【BL】執着激強Ω王子はα従者を落としたい

カニ蒲鉾

文字の大きさ
8 / 14

3:第一王子の発情期(3)


 
「それじゃあジェイド、ゆっくり休んでね」
「お母様も」
 
 
 夕食を終えると、それぞれ自室がある別階へ向かう分かれ道で軽くハグを交わしながらお休みの挨拶を送り合う。
 いつからだったか、お父様の強い要望により、お父様とお母様の寝室は誰の邪魔も入らないような奥まった場所に移動した。一緒に眠りたいお歳頃はとうに過ぎ去ってはいるものの、専属護衛騎士であるラルドの控え所もそちらへ移ってしまい、夜這いの計画は未だ実行に移せたことは無かった。

 僕とほぼ同じ体格のお母様は次にニックスにも手を伸ばすとその身体をニックスの両腕がすっぽりと包み込む。
 
 
「ニックス、ジェイドを部屋まで送ってあげて」
「もちろんだよ母様」
 
 
 それじゃあね、と去って行くお母様の後ろに付き従うラルドは僕たちに軽く一礼を残し、曲がり角で完全に姿を消した。
 
 
「……はぁ」
「お疲れ様兄さん。実は結構ツラいでしょ」
「やっぱりバレバレかぁ……」
 
 
 意識し始めた夕食時より確実に体感温度は上がってる気がする。
 これが俗に言う発情期の前兆か、なんて思っていられるくらいには正気を保っている今、手遅れになる前に長年の計画を実行に移すべく必要な段取りを頭の中で組み立てるのに忙しい。
 
 
「それじゃ、僕は準備してラルドの部屋に夜這いに行くから見送りはいいよ、ばいばいおやすみ」
「行かせるわけないでしょ」
「へ───?」
 
 
 今すぐにでも走り出そうとした僕の一歩はニックスに掴まれた腕のせいで不発に終わる。そのまま強い力で引き寄せられ、気づけばついさっきお母様を抱きしめていた腕の中に囲われていた。

 それは昼間、騎士団の訓練を眺めている時と同じ体勢。しかし、背中に感じるニックスの雰囲気は全く違っていた。
 
 
「ちょっと、今ふざけてる場合じゃ……離して」
「だね、兄さんのフェロモンどんどん濃くなってく」
「っ、ニックス、いい加減───!?」
 
 
 そんな時だった。
 突如、未だかつて感じたことの無い何かが体を襲う。目の前に火花が散った感覚とビリビリ痺れる余韻に「え、え、」と戸惑いが隠せない。
 
 
「な…に、したの……」
「ふふ、兄さんは蝶よ花よと大切に育てられた箱入りオメガだから、直接アルファのフェロモンにあてられた経験なんて無いよね」
「え……」
「うん、だからいま兄さんが感じてるのが俺のフェロモン。ど?弟のフェロモンを浴びて感じるご感想は」


 強い力に抱きしめられながらも、僅かにあいた隙間から顔だけでも無理やり振り返り、得体の知れないものを見る目で見つめてしまう。
 
 
「ふふ、いいねその目、ゾクゾクする……」
 
 
 あぁ、間違いない。
 僕と同類だ。

 お父様の血と教えを色濃く受け継いだ、狙った獲物の為なら手段は選ばない───そんな目をしていた。
 

感想 1

あなたにおすすめの小説

巣作りΩと優しいα

伊達きよ
BL
αとΩの結婚が国によって推奨されている時代。Ωの進は自分の夢を叶えるために、流行りの「愛なしお見合い結婚」をする事にした。相手は、穏やかで優しい杵崎というαの男。好きになるつもりなんてなかったのに、気が付けば杵崎に惹かれていた進。しかし「愛なし結婚」ゆえにその気持ちを伝えられない。 そんなある日、Ωの本能行為である「巣作り」を杵崎に見られてしまい……

腐男子ってこと旦那にバレないために頑張ります

ゆげゆげ
BL
おっす、俺は一条優希。 苗字かっこいいだって?これは旦那の苗字だ。 両親からの強制お見合いで結婚することとなった優希。 優希には旦那に隠していることがあって…? 美形×平凡です。

人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます

七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。 歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。 世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。 気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。

世界一大好きな番との幸せな日常(と思っているのは)

かんだ
BL
現代物、オメガバース。とある理由から専業主夫だったΩだけど、いつまでも番のαに頼り切りはダメだと働くことを決めたが……。 ド腹黒い攻めαと何も知らず幸せな檻の中にいるΩの話。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

運命の番ってそんなに溺愛するもんなのぉーーー

白井由紀
BL
【BL作品】(20時30分毎日投稿) 金持ち‪社長・溺愛&執着 α‬ × 貧乏・平凡&不細工だと思い込んでいる、美形Ω 幼い頃から運命の番に憧れてきたΩのゆき。自覚はしていないが小柄で美形。 ある日、ゆきは夜の街を歩いていたら、ヤンキーに絡まれてしまう。だが、偶然通りかかった運命の番、怜央が助ける。 発情期中の怜央の優しさと溺愛で恋に落ちてしまうが、自己肯定感の低いゆきには、例え、運命の番でも身分差が大きすぎると離れてしまう 離れたあと、ゆきも怜央もお互いを思う気持ちは止められない……。 すれ違っていく2人は結ばれることができるのか…… 思い込みが激しいΩとΩを自分に依存させたいα‬の溺愛、身分差ストーリー ★ハッピーエンド作品です ※この作品は、BL作品です。苦手な方はそっと回れ右してください🙏 ※これは創作物です、都合がいいように解釈させていただくことがありますのでご了承くださいm(_ _)m ※フィクション作品です ※誤字脱字は見つけ次第訂正しますが、脳内変換、受け流してくれると幸いです

中年冒険者、年下美青年騎士に番認定されたことで全てを告白するはめになったこと

mayo
BL
王宮騎士(24)×Cランク冒険者(36) 低ランク冒険者であるカイは18年前この世界にやって来た異邦人だ。 諸々あって、現在は雑用専門冒険者として貧乏ながら穏やかな生活を送っている。 冒険者ランクがDからCにあがり、隣国の公女様が街にやってきた日、突然現れた美青年騎士に声をかけられて、攫われた。 その後、カイを〝番〟だと主張する美青年騎士のせいで今まで何をしていたのかを文官の前で語ることを強要される。 語らなければ罪に問われると言われ、カイは渋々語ることにしたのだった、生まれてから36年間の出来事を。

借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる

水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。 「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」 過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。 ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。 孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。