55 / 110
第六話『愛歌VS詩織!? 試されるハーツ・ラバーの絆!』
その1 君のことが大好きです
しおりを挟む
★魔闘少女ハーツ・ラバーズ!
第六話『愛歌VS詩織!? 試されるハーツ・ラバーの絆!』
その1 君のことが大好きです
teller:星野 愛歌
河本詩織ちゃんという女の子は、あたしと違って、すっごくすっごく頭が良かった。
寝坊して遅刻なんて日常茶飯事なあたしとは正反対に、とっても真面目で。
姿勢は常にぴんと正しくて、ハキハキと物を言って、委員長としてクラスを纏める頼れる女の子。
テストの成績なんていつも学年最下位のバカなあたしが、彼女に憧れるのにそう時間はかからなかった。
この子ともっと話せたら、仲良くなれたら、絶対に楽しい。
そんな確信すらあった。
頭が良い人と話していると、自分の世界が広がる気になれたし、河本詩織ちゃんという一人の女の子は普通に好感の持てる人だったし。
「しーおーりーちゃんっ」
中学1年生のある日、あたしは思い切ってクラスメイトの河本詩織ちゃんに声をかけた。
いつものような笑顔で、いつものような明るい声で。
授業の予習をしていた詩織ちゃんは、不思議そうに顔を上げて。
眼鏡の奥の大きな瞳が、やけに綺麗だなあと思ったのを覚えている。
「……星野さん? どうしたの?」
そんな風に、あたしの名前を呼ぶ詩織ちゃんの声も、すっごく耳障りが良くて綺麗で。
何となく幸せで、へにゃっと表情がますます綻んでしまった。
自分の名前を呼んで貰えるのは大好きだったから。
だってあたし、自分の名前は、苗字も下の名前もだいすきだもん。
「べんきょー、おしえてっ」
そう言って何の躊躇いもなく、一桁の点が書かれたテスト用紙を掲げると、詩織ちゃんはぽかんと固まった。
もしかしたら、あんなに低い点数を見たのは生まれて初めてのことだったのかもしれない。
「あたし、バカだからね。詩織ちゃんのこと凄いなって思って。詩織ちゃんみたいに勉強ができるようになれたら学校がもっと、もーっと楽しくなるんじゃないかなって思ったんだけど……だめ?」
笑顔で首を傾げると、詩織ちゃんは僅かに溜息を吐き出した。
あれ、あたしがあまりにも頭悪いから、呆れちゃったのかなあ。
仲良くなりたいって思ってたのに、どうしよう。
そんなことを考えていると、詩織ちゃんは凛とした声で言った。
「……自分を自分でバカと言うのは感心しないわ」
「……ほえ?」
少し責めるような視線を向けられる。
別にそれで怯むようなことはなかったけど、何で詩織ちゃんがそんな顔をするのか、そんなことを言うのか、良くわからなかった。
「自分をそう貶める必要はないと思うけど。それに、星野さんは自分を変えようと今こうして努力している。その時点で、貴方の言う『バカ』とはまた違うんじゃない?」
いつもクラスを引っ張っている時のようにハキハキと、詩織ちゃんが話す、語る。
あたしは何故か身動き一つできなかった。
頭が、上手く働かなかった。
「……まあ、テストの成績が悪いのは今後のことを考えると問題ね。わかったわ。私が貴方を『勉強が不得意な子』から脱却させる。これでいいかしら?」
「えっと、つまり……?」
「勉強、教えてあげる。私、少し厳しいかもしれないけど、それでもいい?」
その言葉を聞いた瞬間、胸があったかい感情でいっぱいになる感覚があった。
嬉しくて、脳みそも心臓もとろけそうで。
ただただ、目の前の女の子が愛しくて。
「しぃちゃん、だいすきー!」
そう言って詩織ちゃん――もとい、しぃちゃんに思いっ切り抱きつくと、しぃちゃんはさっきまでの涼しい態度から一転、あからさまに狼狽え始めた。
「ちょ、ちょっと何!? っていうか『しぃちゃん』って!? 私のこと!?」
「だーって、あだ名で呼んだ方が仲良くなれた気がして好きなんだもーん! えへへ、これからよろしくね、しぃちゃん!」
そう言って満面の笑みを向けると、しぃちゃんはどうしたらいいかわからない、とでも言うかのような困った表情を浮かべた。
それからあたしとしぃちゃんは、二人で行動することが多くなった。
あたしのあまりのバカさにしぃちゃんは頭を抱えて何度も匙を投げかけたけど、何だかんだ言ってあたしを本当に見捨てることはしなかった。
真面目なしぃちゃんにあたしのだらしない生活態度を注意されることもしょっちゅうだった。
しぃちゃんには叱られてばっかりだったけど、しぃちゃんと過ごす毎日はすっごくすっごく楽しかった。
思えば、しぃちゃんはあたしが声をかけるまで、いつも一人だった気がする。
真面目すぎて、ここー……そう、孤高! だったって言うか。
そんなしぃちゃんが、あたしの前では表情をコロコロと変えてくれるのが好きだった、大好きだった。
あたし――しぃちゃんのこと、とっても大切で大好きなんだ。
第六話『愛歌VS詩織!? 試されるハーツ・ラバーの絆!』
その1 君のことが大好きです
teller:星野 愛歌
河本詩織ちゃんという女の子は、あたしと違って、すっごくすっごく頭が良かった。
寝坊して遅刻なんて日常茶飯事なあたしとは正反対に、とっても真面目で。
姿勢は常にぴんと正しくて、ハキハキと物を言って、委員長としてクラスを纏める頼れる女の子。
テストの成績なんていつも学年最下位のバカなあたしが、彼女に憧れるのにそう時間はかからなかった。
この子ともっと話せたら、仲良くなれたら、絶対に楽しい。
そんな確信すらあった。
頭が良い人と話していると、自分の世界が広がる気になれたし、河本詩織ちゃんという一人の女の子は普通に好感の持てる人だったし。
「しーおーりーちゃんっ」
中学1年生のある日、あたしは思い切ってクラスメイトの河本詩織ちゃんに声をかけた。
いつものような笑顔で、いつものような明るい声で。
授業の予習をしていた詩織ちゃんは、不思議そうに顔を上げて。
眼鏡の奥の大きな瞳が、やけに綺麗だなあと思ったのを覚えている。
「……星野さん? どうしたの?」
そんな風に、あたしの名前を呼ぶ詩織ちゃんの声も、すっごく耳障りが良くて綺麗で。
何となく幸せで、へにゃっと表情がますます綻んでしまった。
自分の名前を呼んで貰えるのは大好きだったから。
だってあたし、自分の名前は、苗字も下の名前もだいすきだもん。
「べんきょー、おしえてっ」
そう言って何の躊躇いもなく、一桁の点が書かれたテスト用紙を掲げると、詩織ちゃんはぽかんと固まった。
もしかしたら、あんなに低い点数を見たのは生まれて初めてのことだったのかもしれない。
「あたし、バカだからね。詩織ちゃんのこと凄いなって思って。詩織ちゃんみたいに勉強ができるようになれたら学校がもっと、もーっと楽しくなるんじゃないかなって思ったんだけど……だめ?」
笑顔で首を傾げると、詩織ちゃんは僅かに溜息を吐き出した。
あれ、あたしがあまりにも頭悪いから、呆れちゃったのかなあ。
仲良くなりたいって思ってたのに、どうしよう。
そんなことを考えていると、詩織ちゃんは凛とした声で言った。
「……自分を自分でバカと言うのは感心しないわ」
「……ほえ?」
少し責めるような視線を向けられる。
別にそれで怯むようなことはなかったけど、何で詩織ちゃんがそんな顔をするのか、そんなことを言うのか、良くわからなかった。
「自分をそう貶める必要はないと思うけど。それに、星野さんは自分を変えようと今こうして努力している。その時点で、貴方の言う『バカ』とはまた違うんじゃない?」
いつもクラスを引っ張っている時のようにハキハキと、詩織ちゃんが話す、語る。
あたしは何故か身動き一つできなかった。
頭が、上手く働かなかった。
「……まあ、テストの成績が悪いのは今後のことを考えると問題ね。わかったわ。私が貴方を『勉強が不得意な子』から脱却させる。これでいいかしら?」
「えっと、つまり……?」
「勉強、教えてあげる。私、少し厳しいかもしれないけど、それでもいい?」
その言葉を聞いた瞬間、胸があったかい感情でいっぱいになる感覚があった。
嬉しくて、脳みそも心臓もとろけそうで。
ただただ、目の前の女の子が愛しくて。
「しぃちゃん、だいすきー!」
そう言って詩織ちゃん――もとい、しぃちゃんに思いっ切り抱きつくと、しぃちゃんはさっきまでの涼しい態度から一転、あからさまに狼狽え始めた。
「ちょ、ちょっと何!? っていうか『しぃちゃん』って!? 私のこと!?」
「だーって、あだ名で呼んだ方が仲良くなれた気がして好きなんだもーん! えへへ、これからよろしくね、しぃちゃん!」
そう言って満面の笑みを向けると、しぃちゃんはどうしたらいいかわからない、とでも言うかのような困った表情を浮かべた。
それからあたしとしぃちゃんは、二人で行動することが多くなった。
あたしのあまりのバカさにしぃちゃんは頭を抱えて何度も匙を投げかけたけど、何だかんだ言ってあたしを本当に見捨てることはしなかった。
真面目なしぃちゃんにあたしのだらしない生活態度を注意されることもしょっちゅうだった。
しぃちゃんには叱られてばっかりだったけど、しぃちゃんと過ごす毎日はすっごくすっごく楽しかった。
思えば、しぃちゃんはあたしが声をかけるまで、いつも一人だった気がする。
真面目すぎて、ここー……そう、孤高! だったって言うか。
そんなしぃちゃんが、あたしの前では表情をコロコロと変えてくれるのが好きだった、大好きだった。
あたし――しぃちゃんのこと、とっても大切で大好きなんだ。
0
あなたにおすすめの小説
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
秘書と社長の秘密
廣瀬純七
大衆娯楽
社内の調査のため、社長・高橋健一はこっそり秘書・木村由紀と不思議なアプリで入れ替わることに。
突然“社長役”を任された由紀と、自由に動ける立場を手に入れた高橋。
ふたりの秘密の入れ替わり作戦は、どの様な結末になるのか?
お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?
すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。
お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」
その母は・・迎えにくることは無かった。
代わりに迎えに来た『父』と『兄』。
私の引き取り先は『本当の家』だった。
お父さん「鈴の家だよ?」
鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」
新しい家で始まる生活。
でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。
鈴「うぁ・・・・。」
兄「鈴!?」
倒れることが多くなっていく日々・・・。
そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。
『もう・・妹にみれない・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」
「ーーーーっ!」
※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。
※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。
※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる