綺麗事だけでは、手に入らない

和泉奏

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「好きだ」

「…っ、颯真、俺も、」


涙に詰まり、返した想いを伝え終わる前に抱き締められる。

感極まったように、最愛の人間同士が結ばれたかのように。


(――、やっとだ)


俺を抱きしめてくれる彼。
その背に腕を回し、胸に顔を埋め、…視線を別の方に向ける。

こっちを絶望と涙目で見つめる瞳。
大嫌いな顔。
何をしてでも苦しめ、痛めつけてやりたい存在。


――…つい数分前まで、颯真が想いを寄せていた…本来こうして抱き締められている俺の位置にいたはずの人間。


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