穢れた世界に銃弾を~日常の無い復讐者たちの日常~

矢壱

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魔法少女

無駄

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 しかし、チャッピーは引かない。

「親の存在を出せば信用に値するのか? 油断した所で皆殺しにし、報告では私が殺したことにすればいい。追い詰められた化け物が暴れる事はよくあるのだろう?」

「なんなら、今から依頼人を呼んでも良い」

「それこそ無駄な話だ。結果は変わらない。犠牲者が増えるだけだ」

 そのチャッピーのセリフに舞花は過敏に反応を見せた。

「それって、この人たちがお母さんを殺すってこと?」

「かもしれない、という話だ。が、どうだろう。私たちでは埒《らち》が明かないは理解できた。ならば、彼女たちに決めてもらおう」

 当然少女たちは戸惑い、互いに顔を見合わせた。

「私たちが決めるの?」

 舞花がチャッピーに尋ねる。

「そうだ、君たちの判断に私は従う」

 舞花は不安を押し殺し、自分がリーダーを名乗ることの役目を果たそうとし始めた。

「貴方は、貴方達は――」

 本当に殺さないのか。そう尋ねる前に未菜が意を決したように尋ねた。

「あの、私の事覚えていますか?」

 それは竜聖では無く咲に向けられていた。

「あぁ覚えてるよ」

 咲はみじかく答える。

「お姉さん。私を撃ちましたよね? 駆除の対象だって」

(お前みたいなのも駆逐の対照なんだけど)

(アイスが買えたのは良いが、溶けたら意味ないだろ)

 咲は自分の言動が蘇った。

「吾観利。お前そんな事をしたのか」

 竜聖が避難の目を向ける。

 咲があの時、駆除という言葉を出したのは間違いではない。異世界の力を手に入れた人間は往々にして力に溺れる事が多い。そうなれば異世界の魔物でも、人間でも無い者が第3の勢力となり危機が増す。そうなる前、銃弾が効くうちに駆除が必要だった。

 最初に未菜を見逃したのは、力に飲みこまれているようにも見えなかったし、依頼でもなかったという事に過ぎない。

 しかし、この状況でその事実はマズい。竜聖は咲に恨めしい視線を送ると苦笑いを返してきた。

 今後は彼女の引き金の軽さを指導していかなくては。と考えながら少女たちに向き直る。
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