Fly High

夏目碧央

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部活、本格的に始動

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 定期テストも終わり、夏のインターハイに向け、練習が本格的に始まった。基礎練習よりも戦術練習が長くなってきた。俺はライトのアタッカーとして、レギュラー入りした。試合は6人制だが、背番号は9。3年生が3人、2年生が5人いて、その次の番号というわけだ。ユニホームをもらえるのは12人だが、1年生は4人。中学でバレーをやっていた男子はそれほど多くなくて、また、3年生になる頃には受験のために部活をやめてしまう人もいるので、部員数は12人だ。つまり全員ユニホームをもらえるのだった。
 バシッ!
 ダン!
「それくらい取れー!」
顧問の橋田先生の声が響く。
「ブロック!」
「はい!」
卒業生の先輩も二人練習に加わってくれて、コーチの悠理ちゃんと3人、相手になってくれる。もちろん6対6でやるのだが、レギュラー対非レギュラーでは練習にならないので、卒業生が3人入った非レギュラーチームと試合形式で練習をする。悠理ちゃん、さすがはコーチ、上手い!俺は驚いた。悠理ちゃんはセッターで、右へ左へと、たとえ悪球が来ても上手くトスを上げる。卒業生の先輩はスパイクが上手いし、悠理ちゃん含め、ブロックも上手い。俺がスパイクを打っても跳ね返させる事しばしば。
「琉久!もっと高く!」
「はい!」

 「はぅ、もうくたくたー。」
俺は練習が終わると、その場にへたり込んだ。ジャンプをどんだけさせられたのやら。
「琉久、お疲れ。」
マネージャーの真希がタオルを俺の顔に放り投げた。
「サンキュ。」
マネージャーはタオルを洗ってくれるんだよな。ありがたい。男子はタオルを持って来なかったり、使った後洗わないままバッグに入れっぱなしだったりするから。中学までは母親に管理してもらっていたけれど、高校生になってまで親にタオルを入れてもらったりはできない。と言って自分でもできない俺たち。情けないけれど、マネージャーの存在はありがたいものだ。
「ほら、早く着替えて。」
真希に促されてやっとこさ立ち上がり、更衣室へ行った。毎日この練習量。だが、絶対に地区大会を突破し、東京都代表になってインターハイに出るのだ!と、3年生は息巻いている。
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