令嬢の上手な幸せの掴み方

桜花

文字の大きさ
1 / 1
本編

Prologue

しおりを挟む
小さい頃はお姫様になりたかった。
綺麗で優しくて誰からも愛されて、そうして王子様と出会い幸せを手に入れる。
そんな物語のヒロインのようなお姫様になりたかった。
ずっとずっと憧れて、はじめて行ったお城の舞踏会。
周りがみんな夢見がちな子どもでいることをやめてしまっても私はずっとお姫様を夢見てた。
そうして出会ったこの国の王様にお妃さま、王子様とお姫様。
はじめて見るお姫様に胸がドキドキしてとても興奮してた。きっととても美しくてとても幸せなんだろう。
本気でそう思ってた。
その舞踏会がお姫様の婚約発表の場であることを着いてからはじめて知った。お妃様の第一子であるお姫様。
王位を継ぐのは第二子である王子様だからお姫様は他所の国へ嫁ぐことになったらしい。

はじめて見たお姫様は物語のような特別に見目の美しい方ではなかった。

良くも悪くもあまり目立たない人だった。隣に立つ王様やお妃様、王子様はとても見目のお美しい方だった。
そうしてこの国の王族ではない方がそこにもう1人いた。この方がお姫様と結婚することになった隣国の王子様らしい。
その王子様の隣に立ち柔らかく微笑んだお姫様を見て私は心臓を絞りあげられてるかのような錯覚に陥った。
壇上で王様が何かを話していた。隣国の王子様が何か話していた。
お姫様は何も話さなかった。

私は王族の方の挨拶が終わるとすぐに両親に心臓が痛いと言い家へと帰った。
一緒に帰ると言う両親に公爵家がそんなすぐ帰ったら心象が悪いから大丈夫だと告げ自分の侍女だけを連れていった。
家へと着けば私はまっすぐに自分の部屋に向かう。後をついてくる侍女へしばらく寝るから1人にしてほしいことを告げ部屋へと入る。

私は堪えていた涙をダムが決壊したかのようにぼたぼたと流した。
きっと私の優秀な侍女は今も部屋の外にいるだろう。声を出したらバレてしまう。
私は必死に唇を噛み声を堪えるようにして涙を流し続けた。

ずっと夢見ていたお姫様。
綺麗で優しくて誰からも愛されて幸せなお姫様。
決して見目の美しい人ではなかった。それでも、想像の中のお姫様よりもずっとずっと美しく見えた。微笑まれた姿に目が奪われた。
それなのに、その微笑みには諦めだけが込められていた。
きっとあの王子はお姫様を幸せにすることができない王子なんだ。何故かわからないけどそう思った。
愛されることと己の幸せを諦めたお姫様。

自分には関係ないことだと言えばその通りだ。
それでも悔しくて悔しくて流れる涙はいっこうに止まってくれる気配がない。

そうして一頻り泣いて、私は気づく。
物語のお姫様たちは幸せになることを諦めず幸せになるための努力をしたのだ。
誰かに幸せにしてもらえるだなんて思っていけないんだ。
女の子は自分の幸せを自分で掴まなければいけないんだ。
私は心に誓った。

そして刻は巡り。私は学園へと入学する年になる。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

すべてはあなたの為だった~狂愛~

矢野りと
恋愛
膨大な魔力を有する魔術師アレクサンダーは政略結婚で娶った妻をいつしか愛するようになっていた。だが三年経っても子に恵まれない夫妻に周りは離縁するようにと圧力を掛けてくる。 愛しているのは君だけ…。 大切なのも君だけ…。 『何があってもどんなことをしても君だけは離さない』 ※設定はゆるいです。 ※お話が合わないときは、そっと閉じてくださいませ。

貴方なんて大嫌い

ララ愛
恋愛
婚約をして5年目でそろそろ結婚の準備の予定だったのに貴方は最近どこかの令嬢と いつも一緒で私の存在はなんだろう・・・2人はむつまじく愛し合っているとみんなが言っている それなら私はもういいです・・・貴方なんて大嫌い

真実の愛は水晶の中に

立木
恋愛
学園の卒業を祝うパーティーの最中、レイシア・マレーニ侯爵令嬢は第三王子とピンク髪の女、その取り巻きたちによって断罪されようとしていた。 しかし断罪劇は思わぬ方向へ進んでいく。 ※AIイラスト使用 ※「なろう」にも重複投稿しています。

不機嫌な侯爵様に、その献身は届かない

翠月 瑠々奈
恋愛
サルコベリア侯爵夫人は、夫の言動に違和感を覚え始める。 始めは夜会での振る舞いからだった。 それがさらに明らかになっていく。 機嫌が悪ければ、それを周りに隠さず察して動いてもらおうとし、愚痴を言ったら同調してもらおうとするのは、まるで子どものよう。 おまけに自分より格下だと思えば強気に出る。 そんな夫から、とある仕事を押し付けられたところ──?

不実なあなたに感謝を

黒木メイ
恋愛
王太子妃であるベアトリーチェと踊るのは最初のダンスのみ。落ち人のアンナとは望まれるまま何度も踊るのに。王太子であるマルコが誰に好意を寄せているかははたから見れば一目瞭然だ。けれど、マルコが心から愛しているのはベアトリーチェだけだった。そのことに気づいていながらも受け入れられないベアトリーチェ。そんな時、マルコとアンナがとうとう一線を越えたことを知る。――――不実なあなたを恨んだ回数は数知れず。けれど、今では感謝すらしている。愚かなあなたのおかげで『幸せ』を取り戻すことができたのだから。 ※異世界転移をしている登場人物がいますが主人公ではないためタグを外しています。 ※曖昧設定。 ※一旦完結。 ※性描写は匂わせ程度。 ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載予定。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

お姫様は死に、魔女様は目覚めた

悠十
恋愛
 とある大国に、小さいけれど豊かな国の姫君が側妃として嫁いだ。  しかし、離宮に案内されるも、離宮には侍女も衛兵も居ない。ベルを鳴らしても、人を呼んでも誰も来ず、姫君は長旅の疲れから眠り込んでしまう。  そして、深夜、姫君は目覚め、体の不調を感じた。そのまま気を失い、三度目覚め、三度気を失い、そして…… 「あ、あれ? えっ、なんで私、前の体に戻ってるわけ?」  姫君だった少女は、前世の魔女の体に魂が戻ってきていた。 「えっ、まさか、あのまま死んだ⁉」  魔女は慌てて遠見の水晶を覗き込む。自分の――姫君の体は、嫁いだ大国はいったいどうなっているのか知るために……

行き場を失った恋の終わらせ方

当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」  自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。  避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。    しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……  恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。 ※他のサイトにも重複投稿しています。

処理中です...