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第二話『私、ハーツ・ラバーになりたい!』
その1 夕陽に染まりながら
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★魔闘少女ハーツ・ラバーズ!
第二話『私、ハーツ・ラバーになりたい!』
その1 夕陽に染まりながら
teller:小枝こずえ
ハーツ・ラバーになる決意をした後も、私はぼんやりと、丘から景色を眺めていた。
柔らかい赤色に染まる世界が、あまりにも美しくて、何だか目が逸らせなくて。
傍には、鈴原くんとゼロットさんが居てくれる。
「……綺麗……」
ふと、そんな感想が空気に触れた。
同時に、ぽん、と頭の上に手が置かれる。
顔を向けると、鈴原くんはにっと笑って。
「こずえが、この景色守ったんやで」
「……そう、なのかな」
「そうや、そうや! もっと誇って威張ってええ!」
「……威張るのは、どうだろう」
あはは、と苦笑いが洩れる。
鈴原くんに頭がぐしゃぐしゃと撫でられる。
ずっとこの感触に身を委ねていたら、眠たくなりそう。
もう一度景色を見つめると、夕陽が沈んでいくのがわかった。
「確かにめっちゃ綺麗やけど、そろそろ帰った方がええんちゃう?」
心配そうな鈴原くんの声が聴こえる。
そう、なんだけど。
今日があまりにも特別な日だったから、何となく名残惜しいというか。
「……もうちょっとだけ、鈴原くんと一緒にいたい」
思ったことが、ついそのまま口に出てしまった。
言ってしまってから、はっとする。
どうしよう、こんなこと言ったら困らせちゃう。
一人で勝手に慌ててしまう。
鈴原くんの方を見れない。
自分の顔が赤くなるのがわかる。
情けないくらいに動揺し、狼狽し、俯いてぎゅ、と自分の手を握る。
鈴原くんの、頭を撫でる手がぴたりと止まっている。
うう、どうしよう、絶対困ってる、何言ってるんだろうって思われてる。
恥ずかしかったけど、不安だったけど、何とかちら、と目線を鈴原くんの方にやる。
鈴原くんは、私から顔を逸らして片手で顔の下半分を覆い、思い切り俯いていた。
夕陽のせいか、耳と髪の色の区別がつかない。
鈴原くんが小声でぼそぼそと何かを呟いている。
「……お前……ほんま……お前……ああ、もう……くそ……」
「……す、鈴原くん……あの、今のは、えっと」
「はーい、イチャイチャ終了ー!」
ゼロットさんが、鈴原くんの後頭部に思い切り体当たりした。
うぎゃ、と鈴原くんが呻く。
「す……鈴原くん……大丈夫……?」
「あー、大丈夫や大丈夫! でも許さん! 何すんねんこのアホコウモリ!」
鈴原くんが振り返り、ゼロットさんを両手で掴みむぎゅむぎゅ押し潰したりぐいぐい引っ張ったりする。
ゼロットさんはじたばたと暴れて、ぎゃんぎゃん怒鳴った。
「ぐあーっ! いじんな! 引っ張んな! てめ、誰が傷を治してやったと思ってんだ!」
「お前に巻き込まれんかったらそもそも怪我してへんかったわ!」
「なんだとこのガキ! っつーか、放せ! っつーかだな、俺様は腹減ったんだよ!」
きょとん、とする。
おなか。
ゼロットさんでも、おなかすくんだ。
生きてるし、当たり前だけど。
鈴原くんはゼロットさんを両手で弄んだまま私に顔を向ける。
「あー……そやな。そういやワイも腹減ったわ。こずえ、しゃあないから帰ろ。……ほんまはワイも、もっとずっとこずえと一緒にいたいけど」
そうか、もうそんな時間か。
たっくん、おなかすいてるかな。
ごはん、作りたいけど食べてくれるかな。
たっくん、自分のごはんは自分で作るって言ってたからなあ。
何も言わずに家を出てきちゃったけど、朝ご飯どうしたんだろ、たっくん。
そういえば、鈴原くんのおうち、お父さんとお母さんしばらくいないって言ってたなあ。
……一人でごはん、寂しくないのかな。
「す、鈴原くん……」
名前を呼ぶ。
何となく緊張して、声が震えた。
それでも、鈴原くんは優しく微笑んでくれて、私の言葉を待ってくれる。
言わなきゃ。
せっかく友達になってくれたんだから、勇気、出さなきゃ。
引っ込み思案な自分を、壊すって決めたんだから。
「あ……あの……うちで、ごはん……食べて……いきませんか……」
「……は?」
鈴原くんがぽかん、と口を開け、力が抜けたようにゼロットさんを手放す。
「あ、ええと、いや、だったら……いい、んだけど……その……」
「ちょ、ちょい待ち、ちょい待ち、こずえ」
鈴原くんが、慌てて片手を私の目の前に突き出す。
顔が、髪よりも赤くなってる気がする。
わ、私やっぱり迷惑なこと言っちゃったかな……。
「……こずえんとこ、親御さんおらんのやろ」
「え……う、うん……」
「それは、その……まずい、やろ……色々……」
「……まずい?」
ああ、だの、ええと、だの、鈴原くんが言葉を探して、視線を彷徨わせる。
凄く動揺しているみたいで、私も不安になる。
まずい、かあ。
やっぱり私のごはん、おいしくないよね、きっと。
昨日鈴原くんに料理のこと褒められたから、ちょっと浮かれちゃったな。
しゅん、と落ち込んで視線を下げる。
鈴原くんの戸惑ったような声が、上から降ってきた。
「……あの……いくら、背がちっさいもん同士とはいえ……年頃の男女が、家に二人きり、っちゅーんは、その……あかんっちゅーか……ワイはこずえのこと、女の子として……」
ふたり?
顔を上げて、鈴原くんの真っ赤な顔を見つめる。
「あの……たっくん……ええと、弟が、いるよ?」
「へ」
鈴原くんが固まる。
フリーズしたかのように、全ての動きを止める。
息、できてるのかな。
大丈夫かな。
何だか、おろおろしてしまう。
「あー……」
……あ、良かった。
声を出してくれた。
私が安心していると、鈴原くんがあはは、と笑い自分の赤い頭をがしがしと掻く。
「あー、あはは! そっか! 弟くんおるんか! そか、そか……そか……」
何かを誤魔化すように鈴原くんは笑い続け、だんだんその声が小さくなり、最後には項垂れて大きく溜息を吐いた。
それから彼は、ぐしゃ、と自分の前髪を掴んで顔をゆっくりと上げ、力なく笑って。
「ええと……こずえがええなら、お邪魔してもええ?」
「……うんっ。えへへ、ありがとう……鈴原くん」
友達とごはんなんて、初めてだなあ。
自然と心が浮き浮きして、笑顔になる。
じゃあ帰ろっか、と言う話になって、私と鈴原くんはゼロットさんを連れて歩き出す。
……あ、ゼロットさんのごはん、たっくんにどう説明しよう。
◆
teller:鈴原一希
前を歩くこずえの背中を、揺れるポニーテールを、ぼうっと見つめる。
心臓は、未だにばくばく言っとる。
……焦った……!
はああ、とこずえにバレんように溜息を吐き出す。
顔、多分めっちゃ赤いわ。
夕陽に照らされとるし、こずえは鈍いから気づいてへんと思うけど。
とん、と肩に黒いのが乗った。
アホコウモリや。
コウモリが、ぼそっと呟く。
「……なに想像したんでぃ。エロガキ」
「うっさい!」
コウモリを引っぺがし、両手で思いっ切り掴んでぐちゃぐちゃに押し潰す。
暴れるコウモリを押さえつけたまま、もう一度こずえを見る。
……ああもう、なんなん。
心臓うっさい。
何でこんなに好きなんやろ。
こずえは全然ワイのことなんか意識してへんのやろなあ。
もっと一緒にいたいとか、うちでごはん食べてかないかとか。
あれか、ワイのことは異性視してませんっちゅーあれか。
流石に凹むで。
もう一度、溜息が零れた。
こずえは、恋とか知らんのやろな。
友情と恋の違いとか、多分全然わかってへん。
頼むから、一生ただのお友達ルートとかやめろ、ほんま。
好き、とか付き合うて、とか今のこずえに言うても、きっとこずえの気持ちは追いつかん。
せやから友達になろ、言うたけど、逆に失敗やったかな。
ああ、くそ。
出会ったばっかの女の子に、こうも夢中になるとは思ってへんかった。
昨日会ったばっかりやぞ?
昨日ころっと恋に落ちたばっかりやぞ?
なのにこんなにめちゃめちゃ好きなんやで?
ワイら家が隣同士やん、学校も同じやん。
少なくともあと二年は一緒におるやん。
ワイ、どうなるん?
耐えられるん?
これから先どんだけこの子のこと好きになるん?
何で、そんなにかわええんや。
……別に、女の子かわええって思ったのはこれが初めてやない。
人並みに女の子に興味はあったし、あの子ええな、とかあの先輩綺麗やな、とか思ったことは何度もある。
せやけどワイはちっさいから、男扱いされずにほんまに友達止まりとかで玉砕してばっかで、彼女なんてできたことない。
女の子とデートしたのもこずえが初めてや。
惚れた時、正直どうしようかと思った。
心臓がばくばくばくばく騒がしくて、熱でもあるんちゃうってくらい顔熱くて、結局昨日はこずえのことばっか考えて眠れんかったし。
気持ちを抑えきれなくて、こんなに好きならとことんアタックするのみやろ、ってなって、思い切ってデートに誘って、手を握ったりなんかもして。
ずっとワイの心臓うるさかったの、こずえは知らんのやろなあ。
なあ、知っとる?
ワイ、あんま余裕ないんやで。
こずえに昨日かっこええって言ってもらった瞬間、世界が変わった気がした。
それくらいワイにとって衝撃的な出来事やったって、こずえは絶対わかっとらん。
落ちるとこまで恋に落ちて、話す内に、一緒にいる内に、見とる内に、どんどんどんどん好きになって。
こずえのことが、もうめっちゃ大好きで、ワイにはもうこずえしかいなくて。
ああもう、今すぐ好きやって叫びたい。
せやけど怖がらせたくない、びっくりさせたくない、大事にしたい。
ワイ、どうすればええんやろ。
こうしとるうちに、好きって気持ちは膨らみ続けて、ほんま破裂しそうで。
……ワイ、ほんま耐えられるん?
「がーっ! はーなーせ! エロガキっ! 人を弄ったまま考え込むんじゃねーよ!」
「あー、すまんすまん。でもお前人やないからセーフやろ」
「うるせえ! っつーか全然すまんとか思ってないだろお前!」
「あー、思ってへん思ってへん」
「思ってないのかよっ!」
歩いたまんま、こずえの後ろ姿にもう一度視線をやって。
ああ、好きやなって思う。
きっと、この気持ちに終着点なんて、ない。
第二話『私、ハーツ・ラバーになりたい!』
その1 夕陽に染まりながら
teller:小枝こずえ
ハーツ・ラバーになる決意をした後も、私はぼんやりと、丘から景色を眺めていた。
柔らかい赤色に染まる世界が、あまりにも美しくて、何だか目が逸らせなくて。
傍には、鈴原くんとゼロットさんが居てくれる。
「……綺麗……」
ふと、そんな感想が空気に触れた。
同時に、ぽん、と頭の上に手が置かれる。
顔を向けると、鈴原くんはにっと笑って。
「こずえが、この景色守ったんやで」
「……そう、なのかな」
「そうや、そうや! もっと誇って威張ってええ!」
「……威張るのは、どうだろう」
あはは、と苦笑いが洩れる。
鈴原くんに頭がぐしゃぐしゃと撫でられる。
ずっとこの感触に身を委ねていたら、眠たくなりそう。
もう一度景色を見つめると、夕陽が沈んでいくのがわかった。
「確かにめっちゃ綺麗やけど、そろそろ帰った方がええんちゃう?」
心配そうな鈴原くんの声が聴こえる。
そう、なんだけど。
今日があまりにも特別な日だったから、何となく名残惜しいというか。
「……もうちょっとだけ、鈴原くんと一緒にいたい」
思ったことが、ついそのまま口に出てしまった。
言ってしまってから、はっとする。
どうしよう、こんなこと言ったら困らせちゃう。
一人で勝手に慌ててしまう。
鈴原くんの方を見れない。
自分の顔が赤くなるのがわかる。
情けないくらいに動揺し、狼狽し、俯いてぎゅ、と自分の手を握る。
鈴原くんの、頭を撫でる手がぴたりと止まっている。
うう、どうしよう、絶対困ってる、何言ってるんだろうって思われてる。
恥ずかしかったけど、不安だったけど、何とかちら、と目線を鈴原くんの方にやる。
鈴原くんは、私から顔を逸らして片手で顔の下半分を覆い、思い切り俯いていた。
夕陽のせいか、耳と髪の色の区別がつかない。
鈴原くんが小声でぼそぼそと何かを呟いている。
「……お前……ほんま……お前……ああ、もう……くそ……」
「……す、鈴原くん……あの、今のは、えっと」
「はーい、イチャイチャ終了ー!」
