鬼人とタイムトラベラー

果露

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プロローグ

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ビービー
とある研究所にけたたましいサイレンが鳴り響いた。真夜中だというのにかなりの騒ぎだ。
「タイムマシンが盗まれたぞ!」
「捕まえろ!」
研究員達が大騒ぎして盗っ人を追う先には、息を切らしながら逃げる少女がいた。
タイムマシンをしっかりと抱いて走っている

これだ。これさえあれば!このタイムマシンさえあれば…!
少女は初めて盗みを働いた。罪悪感はあったがどうしてもこうせざるを得なかったと思っている。
あとは逃げ切るだけ…。そう思って曲がり角を曲がり、物陰に隠れた。
あれ?もうここで使って仕舞えば逃げれるのでは?そう、そうだ。ここで使ってしまおう。

音を立てないようにタイムマシンの箱を開けると腕時計のようなものがあった。腕時計は1秒もずれることなく、今の時刻を指している。おそらく、戻りたい過去の時間や、行きたい未来の時間に時計の針を動かして使うのだろう。

暗くてあまり見えなかったが、なんとか時間を設定する。腕時計が振動を始め、柔らかい光を放った。
「いたぞ!ここだ!タイムマシンを使っている!急げ!!」
研究員達が走ってやってくる
捕まえようとした時にはもう少女はいなかった。
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