私は悪役令嬢なのか、脇役なのか、モブなのかを知りたい

千代子レイ子

文字の大きさ
9 / 33

9 予想外に保険が増える

しおりを挟む
 カイン様の上書き誕生日は、私の予想を越えて大変なことになっていた。

「アルファー伯爵令嬢は何て多才なのでしょう!! 私、感動いたしましたわ!!」
「アルファー伯爵!! 是非とも我が家でもあの劇をしてくれ!! いや、あの劇団を紹介してくれないか!!」
「アルファー伯爵!!」

 そうあの劇が大盛況だったため、お父様もお母様もあれから色んな所に引っ張りだこになっている。今や時の人となってしまい、『アルファー伯爵と会話しないものは貴族ではない』なんて意味不明な噂まである。

 なので必然と婚約者のカルフィシファー公爵家の皆さんまで巻き込んでしまい、私は心の中で反省する。

 (よし! 次からは大人しく目立たないプレゼントを渡すことにしよう!!)

 だがそんな想いとは裏腹に親族たちが屋敷に押し寄せては是非とも家で誕生日企画の劇をしてくれとうるさい。

 (…………おい、お前ら! 我、まだ10歳ぞ? 何をただでこき使おうとしてるんじゃい!!)

 しかもいとこ達はいいとしても、ほぼ関わりのない親族のおっさんの誕生日までお願いに来る図々しい猛者おばさんまで現れて流石の父親もキレた。

「親族を名乗るハイエナ共など無視しろ!! 私がいない時の手紙、訪問は全て断っていい!!」
「全く、図々しい人たちだわ」

 (でもいとこ達の劇はやるんだよねぇ。まぁ、みんな私より小さいし可愛いからいいけど、やっぱり両親に上手く駒にされているような……)

 複雑な気持ちのまま、今度は母方の従姉妹たちに頼まれて劇をすることになった。私は今回も同じ新人役者を借りようとしたら、前回の公演でその新人さんたちは人気者になり使えなくなってしまった。

 だが私が劇をまたするのであれば使ってほしいと中堅役者さんたちが我先にとアピールしだしてちょっとビックリしてしまったが、これはラッキーかもしれない。

「今回は女の子の向けの劇なので、女優さん多めでお願いします」
「今回はどんな劇にするんですか?」
「美少女魔法戦士です」

 幼い女の子なら変身ヒロインなら鉄板だろうと、今回も前世の魔法少女ものを詰め込んで可愛くオシャレな服装と華麗な戦いで夢と希望を見せましょう。




 結果は勿論、大盛況で従姉妹たちは私が適当に考えたプレゼントの変身グッズを見て更に興奮し、ずっと変身呪文と攻撃呪文(泡とキラキラ七色に光だけの呪文)を唱えていた。

「あの衣装凄く可愛いわ……」
「でも少しスカートが短いわ」
「なら、裾を長くすれば私たちも大丈夫じゃないかしら?」
「あのピンクの衣装可愛い過ぎるわ……」

 どうやら少し年上のお姉様方にも日本のロリータファッションが刺さったようだ。

「くっ、あの黒のハレンチな衣装……エロいだろ……」
「はぁ、はぁ……白の衣装がヌメヌメでやられるシーン最高……もっと見たい……」
「可愛い過ぎる……ウサギの耳衣装があんなに女の子に合うなんて思わなかった……」

 ……こちらは違う意味で刺さった年頃のお兄様方にも好評で何よりです。



 そして私は戦隊もの、魔法少女ものを公演し、演劇に革命を起こしたと演劇関係者に感謝され、新人役者さんたちも新たに仕事の需要が増えたと大喜びだったと聞いた。

 (うむ。これでまた平民に落ちたとしても演劇関係で働くことが出来るパイプが増えたな。大変だったけど保険が1つでも多くなることは私のメリットに繋がるのでよしとしよう!!)

