5日間ホテルに滞在して大阪・関西万博のボランティア活動をしてみた

夏目碧央

文字の大きさ
11 / 61

西のエリア活動(いのちパーク)

しおりを挟む
 休憩が終わり、15時からまた移動した。風が強くて肌寒く感じたので、パーカーを着て、その上からユニフォームのベストを着た。
 割と自由度が高く、ディレクターさんが「今度はどこに行きたいですか?」と聞いてくれた。だが、誰も希望を言わなかったので、
「予定では、いのちパークの辺りに行こうかと思っていたのですが。」
と、ディレクターさんが言った。私は思わず、
「いのちパーク、行きたいです!」
と言った。いのちパークと言えば、シグネチャーパビリオンがある辺りだ。外から見るだけでも楽しいやつだ。うちの長男がnull²館に行きたい、すごく人気が高いらしいと言っていたし、近くに行ってみたい。
 という事で、いのちパークへ行った。また3人ずつで立つ。ウォータープラザにも近く、変わったトイレが2つ並んでいた。
 それから、放送で「霧が発生し、視界が悪くなります」みたいなのが流れたと思ったら、地面の穴から一斉に水蒸気が出てきた。熱いのか?と思ったら、冷たかった。そこを通ったらズボンが湿った。しかし、子供たちは大喜びだった。確かに霧が立ち込めて、水蒸気の輪の中にいると前が全然見えなくなる。
 案内板の前に立った途端、ものすごく質問されるようになった。そう、案内板の所に来る人は、何かを探したり迷ったり、困ったりしている人なのだ。だから、そこに我々がいれば聞いてみようという事になる。やっぱり、せっかく活動しているのだから、たくさん聞かれた方が楽しい。どこかに立ちっぱなしでいるならば、案内板の前がベストだと思った。
 何度か霧が発生した後、16時になったようだ。ディレクターさんが、この後どうしますかと聞く。また活動をするか、それとも今後の為にどこに何があるかを見て回るか。他のチームで最後の1時間を見て回る時間にしたところがあったとかで。
 私はこれでもう、西エリアのエリア活動は終わりだ。それに、リングの向こうは自分で見てきたし、活動の方がいいような気もしたが、何となく皆さんの行動を私の意見で決めるのも気が引けて言えず。他の皆さんもハッキリとは言わなかったが、年配の男性が回ってみたいというような事を言ったので、回る事になった。
 西エリアを、けっこうまんべんなく回ったかもしれない。流石にゲートより端っこには行かなかったが。それでもEXPOアリーナの前までは行った。とても疲れた。
 このアリーナでは初日にADOがライブをした。ディレクターさんが、野外ステージなので外にいても音はバッチリ聞こえて最高だったと言っていた。やはりチケットを手に入れられなかったお客さんたちもたくさん、外で聞いていたとか。
 一度、おば様から地図が売っている場所を聞かれた。大屋根リングの下にいた時だった。我々が地図を見せながら、
「今ここにいるので……」
などと示し始めたら、そのおば様は、
「私、地図見られへんの。」
という。ちょっと苛立っていたような気もする。でも、顔は笑っていた。それで、実際の空間に指をさし、インフォメーションの場所を教えた。
 その後移動している時、例の大阪の女性が、
「さっきの人、地図見られへんて言うてたけど、地図買うてますやん。」
と言った。ああ、そうだ。地図が見られないと言われた時、何か障害があって地図を認識できないのかな、などと思ってしまったが、そもそも地図を買える場所を教えたのだ。地図買うんじゃん。
 それにしても、大阪の人って、しゃべり方がそのまんま漫才みたいだ。聞いていて本当に面白いというか、心地よい。大阪弁のイントネーションがうつりそうになるが、エセ関西弁だと思われたら恥ずかしいので、なるべくいつも通りにしゃべるように心がけた。むしろ東京に帰ってからの方が、上達した関西弁イントネーションでしゃべっていたかもしれない。
 それにしても、1時間歩き続けるというのはしんどい。ましてや、私は集合前に1時間半くらい歩いている。万博は広い。ちょっとトイレにとか、ちょっと何かを買いにとか言って歩くと、それだけで10分くらいかかってしまう。本当に、万博に来る人は事前に足を鍛えておいて欲しい。毎日のエスカレーターを階段にするだけでもいいし、寝る前にスクワットをするだけでもいい。エアロバイクでもいいかも。
 最後は顔が落ちているのが自分でも分かった。疲れた。もうダメ。17時、ボランティアセンターでミーティングをし、案外すぐに解散になった。17時10分くらいだと思われる。さて、従業員食堂にでも行って夕飯を食べようか。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

アルファポリスとカクヨムってどっちが稼げるの?

無責任
エッセイ・ノンフィクション
基本的にはアルファポリスとカクヨムで執筆活動をしています。 どっちが稼げるのだろう? いろんな方の想いがあるのかと・・・。 2021年4月からカクヨムで、2021年5月からアルファポリスで執筆を開始しました。 あくまで、僕の場合ですが、実データを元に・・・。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...