101 / 356
学校とさっくんと桃井
保健室とさっくんと秘密の行為
しおりを挟む***
にゃんこに噛まれてから、寒気とふらふらがとまらない。頭がやけにぼうっとして、汗が滲む。
熱い。怠い。息が、苦しい。
あまりにも辛かったから、後の授業は休んだ。
(…本当は、来たくなかった、けど、)
…どんよりと重い気持ちで気が進まないまま、足を止め、保健室の表札を見上げる。
ドアのガラスの部分から、こっそりと中を盗み見た。
「……ぁ、」
(…さっくん、だ)
机の前の、椅子に座っている。
優雅に長い足を組み、綺麗な横顔を俯かせて難しそうな本を読んでいた。
「……」
(…どう、しよう)
今更ながら、入るのを躊躇う。
保健の先生は大抵2人いるから、できれば他の先生がいいなって思ってたけど、
…今はこの部屋の中で白衣を着ている人は一人しかいない。
…と、
不意に、さっくんが気怠そうな表情でこっちに視線を向けた。
目が合う。
「…っ、や、ば…」
何も悪いことなんかしてないのに、逃げたくなった。
けど、熱のせいか震える足が竦んで、動けない。
そうしている間に、
ガラリと扉が開く音が して、
「どうぞ。入ってください」
「…え、」
微笑みを浮かべ、けど何故か無表情にも見える表情でオレを見下ろすさっくんに、ぎょっとする。
「具合、悪いんでしょう?」
「…っ、」
(なんで、)
オレが体調悪いってわかったんだ、と気になりつつも、素直に頷く。
「…さっき、ちょっとにゃんこに噛まれてから、なんか凄く気持ち悪く、て…」
……ちらっと中を見ると、いるだろうと思っていた桃井の姿はなかった。
(…教室に戻ったのか?)
ついさっきまで、正孝と授業をさぼって話をしていたから、その可能性もないとはいえない。
「…っ、ぅ、」
帰る、
そう言おうとして、…もう限界だった。
異様に熱くて怠い身体に軽く眉を寄せ、顔を歪ませる。
オレの返答を待ち、じっと見下ろしてくるさっくんに、こくんと頷き、中に入れてもらった。
「ベッドで休んでいる生徒もいるので、扉を閉めていただけますか」
「…っ、あ、ああ、ごめん…」
ドアを閉め、恐る恐る振り返る。
「…それより、その、…今日は、仕事休むんじゃなかったのか」
とりあえず何か話してないと、意識を失ってしまいそうだった。
それほど、辛い。息を吸うだけで苦しくて、痛い。
目の前にいるはずのさっくんまで、ぼやけて滲みそうになる。
「……仕事、ね」
「…?」
「まぁ、あれだけ酷く御主人様を泣かせてしまいましたので、勿論俺はそのつもりだったのですが、」
「……っ、」
椅子に腰かけたさっくんが、やけに嫌味な言い方をして、何故かカーテンの締まっているベッドの方にスッと視線を向けた。
「逃げたりしないように、保健室で待機とのご命令を頂いておりますので」
「にげ、…?」
どういうことだ、と眉を寄せると、ふ、と柔らかく微笑む整った顔。
「冗談ですよ。俺が、ここにいたいと思ったからです」
「…っ、」
『…”彼女”のために』そう続けられるだろう言葉に、ぎゅっと唇を噛み、拳を握る。
17
あなたにおすすめの小説
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる