王道な青春?

アロカルネ

文字の大きさ
1 / 1

王道な青春?

しおりを挟む
月日の流れと共に、男って奴は花より団子になっていくもんだ。
そんで見栄を張ったりしながら、女子に良いところを見せて、モテたいって思う。
俺はそんな中で一種の例外だろう。誤解するなよ。別に俺はそっちの趣味なわけでも、心がいまだに花より団子って訳でもない。
ピンポーン、ピンポンピンポン、ピピピピピピンポーン!!!
「はぁ・・・・・」
「タカシー、ユイちゃん来たわよー!!」
「分かってるよ!!」
独特なチャイムを鳴らし方をするのは、小学校時代に転校してきて、そこから付き合いのあるユイという奴だ。
小学校で初めて会った時の事を今でも思い出す。
『初めまして、ユイって言います』
『う、うん・・・・』
『突然だけど教えて欲しいんだ』
『えっ? な、何を?』
『一目惚れしたんだけど、どうやったら君と付き合える?』
『えっ・・わ、分かんないけど・・・いっぱい一緒にいると仲良くなれるらしいよ』
『じゃあ、いっぱい一緒にいる!!』
あの時のことを今でも時々思い出してしまう。
「おい、チャイムが壊れるだろ・・・」
ガチャ・・・グイッ!!
「おっはよー!!」
「ああ、おはよ・・・・」
玄関をちょっと開けると、勢いよく引っ張られて、元気な制服姿でアイサツをしてくる。
「今日は休みなのに、なんで制服姿なんだよ?」
「だって、そっちの方がやる気出るでしょ!?」
「はぁ・・・そう思うなら、勉強を頑張れよ・・・」
「うっ・・・」
それに無駄に発育が良くなった胸を押さえながら、視線を逸らす姿に俺の方も視線を逸らしてしまう。
「タカシ先輩、今日はよろしくお願いします!!」
「同い年だろうが」
「今は先輩なので!!えへへ・・・」
同い年なんだが、ユイは高校を留年してしまい、友達たちからもショックを受けられていた。
まあ、本人はまったくと言って良いほどに気にしてなくて、親御さんの方がショックを受けているんだが・・・・
最初はビビられていたようだったが、持ち前の明るさで今の教室でも友達は多いというのは本人の談だ。
「とりあえず上がれよ」
「はーい!!」
既に慣れた様子で上がり込んでくるユイは楽しそうに笑いながら、俺の部屋に入ると鞄から教科書を取り出す。
「先生、これとこれとこれが分かりません!!」
「多いな・・・・去年もやっただろ?」
「過去は振り返らない主義なんだ!!」
「反省はしような?」
「はい・・・」
素直に返事を返しながら、ノートを広げると綺麗な字でノートは埋め尽くされていた。
それはもう、とても可愛らしい動物の絵や格好良いロボットの絵で・・・・
「間違えて落書き帳が出してるぞ」
「ひっどーい!! ちゃんとした勉強用のノートだよ」
「・・・・・・・・」
見直してみたら申しわけ程度にはテスト範囲の教科書のページだけ書かれていた。
「よし、まずは補習する日程を聞こうか」
「まだテスト前だよ!?」
俺は深々と溜息を吐きながら、とりあえず教科書を持ち上げてノートに書かれたページを開いていく。
顔だちも悪くなくて、性格もいい加減に見えて元気で意外と気が利いて優しい、鞄に入っていた弁当箱も二人分入っており、これが結構美味い。
「なのに・・・なんで、こんなに頭が残念なんだ」
「ええ!? 今日の髪型は結構気合い入れたんだよ!?」
「そうだな。普段よりも寝癖は少ないな」
「えへへ・・・そうでしょ~?」
動きやすいからという理由でショートヘアーにした髪を自慢げに指で掻き揚げ、後頭部の寝癖以外は今日は整えられている。
「そうだ!! 赤点回避したら、ご褒美ちょうだい!?」
「テストは自分のためにする物です」
「そ、そうだけど・・・ほら、ご褒美あったら頑張れる気がするから」
「何が欲しいんだ」
「えっと・・・・こい・・じゃなくて・・・今度の休みに一緒に買い物に付き合って欲しいな~」
「しょうがないな・・・」
「やった!! 頑張るぞ~、えいえいおー!!」
嬉しそうにユイは拳を握りしめ、元気に両手を天井に突き出しながら、やる気になったようで一安心だ。
数日後、無事にテストは赤点をギリギリで回避して、先生からも涙ぐまれたらしい。
そして・・・俺とユイは約束通りに買い物に来ている。
ビチビチビチビチ!!
「見て見て!!ほら、すごい新鮮な鯉と鯛があったよ!!」
「そうだな・・・・」
今度、上の兄が結婚式をするらしくて、その為に漁業市場にまで付き合わされた。
本当に、その行動力を勉強に少しでも使ってほしいものだ。あと・・・・
「私たちの結婚式にも、この二匹買おうね!!」
「へいへい・・・・結婚出来たらな・・・」
「大丈夫、絶対に口説き落としてみせるから!!」
これからも俺はコイツに振り回されながら過ごしていくんだろう。
「そうだ!! 今度はタカシの彼女になる方法も教えてよ!?」
「とりあえず・・・・一緒にいれば良いんじゃないか?」
「オッケー!!」
手袋を付けた両手で、生魚を元気に掲げながら満面の笑顔を浮かべるユイの顔は嫌いじゃない・・・・
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
現代文学
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

筋肉女子の弱点

椎名 富比路
青春
シックスパック女子唯一の弱点とは? pixivお題「腹筋」より

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

白露先輩は露出したい

竹間単
青春
真面目な生徒会長である白露(しろつゆ)先輩に露出願望があることを、生徒会書記の僕だけが知っている――。

処理中です...