ゼロットさんが、鈴原くんの後頭部に思い切り体当たりした。
うぎゃ、と鈴原くんが呻く。
「す……鈴原くん……大丈夫……?」
「あー、大丈夫や大丈夫! でも許さん! 何すんねんこのアホコウモリ!」
鈴原くんが振り返り、ゼロットさんを両手で掴みむぎゅむぎゅ押し潰したりぐいぐい引っ張ったりする。
ゼロットさんはじたばたと暴れて、ぎゃんぎゃん怒鳴った。
「ぐあーっ! いじんな! 引っ張んな! てめ、誰が傷を治してやったと思ってんだ!」
「お前に巻き込まれんかったらそもそも怪我してへんかったわ!」
「なんだとこのガキ! っつーか、放せ! っつーかだな、俺様は腹減ったんだよ!」
きょとん、とする。
おなか。
ゼロットさんでも、おなかすくんだ。
生きてるし、当たり前だけど。
鈴原くんはゼロットさんを両手で弄んだまま私に顔を向ける。
「あー……そやな。そういやワイも腹減ったわ。こずえ、しゃあないから帰ろ。……ほんまはワイも、もっとずっとこずえと一緒にいたいけど」
そうか、もうそんな時間か。
たっくん、おなかすいてるかな。
ごはん、作りたいけど食べてくれるかな。
たっくん、自分のごはんは自分で作るって言ってたからなあ。
何も言わずに家を出てきちゃったけど、朝ご飯どうしたんだろ、たっくん。
そういえば、鈴原くんのおうち、お父さんとお母さんしばらくいないって言ってたなあ。
……一人でごはん、寂しくないのかな。
「す、鈴原くん……」
名前を呼ぶ。
何となく緊張して、声が震えた。
それでも、鈴原くんは優しく微笑んでくれて、私の言葉を待ってくれる。
言わなきゃ。
せっかく友達になってくれたんだから、勇気、出さなきゃ。
引っ込み思案な自分を、壊すって決めたんだから。
「あ……あの……うちで、ごはん……食べて……いきませんか……」
「……は?」
鈴原くんがぽかん、と口を開け、力が抜けたようにゼロットさんを手放す。
「あ、ええと、いや、だったら……いい、んだけど……その……」
「ちょ、ちょい待ち、ちょい待ち、こずえ」
鈴原くんが、慌てて片手を私の目の前に突き出す。
顔が、髪よりも赤くなってる気がする。
わ、私やっぱり迷惑なこと言っちゃったかな……。
「……こずえんとこ、親御さんおらんのやろ」
「え……う、うん……」
「それは、その……まずい、やろ……色々……」
「……まずい?」
ああ、だの、ええと、だの、鈴原くんが言葉を探して、視線を彷徨わせる。
凄く動揺しているみたいで、私も不安になる。
まずい、かあ。
やっぱり私のごはん、おいしくないよね、きっと。
昨日鈴原くんに料理のこと褒められたから、ちょっと浮かれちゃったな。
しゅん、と落ち込んで視線を下げる。
鈴原くんの戸惑ったような声が、上から降ってきた。
「……あの……いくら、背がちっさいもん同士とはいえ……年頃の男女が、家に二人きり、っちゅーんは、その……あかんっちゅーか……ワイはこずえのこと、女の子として……」
ふたり?
顔を上げて、鈴原くんの真っ赤な顔を見つめる。
「あの……たっくん……ええと、弟が、いるよ?」
「へ」
鈴原くんが固まる。
フリーズしたかのように、全ての動きを止める。
息、できてるのかな。
大丈夫かな。
何だか、おろおろしてしまう。
「あー……」
……あ、良かった。
声を出してくれた。
私が安心していると、鈴原くんがあはは、と笑い自分の赤い頭をがしがしと掻く。
「あー、あはは! そっか! 弟くんおるんか! そか、そか……そか……」
何かを誤魔化すように鈴原くんは笑い続け、だんだんその声が小さくなり、最後には項垂れて大きく溜息を吐いた。
それから彼は、ぐしゃ、と自分の前髪を掴んで顔をゆっくりと上げ、力なく笑って。
「ええと……こずえがええなら、お邪魔してもええ?」
「……うんっ。えへへ、ありがとう……鈴原くん」
友達とごはんなんて、初めてだなあ。
自然と心が浮き浮きして、笑顔になる。
じゃあ帰ろっか、と言う話になって、私と鈴原くんはゼロットさんを連れて歩き出す。
……あ、ゼロットさんのごはん、たっくんにどう説明しよう。
◆
teller:鈴原一希
前を歩くこずえの背中を、揺れるポニーテールを、ぼうっと見つめる。
心臓は、未だにばくばく言っとる。
……焦った……!
