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婚礼~内情2
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数日後、もう一度即位の儀が行われ、今度はつつがなく執り行われ、尊人は我が国の国王となった。その日に晩餐会が催され、各国の要人や国王、そして王族の面々が招待され、宮殿の大広間に集った。
「陛下、ご即位おめでとうございます。」
「姉上、からかわないでください。」
尊人は照れながら言った。姉二人が頃合いを見て話しかけてきたのだ。
「お母様もだいぶ元気になられたわね。あなた、お見舞いにもなかなか行かれないでしょう。」
「先日お見舞いしました。確かに、あまりちょくちょく行くことはできませんね。」
健斗のお見舞いのついで、と言っては差しさわりがあるが、同じ日に母の元にも訪れた尊人であった。
「お母様もとても心配なさっていたわよ。今日のご即位が粛々となされた事、近々お伝えしておくわね。」
「お願いします。」
姉が去ると、一通りみな挨拶を済ませたかっこうになった。晩餐会はお開きになり、記者たちも続々と帰って行った。後は片付け作業である。尊人と近衛兵たちは仕事が終わったことになる。
「陛下、お部屋にお戻りください。」
職員に言われ、未来と共に部屋へ戻った。
「いよいよだな。どうやって国王制を潰すか。」
着替えながら、尊人が物騒な事を言う。
「晩餐会で、そんな事を考えていたのか?」
未来は着替えを手伝いながら、笑って言った。
「いつまでも玉座とかいう椅子に腰かけているつもりはない。」
「国王辞めて、何をするつもりなんだ?」
「それは、まだ考えていない。上手く行くかも分からないし。」
「そうなのか?意外に無計画だな。」
未来はある程度手伝ったので、後はソファに腰かけて尊人を眺めた。尊人は燕尾服を脱ぎ、部屋着に着替え中である。
「まずは潰す計画だよ。与えられた仕事をボイコットするのがいいかな。」
着替えを済ませると、尊人はソファに腰かけた。未来の隣に。
「公務で海外に行ったら、そのまましばらく戻ってこない、とか?」
未来も頭を働かせて、そんな事を言った。
「いいね。他には?いい案ない?」
尊人が未来の顔を覗き込む。
「そうだな・・・。」
未来は覗き込んできた尊人の顔を見た。ずい、と少し近づいてみる。尊人は驚いてさっと体を引いた。
「ん?何?」
今は健斗がいない。したがって、二人きりなのだ。今までは、尊人の元気がなくて、それどころではなかったけれど、健斗のお見舞いをして以来、尊人は元気を取り戻していた。未来は、一人で尊人の部屋に遊びに来るのは何となく憚られて、ここのところ、仕事の後に尊人と会うのを控えていた。したがって、尊人の部屋で二人きりになるのは、今日が初めてだった。
「二人きりだな。」
未来が静かに言った。
「な、なに言ってんだよ。そんなの、珍しい事じゃないだろ。」
尊人は顔を赤らめてそう言った。
「健斗は、いつ退院できるんだろうな。」
尊人が健斗の名を出したので、未来は一瞬カッとなった。いつも冷静な未来にしては珍しい事だった。
「お前、健斗のお見舞いに行ってから、元気になったよな。」
「え、そうか?そりゃあ、健斗の事が心配だったし、元気そうで安心したから。」
「健斗の事が、好きなのか?」
未来は、まっすぐ尊人の目を見てそう聞いた。尊人は更に顔を赤くした。
「何を言って。」
「俺よりも、健斗の方が好きなのか?」
未来は尊人の両腕を掴んで、更に聞いた。
「未来・・・。」
尊人は未来の両目を交互に見つめた。それくらい近いのだ。
「ごめん。」
未来は思い直し、手を離した。
「答えなくていい。」
未来が体を離して行こうとしたので、尊人はそっと未来に抱き着いた。
「そんな事ない。未来の事も好きだよ。」
「うん。」
未来は尊人の背中を優しく撫でた。
「陛下、ご即位おめでとうございます。」
「姉上、からかわないでください。」
尊人は照れながら言った。姉二人が頃合いを見て話しかけてきたのだ。
「お母様もだいぶ元気になられたわね。あなた、お見舞いにもなかなか行かれないでしょう。」
「先日お見舞いしました。確かに、あまりちょくちょく行くことはできませんね。」
健斗のお見舞いのついで、と言っては差しさわりがあるが、同じ日に母の元にも訪れた尊人であった。
「お母様もとても心配なさっていたわよ。今日のご即位が粛々となされた事、近々お伝えしておくわね。」
「お願いします。」
姉が去ると、一通りみな挨拶を済ませたかっこうになった。晩餐会はお開きになり、記者たちも続々と帰って行った。後は片付け作業である。尊人と近衛兵たちは仕事が終わったことになる。
「陛下、お部屋にお戻りください。」
職員に言われ、未来と共に部屋へ戻った。
「いよいよだな。どうやって国王制を潰すか。」
着替えながら、尊人が物騒な事を言う。
「晩餐会で、そんな事を考えていたのか?」
未来は着替えを手伝いながら、笑って言った。
「いつまでも玉座とかいう椅子に腰かけているつもりはない。」
「国王辞めて、何をするつもりなんだ?」
「それは、まだ考えていない。上手く行くかも分からないし。」
「そうなのか?意外に無計画だな。」
未来はある程度手伝ったので、後はソファに腰かけて尊人を眺めた。尊人は燕尾服を脱ぎ、部屋着に着替え中である。
「まずは潰す計画だよ。与えられた仕事をボイコットするのがいいかな。」
着替えを済ませると、尊人はソファに腰かけた。未来の隣に。
「公務で海外に行ったら、そのまましばらく戻ってこない、とか?」
未来も頭を働かせて、そんな事を言った。
「いいね。他には?いい案ない?」
尊人が未来の顔を覗き込む。
「そうだな・・・。」
未来は覗き込んできた尊人の顔を見た。ずい、と少し近づいてみる。尊人は驚いてさっと体を引いた。
「ん?何?」
今は健斗がいない。したがって、二人きりなのだ。今までは、尊人の元気がなくて、それどころではなかったけれど、健斗のお見舞いをして以来、尊人は元気を取り戻していた。未来は、一人で尊人の部屋に遊びに来るのは何となく憚られて、ここのところ、仕事の後に尊人と会うのを控えていた。したがって、尊人の部屋で二人きりになるのは、今日が初めてだった。
「二人きりだな。」
未来が静かに言った。
「な、なに言ってんだよ。そんなの、珍しい事じゃないだろ。」
尊人は顔を赤らめてそう言った。
「健斗は、いつ退院できるんだろうな。」
尊人が健斗の名を出したので、未来は一瞬カッとなった。いつも冷静な未来にしては珍しい事だった。
「お前、健斗のお見舞いに行ってから、元気になったよな。」
「え、そうか?そりゃあ、健斗の事が心配だったし、元気そうで安心したから。」
「健斗の事が、好きなのか?」
未来は、まっすぐ尊人の目を見てそう聞いた。尊人は更に顔を赤くした。
「何を言って。」
「俺よりも、健斗の方が好きなのか?」
未来は尊人の両腕を掴んで、更に聞いた。
「未来・・・。」
尊人は未来の両目を交互に見つめた。それくらい近いのだ。
「ごめん。」
未来は思い直し、手を離した。
「答えなくていい。」
未来が体を離して行こうとしたので、尊人はそっと未来に抱き着いた。
「そんな事ない。未来の事も好きだよ。」
「うん。」
未来は尊人の背中を優しく撫でた。
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