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第四章:絶望の淵、再起の誓い
第七話:涙の再会
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村を襲う黒曜会の追っ手たち。さつきの心に宿った新たな怒りは、たちまち全身を駆け巡った。
それは復讐の炎とは違い、透明で澄んだ、純粋な「守る」ための怒りだった。
「やめろ、と申し上げたはず!」
さつきの言葉は、もはや震えていなかった。抜いた刀の切っ先が、月明かりを反射して冷たく輝く。その鋭さに、男たちは一瞬怯んだ。
「なんだ、この女!ただの女が剣を抜いてどうなる!」
一人の男が、嘲るように叫び、大刀を振りかざして襲いかかった。さつきは、これまで培ってきた剣技を、ためらいなく繰り出す。体が自然と動き、研ぎ澄まされた集中力で、男の攻撃を受け流し、一閃。男の大刀が宙を舞い、腕に浅い傷を負った男は呻き声を上げて後ずさった。
「くそっ、手練れか!だが、多勢に無勢だ!」
別の男が叫び、複数の追っ手が同時に襲いかかる。さつきは、無言で剣を構える。心の中は、ただ目の前の老婆と村人たちを守るという一心で満たされていた。
迷いなく繰り出される剣技は、かつての復讐に囚われていた時とは異なる、清冽な輝きを放っていた。一撃一撃が重く、正確で、男たちの攻撃をいなし、隙をついて反撃する。体はまだ本調子ではないが、精神的な迷いが消えたことで、さつきの剣は研ぎ澄まされた。
「ひるむな!たかが女だ!」
頭らしき男が檄を飛ばすが、仲間が次々と傷つき、怯み始めた追っ手たちは、すでに統率を失っていた。さつきの剣が、彼らの心を完全に砕いていたのだ。
やがて、残っていた追っ手たちは、顔を見合わせ、恐怖に駆られて逃げ出した。村には、男たちの呻き声と、荒い息遣いだけが残った。
さつきは、肩で息をしながら、刀を鞘に収めた。その手は震えていたが、心には、これまで感じたことのない充実感が満ちていた。自分は、彼らを守ることができた。復讐のためではない、誰かを守るための剣。それが、さつきの中に、新たな光を灯した。
「さつきさん…!」
老婆が、よろめくようにさつきに駆け寄った。その目には、感謝と、そして安堵の涙が浮かんでいた。
「ご無事で、よかった…」
さつきは、老婆の震える手をそっと握った。その温かさが、さつきの心をさらに温める。
その時、村の入り口から、何かがこちらに駆け寄ってくる足音が聞こえた。警戒して剣に手をかけようとしたさつきの耳に、聞き慣れた、焦がれるような声が飛び込んできた。
「さつき姉ちゃーん!!」
その声に、さつきははっと顔を上げた。そこにいたのは、泥と汗にまみれながらも、必死に走ってきた小夜だった。
「小夜…!」
さつきは、思わず小夜の名を呼んだ。信じられない、というように目を見開く。小夜の顔は、安堵と喜びでぐしゃぐしゃになっていた。
小夜は、あっという間にさつきの元へ駆け寄り、その小さな体で、さつきに飛びついた。
「さつき姉ちゃん!無事でよかった…!ずっと、ずっと探してたんだよ!」
小夜の震える声が、さつきの耳元で響く。その体温が、さつきの心に、これまでになかった温かさを運んでくる。さつきは、無意識のうちに、小夜の背中に腕を回し、その体を強く抱きしめた。
「小夜…ごめん…心配かけた…」
さつきの目から、温かい雫が溢れ落ちた。それは、絶望の涙でも、悲しみの涙でもない。再会できた喜びと、そして、一人ではないことを再確認できた、安堵の涙だった。
小夜もまた、さつきの着物の袖を強く握りしめ、顔を埋めて泣いた。二人の間に、言葉は必要なかった。ただ、互いの存在を確かめ合うように、抱きしめ合った。
老婆は、その光景を静かに見守っていた。その顔には、温かい笑みが浮かんでいた。さつきの目に、ようやく生気が戻ったことを感じていた。そして、さつきが、一人ではないことを。
それは復讐の炎とは違い、透明で澄んだ、純粋な「守る」ための怒りだった。
「やめろ、と申し上げたはず!」
さつきの言葉は、もはや震えていなかった。抜いた刀の切っ先が、月明かりを反射して冷たく輝く。その鋭さに、男たちは一瞬怯んだ。
「なんだ、この女!ただの女が剣を抜いてどうなる!」
一人の男が、嘲るように叫び、大刀を振りかざして襲いかかった。さつきは、これまで培ってきた剣技を、ためらいなく繰り出す。体が自然と動き、研ぎ澄まされた集中力で、男の攻撃を受け流し、一閃。男の大刀が宙を舞い、腕に浅い傷を負った男は呻き声を上げて後ずさった。
「くそっ、手練れか!だが、多勢に無勢だ!」
別の男が叫び、複数の追っ手が同時に襲いかかる。さつきは、無言で剣を構える。心の中は、ただ目の前の老婆と村人たちを守るという一心で満たされていた。
迷いなく繰り出される剣技は、かつての復讐に囚われていた時とは異なる、清冽な輝きを放っていた。一撃一撃が重く、正確で、男たちの攻撃をいなし、隙をついて反撃する。体はまだ本調子ではないが、精神的な迷いが消えたことで、さつきの剣は研ぎ澄まされた。
「ひるむな!たかが女だ!」
頭らしき男が檄を飛ばすが、仲間が次々と傷つき、怯み始めた追っ手たちは、すでに統率を失っていた。さつきの剣が、彼らの心を完全に砕いていたのだ。
やがて、残っていた追っ手たちは、顔を見合わせ、恐怖に駆られて逃げ出した。村には、男たちの呻き声と、荒い息遣いだけが残った。
さつきは、肩で息をしながら、刀を鞘に収めた。その手は震えていたが、心には、これまで感じたことのない充実感が満ちていた。自分は、彼らを守ることができた。復讐のためではない、誰かを守るための剣。それが、さつきの中に、新たな光を灯した。
「さつきさん…!」
老婆が、よろめくようにさつきに駆け寄った。その目には、感謝と、そして安堵の涙が浮かんでいた。
「ご無事で、よかった…」
さつきは、老婆の震える手をそっと握った。その温かさが、さつきの心をさらに温める。
その時、村の入り口から、何かがこちらに駆け寄ってくる足音が聞こえた。警戒して剣に手をかけようとしたさつきの耳に、聞き慣れた、焦がれるような声が飛び込んできた。
「さつき姉ちゃーん!!」
その声に、さつきははっと顔を上げた。そこにいたのは、泥と汗にまみれながらも、必死に走ってきた小夜だった。
「小夜…!」
さつきは、思わず小夜の名を呼んだ。信じられない、というように目を見開く。小夜の顔は、安堵と喜びでぐしゃぐしゃになっていた。
小夜は、あっという間にさつきの元へ駆け寄り、その小さな体で、さつきに飛びついた。
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