はああ、とこずえにバレんように溜息を吐き出す。
顔、多分めっちゃ赤いわ。
夕陽に照らされとるし、こずえは鈍いから気づいてへんと思うけど。
とん、と肩に黒いのが乗った。
アホコウモリや。
コウモリが、ぼそっと呟く。
「……なに想像したんでぃ。エロガキ」
「うっさい!」
コウモリを引っぺがし、両手で思いっ切り掴んでぐちゃぐちゃに押し潰す。
暴れるコウモリを押さえつけたまま、もう一度こずえを見る。
……ああもう、なんなん。
心臓うっさい。
何でこんなに好きなんやろ。
こずえは全然ワイのことなんか意識してへんのやろなあ。
もっと一緒にいたいとか、うちでごはん食べてかないかとか。
あれか、ワイのことは異性視してませんっちゅーあれか。
流石に凹むで。
もう一度、溜息が零れた。
こずえは、恋とか知らんのやろな。
友情と恋の違いとか、多分全然わかってへん。
頼むから、一生ただのお友達ルートとかやめろ、ほんま。
好き、とか付き合うて、とか今のこずえに言うても、きっとこずえの気持ちは追いつかん。
せやから友達になろ、言うたけど、逆に失敗やったかな。
ああ、くそ。
出会ったばっかの女の子に、こうも夢中になるとは思ってへんかった。
昨日会ったばっかりやぞ?
昨日ころっと恋に落ちたばっかりやぞ?
なのにこんなにめちゃめちゃ好きなんやで?
ワイら家が隣同士やん、学校も同じやん。
少なくともあと二年は一緒におるやん。
ワイ、どうなるん?
耐えられるん?
これから先どんだけこの子のこと好きになるん?
何で、そんなにかわええんや。
……別に、女の子かわええって思ったのはこれが初めてやない。
人並みに女の子に興味はあったし、あの子ええな、とかあの先輩綺麗やな、とか思ったことは何度もある。
せやけどワイはちっさいから、男扱いされずにほんまに友達止まりとかで玉砕してばっかで、彼女なんてできたことない。
女の子とデートしたのもこずえが初めてや。
惚れた時、正直どうしようかと思った。
心臓がばくばくばくばく騒がしくて、熱でもあるんちゃうってくらい顔熱くて、結局昨日はこずえのことばっか考えて眠れんかったし。
気持ちを抑えきれなくて、こんなに好きならとことんアタックするのみやろ、ってなって、思い切ってデートに誘って、手を握ったりなんかもして。
ずっとワイの心臓うるさかったの、こずえは知らんのやろなあ。
なあ、知っとる?
ワイ、あんま余裕ないんやで。
こずえに昨日かっこええって言ってもらった瞬間、世界が変わった気がした。
それくらいワイにとって衝撃的な出来事やったって、こずえは絶対わかっとらん。
落ちるとこまで恋に落ちて、話す内に、一緒にいる内に、見とる内に、どんどんどんどん好きになって。
こずえのことが、もうめっちゃ大好きで、ワイにはもうこずえしかいなくて。
ああもう、今すぐ好きやって叫びたい。
せやけど怖がらせたくない、びっくりさせたくない、大事にしたい。
ワイ、どうすればええんやろ。
こうしとるうちに、好きって気持ちは膨らみ続けて、ほんま破裂しそうで。
……ワイ、ほんま耐えられるん?
「がーっ! はーなーせ! エロガキっ! 人を弄ったまま考え込むんじゃねーよ!」
「あー、すまんすまん。でもお前人やないからセーフやろ」
「うるせえ! っつーか全然すまんとか思ってないだろお前!」
「あー、思ってへん思ってへん」
「思ってないのかよっ!」
歩いたまんま、こずえの後ろ姿にもう一度視線をやって。
ああ、好きやなって思う。
きっと、この気持ちに終着点なんて、ない。
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