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先輩とメイド・2
しおりを挟む「キャーオーソーワーレールー」
「ざけんな、マジふざけんな、アンタがそれするとシャレにならねえ」
「いきなり校舎裏に呼び出しておいてその言い草はないと思うのですが?」
「知り合いを呼び出しただけで襲われるって叫ばれる方がよっぽどの言い草だと思うんですけど!?」
「考慮の必要は無いと思っております」
「満面の笑みで鬼畜な事いうのやめてくれない!?」
「ふぅ、うるさいウデムシ様ですね、それで何の御用でしょうか? 出る所に出てもいいんですよ?」
「段々エグい虫になってくのは何なの? 害虫じゃなくてお前は気持ち悪いっていう直接的な比喩表現なの?」
「えっ、もしかしてお気づきで無かったのですか!?」
「もうホントヤダこのメイド」
「で、本当に何の御用でしょうか? いつもよりツッコミのキレが無いですよ? 風邪でも引きましたか?」
「いや、その、具合が悪いとかでは無いんだけど……」
「ハァ、アオイラガ様がその調子だとこちらの調子まで狂ってしまいますね。仰りたいことがあるのでしたらスパッと切り出すのが貴方らしいかと思いますが」
「……まあ、そうだよな」
「ええ、よく言えば実直、悪く言えば空気が読めないのが貴方です。業務にも差し障りますしさっさと仰って下さい」
「それはすいませんでしたね!! 畜生! 変に緊張して損したわ!! ほら、この間のお礼だ、ありがとうございました」
「この間の礼?」
「わざわざ警察署まで迎えに来てくれただろ? そのお礼だよ」
「はあ、私にお礼など必要ないのですけどね」
「只の気持ちだよ、要らないなら別に受け取らなくてもいいから」
「開けてみても?」
「どうぞ」
「これは……風鈴?」
「ああ、ウチの母親がアンタは風鈴が好きだって聞いたからさ」
「お母様がそんな事を……」
「そういえばアンタってなんでウチの母と仲が良いんだ? そんなに接点ないよな?」
「そう、ですね。昔、少しだけお世話になった事があるのですよ」
「ふーん」
「ヤツメカミキリ様は早く朽ち果てると良いと思います」
「いや、ごめん。今のは俺が悪かった」
「……ハァ、もういいですか? お嬢様がお待ちです」
「ああ、うん、時間を取らせて悪かったな」
「所でハンミョウ様はどうしてお嬢様を校門で待たせたのですか? 別にお嬢様の目の前で渡しても良かったのでは?」
「……アイツの前で渡したら絶対からかわれるだろ?」
俺の言葉にメイドは凄い嫌そうな顔を浮かべた。
「このヘタレ様は」
吐き捨てるようにそういうと、メイドは踵を返して後輩の所へと持って行った。
ヘタレとは酷い言われようだ。
俺は別にヘタレじゃない。と、思う。
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