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2章 少女の生い立ち
再度目覚める少女
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目が覚める、もう一度
違う部屋だ、もしかすると売られた先の貴族の家かもしれない、何があったのか上手く思い出せない。
「目が、、覚めましたかな?」
老人だ、老人、、、
この人、まさかずっと?
リリシアが違和感を感じたのは老人の服装だ、先日目覚めた時から変わっていなかった。
「お加減はいかがですか?」
この老人はなぜ親切にしてくれるのだろう。
私に親切にしても何もいいことはない。
いや、もしかするとこの老人に買われたのかも知れない。
「リリシア様、お話は、できますか?」
名前を呼ばれた。
それだけでリリシアからすればとんでもないことだった。
「さま、、、?」
ふと、なぜ彼は自分に敬称をつけるのか、疑問から声が出てしまったからだろうか、老人は少し嬉しそうな顔をした。
「ええ、、、ええ!はい!リリシア様」
突然大きな声を出した老人に驚き、毛布を握りしめる。
それに気付いたのだろう老人は、失礼、と一言告げ、立ち上がる。
そして手を伸ばす。
リリシアの頭に向けて。
ぶたれる
そう、思った。
だが、顔に感じたのは頬への打撃では無かった、額への少し冷たい優しい老人の気遣いであった。
「熱は、ありませんな」
ここで、リリシアはふと尋ねる。
「ここ、、は、どこですか?、、、あの、娼館ですか?それとも私を買ったのはあなた?」
そう言い、ふと老人の顔を見上げると。
とても辛そうな、悲しそうな顔をした老人が、涙を堪えて立っていた。
「いえ、違います、違いますとも、あなたはもう何も怖がらなくていいのです、私はあなたの、、、そう、あなたの物です、あなたに仕える、あなたの忠実な僕、どうぞ何なりと命じてください、不肖、ルベリオル・ベリウス、ここに参上奉りまする」
そう言い切った老人は、涙を堪えながらひざまづく、そして急に立ち上がる。
「お腹が空いたでしょう、なにか持ってきます」
そういった老人、否、ルベリオルは、リリシアの答えを聞く前に部屋から出ていってしまった。
静かな廊下を、銀色の顎髭を丁寧にまとめた老人が通る、ここは2階の大広間への通り、当然人通りは多い。
心優しく、寛容な老人には、使用人や小間使い、抱えの商人までもが挨拶をしていた。
しかし、今日はしない。
誰も老人に話しかけない。
かけれるわけもない、その日、廊下を闊歩していたのは、普段のベリウス卿では無かった。
普段は半分程閉じた瞼を大きく開き、その奥の赤き瞳を光らせ、その顔の至る所から、老人の煮えたぎるような殺意が撒き散らかされる。
その瞳はまるで御伽噺に出てくる悪魔。
そう、まるで悪魔 ベイアス のようだった。
リリシアが目覚めた地より遥か北、グラファシア大陸の北端、雪狼人族の住う地よりさらに北、かの種族が崇める大山、その地下。
巨大な存在が、久しぶりに目を覚ます。
まるでどこかで目覚めた少女のように。
自らの睡眠を邪魔されたからと、なんら気持ちに変化はない、ただ、研ぎ澄まされた己の五感はなにも感じない、では、なぜ己は起きたのか、なにが睡眠を妨害したのか。
しかし、数秒後にはそんな事はどうでも良い。
そう思い彼はまた眠る。
違う部屋だ、もしかすると売られた先の貴族の家かもしれない、何があったのか上手く思い出せない。
「目が、、覚めましたかな?」
老人だ、老人、、、
この人、まさかずっと?
リリシアが違和感を感じたのは老人の服装だ、先日目覚めた時から変わっていなかった。
「お加減はいかがですか?」
この老人はなぜ親切にしてくれるのだろう。
私に親切にしても何もいいことはない。
いや、もしかするとこの老人に買われたのかも知れない。
「リリシア様、お話は、できますか?」
名前を呼ばれた。
それだけでリリシアからすればとんでもないことだった。
「さま、、、?」
ふと、なぜ彼は自分に敬称をつけるのか、疑問から声が出てしまったからだろうか、老人は少し嬉しそうな顔をした。
「ええ、、、ええ!はい!リリシア様」
突然大きな声を出した老人に驚き、毛布を握りしめる。
それに気付いたのだろう老人は、失礼、と一言告げ、立ち上がる。
そして手を伸ばす。
リリシアの頭に向けて。
ぶたれる
そう、思った。
だが、顔に感じたのは頬への打撃では無かった、額への少し冷たい優しい老人の気遣いであった。
「熱は、ありませんな」
ここで、リリシアはふと尋ねる。
「ここ、、は、どこですか?、、、あの、娼館ですか?それとも私を買ったのはあなた?」
そう言い、ふと老人の顔を見上げると。
とても辛そうな、悲しそうな顔をした老人が、涙を堪えて立っていた。
「いえ、違います、違いますとも、あなたはもう何も怖がらなくていいのです、私はあなたの、、、そう、あなたの物です、あなたに仕える、あなたの忠実な僕、どうぞ何なりと命じてください、不肖、ルベリオル・ベリウス、ここに参上奉りまする」
そう言い切った老人は、涙を堪えながらひざまづく、そして急に立ち上がる。
「お腹が空いたでしょう、なにか持ってきます」
そういった老人、否、ルベリオルは、リリシアの答えを聞く前に部屋から出ていってしまった。
静かな廊下を、銀色の顎髭を丁寧にまとめた老人が通る、ここは2階の大広間への通り、当然人通りは多い。
心優しく、寛容な老人には、使用人や小間使い、抱えの商人までもが挨拶をしていた。
しかし、今日はしない。
誰も老人に話しかけない。
かけれるわけもない、その日、廊下を闊歩していたのは、普段のベリウス卿では無かった。
普段は半分程閉じた瞼を大きく開き、その奥の赤き瞳を光らせ、その顔の至る所から、老人の煮えたぎるような殺意が撒き散らかされる。
その瞳はまるで御伽噺に出てくる悪魔。
そう、まるで悪魔 ベイアス のようだった。
リリシアが目覚めた地より遥か北、グラファシア大陸の北端、雪狼人族の住う地よりさらに北、かの種族が崇める大山、その地下。
巨大な存在が、久しぶりに目を覚ます。
まるでどこかで目覚めた少女のように。
自らの睡眠を邪魔されたからと、なんら気持ちに変化はない、ただ、研ぎ澄まされた己の五感はなにも感じない、では、なぜ己は起きたのか、なにが睡眠を妨害したのか。
しかし、数秒後にはそんな事はどうでも良い。
そう思い彼はまた眠る。
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