 後は物理攻撃と毒耐性か回避をなんとか会得してどの話のどんな役職でも生き延びられるよう頑張るだけだ。

 (来年は魔法鑑定がある。それの能力を知ってから対処した方がいいな……)

「公演関係もお父様にお願いして使用料入るようにして貰ったし、当分はゆっくり出来るかな」
「……あの、お嬢様、お客様が……」
「? えっ? 私? もう演劇関係は断って!」
「いえ、それがマダムパピヨンことシルバー婦人が是非ともお嬢様にお会いしたいと……」

 (? なぜ有名ブランドのオーナー様が直々に会いに来るの?)

「よく分かんないけど会うわ」



「まぁ! お会いしたかったですわぁ!! 無理を言って申し訳ござぁません!!」

 お母様を伴って会うマダムパピヨン会長はその名に恥じぬ洗練された衣装を纏いながら丁寧な挨拶をしてくれた。

「それでシルバー婦人。早速ですが、どうして家の子に会いたいのですか?」
「実はアルファー伯爵令嬢がこの前公演した劇のお衣装があまりぃにも素晴らしく、是非ともうちでデザイナーをしてほしいのでござぁますの!」
「デザイナー?!! 娘はまだ10歳ですわよ?」
「えぇ。了承しておりますわ。ですが!! あまりぃにもその才能を埋もれさせておくのは勿体無いのうござぁますわ!!」

 (まさか今度はデザイナー……。保険が増えるのはいいけど、同時に知名度も上がりすぎるのは困る)

 よし! ここはお母様に頑張って断って貰おう!!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

《完結》金貨5000枚で売られた王太子妃

ぜらちん黒糖
恋愛
​「愛している。必ず迎えに行くから待っていてくれ」 ​甘い言葉を信じて、隣国へ「人質」となった王太子妃イザベラ。 旅立ちの前の晩、二人は愛し合い、イザベラのお腹には新しい命が宿った。すぐに夫に知らせた イザベラだったが、夫から届いた返信は、信じられない内容だった。 「それは本当に私の子供なのか?」

下賜されまして ~戦場の餓鬼と呼ばれた軍人との甘い日々~

イシュタル
恋愛
王宮から突然嫁がされた18歳の少女・ソフィアは、冷たい風の吹く屋敷へと降り立つ。迎えたのは、無愛想で人嫌いな騎士爵グラッド・エルグレイム。金貨の袋を渡され「好きにしろ」と言われた彼女は、侍女も使用人もいない屋敷で孤独な生活を始める。 王宮での優雅な日々とは一転、自分の髪を切り、服を整え、料理を学びながら、ソフィアは少しずつ「夫人」としての自立を模索していく。だが、辻馬車での盗難事件や料理の失敗、そして過労による倒れ込みなど、試練は次々と彼女を襲う。 そんな中、無口なグラッドの態度にも少しずつ変化が現れ始める。謝罪とも言えない金貨の袋、静かな気遣い、そして彼女の倒れた姿に見せた焦り。距離のあった二人の間に、わずかな波紋が広がっていく。 これは、王宮の寵姫から孤独な夫人へと変わる少女が、自らの手で居場所を築いていく物語。冷たい屋敷に灯る、静かな希望の光。 ⚠️本作はAIとの共同製作です。

「ご褒美ください」とわんこ系義弟が離れない

橋本彩里(Ayari)
恋愛
六歳の時に伯爵家の養子として引き取られたイーサンは、年頃になっても一つ上の義理の姉のミラが大好きだとじゃれてくる。 そんななか、投資に失敗した父の借金の代わりにとミラに見合いの話が浮上し、義姉が大好きなわんこ系義弟が「ご褒美ください」と迫ってきて……。 1~2万文字の短編予定→中編に変更します。 いつもながらの溺愛執着ものです。

