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132話 新たな道標 23
しおりを挟む長机をロの字形に並べ、壁際などの予備席まで含めれば3~40人は入れるギルドの大会議室。
通常はほぼ使われず、大人数になった講習会の時や、冒険者を多数受け入れる大規模な依頼の打ち合わせなどでしか日の目を見ない。
そんな部屋でオレ、ポラリス、セリアナさんと並んで座り、職員に案内されて来た"隼の瞳"が入室して席に着くのを眺めている。
ちなみに"隼"の面々は先ほどまで寛いでいた会議室のカギを貸し与えられていて、荷物はそこに置いて来るよう誘導されている。
当然暴れた時の用心の為だ。
席に着いた"隼"のメンバーは何故こんな大きな部屋に移動したのか、と訝しげな表情でキョロキョロしているがセリアナさんはお構い無しに話し始める。
「それでは、今回の件についての話を始めましょうか、進行はギルド長の私が行います。
随行していたギルド職員のレシアナはもうすぐ来ますから、それまでにまずは経緯確認を。
"隼の瞳"のリーダー、ユーケリースダナフェールさん、お願いします」
(あのアホエルフそんな名前だったのか。
"アーホダナフール"とかでいいんじゃないか?)
アホエルフは満足げな微笑みを浮かべている。
「呼びづらいでしょうからケリーで結構です。
それでは私がそこのダークエルフが如何に呪われた存在であるのかお話ししましょう」
そこからはアホエルフの妄想と嘘のごった煮みたいなくだらない話が始まった。
エルフ以外は知らないがダークエルフは本当に呪われた種族であるだの。
ポラリスを見た時にすぐに何か悪い事が起きる予感があっただの。
自分達もオークの接近に気づいていたが駆けつけるのに一歩遅かっただの…
耳が腐るような内容だが聞かない訳にはいかない。
今まさに大事な本人による証言を"確認してもらってる最中"だからな。
ガチャッ
「…なるほど。
一部始終お話は聞かせて頂きました」
突然開いた扉からはレシアナさん、ロンドル大司教、そして見た事のない白いシスター服に口元も布で覆い、その上から透けるベールを被り完全に目元しか見えない謎の女性が入って来た。
「キュイキューン!」
腕の中のラテルがベールの女性へ手を上げて挨拶するように鳴く。
ベールの女性の目はほんのり微笑んでいるように見える。
(…ひょっとして、あのベールの女性オリエさん?)
オリエさんというのはオレが意識不明だった時から、その後の療養中までお世話係をしてくれていたシスターで、ラテルも可愛がってもらっていたので懐いている。
"隼"の連中が突然の事に呆然とする中、3人はオレ達の元へ。
「リルト様、お早いそして無事のお帰りをお喜び申し上げます」
大司教は深々と頭を下げ、ベールの女性も軽く頭を下げる。
「ただいま帰りました。
まぁ、完全な予定外ですけど」
呆然としていたアホエルフがいち早く復活した。
「な、何で教会の神官がこの話し合いの場に?」
笑顔の大司教がアホエルフを見据える、目は笑っていない…
「それはもちろん、あなたの証言が正しいのか、こちらの"審議官"に確かめてもらう為です」
「「審議官?!」」
アホエルフと男3人は再び呆然といった体で固まってしまい、イリサという女性だけがその意味に素早く気づいたようで、
「もうおしまいだわ…」
と、小さく呟き頭を抱え項垂れている。
ガタン!
「ふざけんな!オレたちゃ関係ねぇ!」
大声を上げながら勢いよく立ち上がり男が椅子を倒したのと、扉が再度開いたのはほぼ同時だった。
開いた扉からは王都の衛兵隊員7人がギルド職員に案内されて入って来る。
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