【BL】欠陥Ωのオフィスラブストーリー

カニ蒲鉾

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2【動き出す思惑】

2-3それぞれの朝(3)

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「「ママァァァァっ!」」
 
 
 都内の閑静な住宅街にある御門邸。
 その立派な玄関扉を開き足を踏み入れた瞬間、きゃーっと手を広げ満面の笑みで駆け寄ってくる我が子の熱烈歓迎を咄嗟に膝をつき同じ目線になって受け止めた。その瞬間、車の中でまで抱いていた二人に嫌われてしまっていたらどうしようという不安は綺麗さっぱり消え失せ、短い腕を必死に伸ばし首に抱きつく楓莉とつくしを力いっぱい両腕に抱きしめその感触を確かめた。
 
 
「ふぅくん、つぅくん、昨日はママ約束守れなくてごめんね、じぃじと仲良くお留守番しててくれてありがとう…ふたりともとってもいい子だね」
「ふぅくんね、じぃじといっちょにおねんねした~」
「つぅくん、いいこでおねんね、できた」
 
 
 腕の中で鼻息荒く胸を張ってアピールしてくる二人をこれでもかと褒めちぎりながら、「なんでうちの子はこんなにもいい子で天使なんだろうか…」と完全なる親バカ発言を真顔ですれば、すかさず「つかささんの子ですから当然です」といつの間にか同じように隣で膝をつきしゃがんでいた楓真くんから返ってくる。「楓真くん…」と感動しかけていると、返答はそれだけでは終わらなかった。
 
 
「聖母マリアのような包容力で満ち溢れたつかささんが産んだ子達ですよ、優しい心を持った聞き分けのいい天使のように可愛い子達に決まってます」
「……熱弁をありがとう、だけどそれ、あまり外では言わないでね」
「え―――」
 
「もう手遅れだと思うよつかさくん」
 
 
 僕の切実なお願いに何でですかという表情を顔面に貼り付けた楓真くんへ言葉を続けるより先に、頭上から降ってきた落ち着いた声音に視線が向かう。そこに立っていたのはリビングからスーツ姿でやってきた楓珠さんだった。
 
 
「楓珠さん!」
「父さん、おはよう」
「おはよう、つかさくん、楓真くん。お迎えご苦労さま。体調はもう大丈夫?」
「楓珠さん、昨晩は突然のお願いだったのにすみませんでした…ほんと、親として不甲斐なく…」
「気にしないで、歓迎会やりなって水嶋くんに言ったのは私だし。それにしてもお酒で潰れちゃうくらい飲んだのかな?しばらくは仕事中でのお酒の場が増えるだろうから、そこは気を付けようね」
「はい…」
 
 
 優しく戒めてくれる楓珠さんの言葉を真摯に受け止め反省の意を示したくとも、いまだ子供たちが抱きついている状況に咄嗟に立ち上がれず、膝をついたままの体勢で頭を下げるしかない。釣られて楓莉もつくしもぺこりと頭を下げている光景にふふ、と笑う楓珠さんは頭を上げてと促すと僕が立ち上がれるよう双子を自分の方へ呼び寄せ引き受けてくださった。
 身軽になった体ですぐに立ち上がろうとすると、いままでしゃがんでいた反動から一瞬視界が歪み、立ちくらみでくらっとしかけたところをすかさず楓真くんが受け止めてくれる。
 
 
「大丈夫ですか」
「ごめん、一瞬立ちくらみしただけ、大丈夫だよありがとう」
「まだ本調子じゃなさそうだね…楓真くん業務中もしっかり見ててあげなさい」
「もちろん」
 
 
 大したことでは無いのに御門親子の間で僕は重病人のような扱いになりつつある状況に気後れしつつあると、楓珠さんの両手には双子の黄色い通園カバンがぶら下がっていることに気が付いた。
 
 
「楓珠さんカバン、いただきます。すみません持たせてしまっていて」
「いいよいいよ、洗濯と詰めるのはトヨさんがしてくれたからね。はい、楓真くんキミが持ちなさい」
「ん、ありがと」
 
 
 手を伸ばす僕ではなく、楓真くんへ預けてしまう楓珠さんにもはや何も言えず、おずおずと手を引っ込めるのだった。
 
 

 
 
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