【完結】男運ゼロの転生モブ令嬢、たまたま指輪を拾ったらヒロインを押しのけて花嫁に選ばれてしまいました

Rohdea
恋愛
──たまたま落ちていた指輪を拾っただけなのに! かつて婚約破棄された過去やその後の縁談もことごとく上手くいかない事などから、 男運が無い伯爵令嬢のアイリーン。 痺れを切らした父親に自力で婚約者を見つけろと言われるも、なかなか上手くいかない日々を送っていた。 そんなある日、特殊な方法で嫡男の花嫁選びをするというアディルティス侯爵家のパーティーに参加したアイリーンは、そのパーティーで落ちていた指輪を拾う。 「見つけた! 僕の花嫁!」 「僕の運命の人はあなただ!」 ──その指輪こそがアディルティス侯爵家の嫡男、ヴィンセントの花嫁を選ぶ指輪だった。 こうして、落ちていた指輪を拾っただけなのに運命の人……花嫁に選ばれてしまったアイリーン。 すっかりアイリーンの生活は一変する。 しかし、運命は複雑。 ある日、アイリーンは自身の前世の記憶を思い出してしまう。 ここは小説の世界。自分は名も無きモブ。 そして、本来この指輪を拾いヴィンセントの“運命の人”になる相手…… 本当の花嫁となるべき小説の世界のヒロインが別にいる事を─── ※2021.12.18 小説のヒロインが出てきたのでタグ追加しました(念の為)

二度目の子育て~我が子を可愛がったら溺愛されました

三園 七詩
恋愛
私は一人娘の優里亜の母親だった。 優里亜は幼い頃から体が弱く病院でほとんどの時間を過ごしていた。 優里亜は本が好きでよく私にも本の話をしてくれた。 そんな優里亜の病状が悪化して幼くして亡くなってしまう。 絶望に打ちひしがれている時事件に巻き込まれ私も命を落とした。 そして気がつくと娘の優里亜が大好きだった本の世界に入り込んでいた。

【完結】地味な私と公爵様

ベル
恋愛
ラエル公爵。この学園でこの名を知らない人はいないでしょう。 端正な顔立ちに甘く低い声、時折見せる少年のような笑顔。誰もがその美しさに魅了され、女性なら誰もがラエル様との結婚を夢見てしまう。 そんな方が、平凡...いや、かなり地味で目立たない伯爵令嬢である私の婚約者だなんて一体誰が信じるでしょうか。 ...正直私も信じていません。 ラエル様が、私を溺愛しているなんて。 きっと、きっと、夢に違いありません。 お読みいただきありがとうございます。短編のつもりで書き始めましたが、意外と話が増えて長編に変更し、無事完結しました(*´-`)

兄みたいな騎士団長の愛が実は重すぎでした

鳥花風星
恋愛
代々騎士団寮の寮母を務める家に生まれたレティシアは、若くして騎士団の一つである「群青の騎士団」の寮母になり、 幼少の頃から仲の良い騎士団長のアスールは、そんなレティシアを陰からずっと見守っていた。レティシアにとってアスールは兄のような存在だが、次第に兄としてだけではない思いを持ちはじめてしまう。 アスールにとってもレティシアは妹のような存在というだけではないようで……。兄としてしか思われていないと思っているアスールはレティシアへの思いを拗らせながらどんどん膨らませていく。 すれ違う恋心、アスールとライバルの心理戦。拗らせ溺愛が激しい、じれじれだけどハッピーエンドです。 ☆他投稿サイトにも掲載しています。 ☆番外編はアスールの同僚ノアールがメインの話になっています。

【完結】ハメられて追放された悪役令嬢ですが、爬虫類好きな私はドラゴンだってサイコーです。

美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
 やってもいない罪を被せられ、公爵令嬢だったルナティアは断罪される。  王太子であった婚約者も親友であったサーシャに盗られ、家族からも見捨てられてしまった。  教会に生涯幽閉となる手前で、幼馴染である宰相の手腕により獣人の王であるドラゴンの元へ嫁がされることに。  惨めだとあざ笑うサーシャたちを無視し、悲嘆にくれるように見えたルナティアだが、実は大の爬虫類好きだった。  簡単に裏切る人になんてもう未練はない。  むしろ自分の好きなモノたちに囲まれている方が幸せデス。

処理中です...