信用していない。

 画面に目を向け、左手で作業しながらも、ふと、自分の首に付けられた"奴隷の首輪"に触れる。

(……)






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 その日の、いやその日もマルティアルは浮かれていた。
 執務室で、夫となった人の写真を見ながらニヤニヤと片手間に仕事をしていた。



 …コンコンコン

「マルティアル様、お客様がいらっしゃ…」
 ドアの向こうからの声は途切れ、応答も待たず誰かが入室してくる。

 あまりのマナーに、一瞬ボーッとしている間に、その人物は執務机の前に立つ。

「マルテ…」
 懐かしい子供の頃の呼び名で声をかけてくる、優しい、そして何故か悲しい目をした"地球の主神"である兄がそこにはいた。




 …私は泣き崩れた。
 どれだけの人間を不幸にしたのだろう?
 神々も、私の怠慢のせいで、欲望を刺激され堕ちてしまった。
 世界にも小さくない影響が出ているだろう。



「今から父の所へ行く。
 ついてきなさい」



 寝所の父上は、報告を聞き激怒し、突然強制転移で連れてこられた罪を犯した神達は、一言弁明をすると塵のように滅されていった。



 私は生かされてしまった。
 妥当な理由に言い返す事も出来ない。


 執務室に帰る事は許されなかった。
 あそこはもう私の部屋ではない、いや、私の部屋だと言う権利など、とうの昔に失っている。


 後始末を手伝う事も許されず、夫の待つ自宅へ帰る。

「おかえり…どうしたの?何かあったの?」


 心配そうに見つめる夫に、すがりつきたかったがグッと堪える。
 私に、愛に抱き締められ、ぬくもりに癒される資格は無い。


 ポツポツと今回の顛末を語る、自分でも何を言っているのかよく分からない。
 支離滅裂な私の話を、夫は静かに聞いている。

「だから、…私は、人々を、何も考えずに…だから、
 たくさんの人が不幸に落ちても気付かな……」





 あっ…






 私は、今、唯一世界に対して許されている権限を使う。





 自らの手で【転生させた】彼ら・彼女らの足跡を追う。









「あ…あぁ、ああああああああああぁぁ!!」











 私は絶叫した。

 彼は、奴隷として生まれてしまい、能力を開花させる事無く、過剰な暴力を受け6歳で亡くなった。

 彼女は、内乱直前の国の王女に生まれ、4歳で城門の前に首を晒された。

 彼は、黒髪・黒目で生まれてしまい、生後間も無く捨てられ、魔物に食い殺された。

 彼は、彼女は、彼は……





 私は父上の前に跪いた。

「お願いします、私を滅して下さい」
「…それは"逃げ"だと教えたはずだけど?」

「…確かに、罪を償わず消滅する事は、逃げかもしれません。
 ですが、【勇者】になるはずだった彼も、【聖女】になるはずだった彼女も、私のせいで運命に翻弄され、無駄に苦しめられ、命を落としました」

「…気付いたんだね」

「世界に対してなら、今からでも何か、償える事があるでしょう。
 ですが、…私のせいで、…何も悪くないのに彼ら、彼女らは【輪廻の輪】に還ってしまった。
 私だけ生きているのは、…無理です」

「はぁ、…気付いてしまったんならしょうがない
 キミに"償う方法"を教えよう」


 私の前に光が集まり、やがてそれは形を成す。


 一つの首輪に。



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