人口コントロール

終焉

人口コントロール14

受胎アンドロイドを取り巻く状況が危険を増した事件だったが、警視庁の特捜部と公安部が動き、民生党本部ビルに強制捜査が入った。
前代未聞のスキャンダルに発展した事由は、国家反逆法という、耳慣れない法律によって、民生党の解党騒ぎとなった。
急遽、衆議院特別委員会の収集で、自由民栄党が与党に返り咲く手筈が進んでいる。
民生党、党首であり現職総理大臣下野の逮捕という衝撃的な結果を迎えた。
更に逮捕者が出る可能性が高く、霞ヶ関では各メディアが群がっている。
プロパガンダが現状の事態を皮肉った形で放映されているＴＶでは、この国の大きな曲がり角を示唆している。
沢渡も逮捕状が波及されたようだが、彼はとうに海外に逃亡していたらしい。
国際手配を受けて、フィランドで身柄を拘束された。
受胎アンドロイドの計画も大幅に見直され、厳正な管理の下、政府直轄での独身男性専用とした上で、子供を養育出来る完全な年収を得られる事が条件とされた。
倉城は沢渡に今後、無理な要望を聞くことも無く、晴れて防衛海軍の第二ブルック小隊という特別枠の隊長に抜擢され、大尉から少佐に格上げされた。
空母「リファイン・ドル」の医務室で治療を受けていた、倉城の妻、幸江は其の２週間後、目を覚ました。倉城にとって最愛の人が自分の下に帰ってきたのだ。
夏木から祝福を受け、今回の事件について、二度と過ちを犯してはいけないと、新しい内閣総理大臣となった上垣が指揮する事となり、隣国との付き合いを改めて考える要素を組み込んだ。
一冬の事件はこうして解決の場を持って幕を閉じた。
幸江が「あなた、お帰りなさい」静かに二人は抱き合ったのだった。