人間になりたい~Even if I am King~

夏目碧央

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誘拐~宣言3

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 本国の政府と、現地警察と、現地の政府と、この3つは連携を取って動いていたが、健斗と未来は単独行動をしていた。二人は政府の指示を待つことなく、行動を開始した。
「はい、はい、分かりました。」
未来が電話を切った。
「どうした?」
健斗が聞く。
「誘拐犯からの犯行声明があったようだ。ネット配信されたらしい。見てみよう。」
そう言って、未来はスマートフォンで動画を探し、再生した。二人はその動画を見て、尊人の言葉を聞いて、顔を見合わせた。
「あいつ、とうとうやったな。」
健斗が言う。
「流石だな。この状況をとっさに利用するなんて。」
未来が感心したように言う。
「尊人・・・。怖いだろうに。いや、怖いなんて思っていないのかもしれないな。命がけで国王をやっているんだよな、いつも。」
「死ぬ気で国王を辞めるんだ。命を惜しいとは思っていないような気がする。健斗、絶対に助け出すぞ。」
未来が言うと、健斗は力強く頷いた。
 二人はバイクを借り、健斗が運転をし、未来が後ろに乗って町中を走り回った。通訳がいないので、何とか英語だけであちこち聞きまわる。
「黒いリムジンを見かけませんでしたか?」
「ああ、さっき見たよ。こんなところを大きな車が走ってたから、よく覚えているよ。」
「どっちに走って行きましたか?」
「あっちへ行ったよ。」
「ありがとうございます。」
未来が聞いて戻ってきて、またバイクの後ろに飛び乗る。
「あっちだ!」
未来が指さす方へ、健斗はバイクを走らせた。

 尊人は、狭い部屋に入れられた。自分が括り付けられた椅子以外、何もない。灯りもなく、入って来たドアの小さい窓から、廊下の灯りが入ってくるのみだ。手かせを取ってもらえないのは、すぐに処遇が決まるからだろう。ここに長く逗留する事はなさそうだ。殺されるか、解き放たれるか。無事にここを出られる可能性は極めて低いと感じた。それでも、尊人は満足感を得ていた。やった、という達成感とも言えるだろうか。後悔はしていなかった。国王を辞める、それを今実行したのだ。
 だが、このまま誰にも会わずに命を落とすのか、と考えた時には、流石に動揺した。心臓がズキンと痛んだ。真っ先に頭に浮かんだのは健斗と未来。そして、母君子。妻の麗良。姉たち。
「みんな、ごめん。母上、ごめんなさい。」
尊人はそう呟いた。
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